石川県ロケ映画が多くなってきた。
カンヌ国際映画祭では『殯(もがり)の森』が話題騒然となりましたが、日本からは吉田大八監督・佐藤江梨子主演による今作も批評家週間に出品されていたのです(知りませんでした)。CM界ではベテランである映像監督だけあって随所に斬新な映像も見られるものの、長編映画としてはもうちょっと工夫が欲しいところでした。それでも本谷有希子(石川県出身)の原作が面白いおかげで、ブラックユーモアに浸ることができるのです。
舞台となるのは3月に大地震に見舞われた石川県能登。ロケは昨年の夏から秋にかけて行われたらしく、半年後に起こった災害を思うとなぜか懐かしく、タイムスリップしたような印象も受けます。舞台挨拶でサトエリが「私も阪神大震災を被災」したことと、「夢を持つ同級生も亡くなった」ことが原動力となって女優になり、「これからの復興が大切だ」と熱弁をふるっていました。映画を観る前にすでに感動してしまい、すでに目はウルウル・・・始まってすぐに、大地震のニュースを見ている永作博美の映像が映り、因縁めいたものまで感じてしまうのです。
この作品は、家族それぞれの確執や秘密めいたもの、ユニークな登場人物ばかりのせいもあり、家族の脆さをも描いています。主人公のサトエリが両親の急死の知らせを受け、田舎に戻ってくる。しかし、彼女が上京したのは素質もないのに女優を目指したためであって、自意識過剰とゴーマンさゆえ仕事もなく、実家から仕送りをもらわねば生活もできず、ついには事務所からも解雇通知を受けてしまうほど。オーディションを受ける回想シーンでは、感情のこもってない台詞により大根ぶりも発揮する・・・この下手さぶりが上手いのです。
実家では妹(佐津川愛美)との確執、血の繋がっていない兄との謎めいた約束、同級生(山本浩司)との関係が非常に面白い。妹は漫画家の素質があり、過去に、エゴに満ちた性格と暴力性を持った姉の痴態を鋭く観察し、それを克明に描いた漫画を投稿するが、見事新人賞を取ってしまうのです。女優業が上手くいかないのは妹の漫画のせいだとして復讐心に燃え、妹をいたぶり続けるサトエリ。さらに、兄嫁であるのになかなか家族に溶け込めない永作のコメディアンヌぶりがとてもいい(痛いところも多く、可哀想なのですが・・・)。
サトエリの能登弁はほとんど関西弁でしたが、兄役の永瀬正敏はばっちり。そして、佐津川愛美の演技が暗いんだけども、最も光っていました。また、山本浩司の今年の出演作は『それでもボクはやってない』、『さくらん』、『ユメ十夜』、『パッチギ2』、『しゃべれどもしゃべれども』に次いで6本目。彼のバイプレーヤーぶりが全開となってきました。さらに、明和電機の土佐社長も重要なところで出演(なんとも言えぬ役柄だ)。これはなんとも・・・
見事な不協和音を奏でる人間関係も、嬉しい知らせや悲しい人の死によって新たな展開を見せる。誰が一番恐ろしい性格なんだ!?と性格設定のどんでん返しのような場面まである。殺伐とした人間関係は都会だけの特権じゃなく、自然に恵まれた田舎にだってあるのだとブラックユーモアたっぷりに訴えてくる・・・凄い内容だ。もちろん、サトエリ、佐津川愛美のギリギリセクシーショットも・・・
★★★★・(多少ひいき目)
7月7日公開!
カンヌ国際映画祭では『殯(もがり)の森』が話題騒然となりましたが、日本からは吉田大八監督・佐藤江梨子主演による今作も批評家週間に出品されていたのです(知りませんでした)。CM界ではベテランである映像監督だけあって随所に斬新な映像も見られるものの、長編映画としてはもうちょっと工夫が欲しいところでした。それでも本谷有希子(石川県出身)の原作が面白いおかげで、ブラックユーモアに浸ることができるのです。
舞台となるのは3月に大地震に見舞われた石川県能登。ロケは昨年の夏から秋にかけて行われたらしく、半年後に起こった災害を思うとなぜか懐かしく、タイムスリップしたような印象も受けます。舞台挨拶でサトエリが「私も阪神大震災を被災」したことと、「夢を持つ同級生も亡くなった」ことが原動力となって女優になり、「これからの復興が大切だ」と熱弁をふるっていました。映画を観る前にすでに感動してしまい、すでに目はウルウル・・・始まってすぐに、大地震のニュースを見ている永作博美の映像が映り、因縁めいたものまで感じてしまうのです。
この作品は、家族それぞれの確執や秘密めいたもの、ユニークな登場人物ばかりのせいもあり、家族の脆さをも描いています。主人公のサトエリが両親の急死の知らせを受け、田舎に戻ってくる。しかし、彼女が上京したのは素質もないのに女優を目指したためであって、自意識過剰とゴーマンさゆえ仕事もなく、実家から仕送りをもらわねば生活もできず、ついには事務所からも解雇通知を受けてしまうほど。オーディションを受ける回想シーンでは、感情のこもってない台詞により大根ぶりも発揮する・・・この下手さぶりが上手いのです。
実家では妹(佐津川愛美)との確執、血の繋がっていない兄との謎めいた約束、同級生(山本浩司)との関係が非常に面白い。妹は漫画家の素質があり、過去に、エゴに満ちた性格と暴力性を持った姉の痴態を鋭く観察し、それを克明に描いた漫画を投稿するが、見事新人賞を取ってしまうのです。女優業が上手くいかないのは妹の漫画のせいだとして復讐心に燃え、妹をいたぶり続けるサトエリ。さらに、兄嫁であるのになかなか家族に溶け込めない永作のコメディアンヌぶりがとてもいい(痛いところも多く、可哀想なのですが・・・)。
サトエリの能登弁はほとんど関西弁でしたが、兄役の永瀬正敏はばっちり。そして、佐津川愛美の演技が暗いんだけども、最も光っていました。また、山本浩司の今年の出演作は『それでもボクはやってない』、『さくらん』、『ユメ十夜』、『パッチギ2』、『しゃべれどもしゃべれども』に次いで6本目。彼のバイプレーヤーぶりが全開となってきました。さらに、明和電機の土佐社長も重要なところで出演(なんとも言えぬ役柄だ)。これはなんとも・・・
見事な不協和音を奏でる人間関係も、嬉しい知らせや悲しい人の死によって新たな展開を見せる。誰が一番恐ろしい性格なんだ!?と性格設定のどんでん返しのような場面まである。殺伐とした人間関係は都会だけの特権じゃなく、自然に恵まれた田舎にだってあるのだとブラックユーモアたっぷりに訴えてくる・・・凄い内容だ。もちろん、サトエリ、佐津川愛美のギリギリセクシーショットも・・・
★★★★・(多少ひいき目)
7月7日公開!
見たかったです。
石川県は、先行上映で6月30日から上映なので、それまで我慢しています。
劇団:本谷有希子の処女作ですが初演は失敗。その後脚本を書き換えて再上演で大ヒットした劇なので、脚本は完璧だと思いますので、映画もかなり期待できるのではないかと思います。
本谷有希子も舞台挨拶に来て欲しかったかなと思いました。
全国に先駆けて見れるなんてちょっと優越感?(笑)
サトエリ批判(下手すぎる)ばかりを事前に読んでいたのですが、あれが却ってよかったように思いました。
ヒットしてほしいですね~。
私はサトエリちゃんの全くサプライズにならない舞台挨拶もさることながら、レオくん司会うまいなーとへんなところにひそかに感心しておりました。
女子アナのげんこーいっしょけんめぇ覚えてきました、というのとは仕切りレベルが違うわ~なんて。
いつもながらローカルすぎる話ですいません。
俺も試写会を知らず、能登ロケがあったことも知らず、もちろんサトエリが来るなんてことも全く知りませんでした。
試写会仲間のおかげです。
本谷さんのご両親は観にきていましたけど、まだ若いご両親でした。ご本人は録音でのあいさつ。こんな才能のある人が石川県にいたことにもビックリです。
>ミチ様
さすがに内容がブラックなだけに、笑いどころも難しかったりしました。永作博美の災難でさえ笑ってしまえるけど、彼女の明るさあってこそなんでしょうね。
公開の1ヶ月も前に試写会があるってのもすごいですよね。そういや、去年の「ユナイテッド93」もやたらと早い試写会でした・・・
>cloud9様
3人とも試写会場にいたなんて初めてのこと?
もうちょっと間近でサトエリを見たかったのですが、映画を楽しむため自分的ベストポジションに座ってしまいました。
MROのアナウンサーも上手かったです。
「失言」なんてのも狙った演出・・・にくいです。
自分の名前を劇団にするところが、「腑抜けども・・・」の長女に似ているのかも。
あれま、高校の・・・最近の名簿を持ってないので調べようがありません。
劇団を持つくらいですし、演劇の経験も豊富なんでしょうね。実際にそういう役者志望の子がいたのかもしれませんよ(笑)
このブラック過ぎる展開が何よりも面白かったです。みんな痛い役柄でしたけど、それがよかったなあと思います。
舞妓、吉祥、腑抜け・・・集中しましたもんね。
だけど、腑抜け以外は方言が全く聞けませんし(笑)
山形の映画も多いですよね~やっぱりそう思えるのは『スウィングガールズ』とか藤沢作品のせいでしょうか。
ブラック過ぎる展開には引いてしまいそうになりましたが、険悪な人間関係という反面教師と捉えれば、それなりにいい映画だったのかも・・・
永作博美・・・昔から好きです。
というか、彼女は全然歳をとらない~~