あぼーん・・・
豪華で多彩な監督10人による夏目漱石コラボレーション。いきなり昨年亡くなった実相寺昭雄監督の第一夜。相変わらず特徴のある傾いたアングルによって平衡感覚を麻痺させられ、不条理ワールドへの扉を開いてくれる。傾き加減は10~22.5度あたりであり、観客の三半規管を刺激し、時計の逆回転や鏡のトリックさえも忘れさせるのだ。その影響で第二夜の市川昆作品(傾きは10度以下)や第四夜の清水厚作品(3D的な傾き)までもが傾いて見えてくるのです。10作品の中にはそれほど面白くないものもありましたが、序盤からの脳内攻撃によりすっかり酩酊気分にさせられました。
中でも一番気に入ったのが第四夜。清水厚監督は実相寺監督の弟子にあたるので、酔ってしまいそうになる多彩なカメラアングルは納得なのですが、それにも増してノスタルジックな映像は心の中に閉じ込めていた病弱な幼少期を見事に表現していました。実際の漱石が病気に悩まされたのが大人になってからだというから、気にかけていることを夢に見てしまうということの表れだったのかもしれません。
松尾スズキ監督による第六夜は、運慶が仁王像の頭を彫るのにブレイクダンスをしながらなかなか木に触らないというエピソード。2ちゃん用語満載のコミカルなミュージカルとでも言えるくらい楽しかった。また第七夜ではファイナルファンタジーのキャラクターデザイナーでもお馴染みの天野喜孝のアニメーション。第九夜は出征した父(ピエール瀧)を想う母と子のエピソードを紅一点の西川美和監督が描く。原作はどうなってるのかわかりませんが、思い切り女性視点で描かれているところがよかったです。
夏目漱石の苦悩や願望がところどころに感じられるし、それぞれ個性ある監督の味が個々の作品にも表れ、まさに名監督の競演といった出来だったように思います。文学的な映画とは言えないけど、遊び心もたっぷりだったし、気軽に観ることのできる漱石映画と言えるんじゃないでしょうか。俳優もよかったけど、最もインパクトがあったのは安田大サーカスでした・・・
実相寺昭雄 「第一夜」
市川崑 「第二夜」
清水崇 「第三夜」
清水厚 「第四夜」、OP&ED
豊島圭介 「第五夜」
松尾スズキ 「第六夜」
天野喜孝、河原真明 「第七夜」
山下敦弘 「第八夜」
西川美和 「第九夜」
山口雄大 「第十夜」
★★★★・
豪華で多彩な監督10人による夏目漱石コラボレーション。いきなり昨年亡くなった実相寺昭雄監督の第一夜。相変わらず特徴のある傾いたアングルによって平衡感覚を麻痺させられ、不条理ワールドへの扉を開いてくれる。傾き加減は10~22.5度あたりであり、観客の三半規管を刺激し、時計の逆回転や鏡のトリックさえも忘れさせるのだ。その影響で第二夜の市川昆作品(傾きは10度以下)や第四夜の清水厚作品(3D的な傾き)までもが傾いて見えてくるのです。10作品の中にはそれほど面白くないものもありましたが、序盤からの脳内攻撃によりすっかり酩酊気分にさせられました。
中でも一番気に入ったのが第四夜。清水厚監督は実相寺監督の弟子にあたるので、酔ってしまいそうになる多彩なカメラアングルは納得なのですが、それにも増してノスタルジックな映像は心の中に閉じ込めていた病弱な幼少期を見事に表現していました。実際の漱石が病気に悩まされたのが大人になってからだというから、気にかけていることを夢に見てしまうということの表れだったのかもしれません。
松尾スズキ監督による第六夜は、運慶が仁王像の頭を彫るのにブレイクダンスをしながらなかなか木に触らないというエピソード。2ちゃん用語満載のコミカルなミュージカルとでも言えるくらい楽しかった。また第七夜ではファイナルファンタジーのキャラクターデザイナーでもお馴染みの天野喜孝のアニメーション。第九夜は出征した父(ピエール瀧)を想う母と子のエピソードを紅一点の西川美和監督が描く。原作はどうなってるのかわかりませんが、思い切り女性視点で描かれているところがよかったです。
夏目漱石の苦悩や願望がところどころに感じられるし、それぞれ個性ある監督の味が個々の作品にも表れ、まさに名監督の競演といった出来だったように思います。文学的な映画とは言えないけど、遊び心もたっぷりだったし、気軽に観ることのできる漱石映画と言えるんじゃないでしょうか。俳優もよかったけど、最もインパクトがあったのは安田大サーカスでした・・・
実相寺昭雄 「第一夜」
市川崑 「第二夜」
清水崇 「第三夜」
清水厚 「第四夜」、OP&ED
豊島圭介 「第五夜」
松尾スズキ 「第六夜」
天野喜孝、河原真明 「第七夜」
山下敦弘 「第八夜」
西川美和 「第九夜」
山口雄大 「第十夜」
★★★★・
ところで、「あぼーん」は、私の記憶では英語の字幕では「extacy」となっていたような気がしますが・・・覚えてます?
あの傾き加減がもう見られないとは寂しいです。
10人もの監督作品をこのように見せてもらえるのは豪華でしたよね。
商業主義にとらわれない、自由な発想、自由な表現で監督の個性が観られる映画がどんどん出てくるといいですねぇ。
「あぼーん」って、“削除”という意味じゃなかったかな~などと思いつつ、extacyですか?!
俺は「萌え」ばかり注目してました(笑)毎回英語訳が違うんだもん。
>ミチ様
実相寺監督作品って癖がありますもんね~
いきなり斜めになってるんだから、油断できません・・・
見れないのは残念ですが、清水厚監督という後継者ができたことだし、今後も期待しましょう♪
ほんと、楽しかった。
>八ちゃん様
最初は不条理だし、不気味だし、ホラーもはさんでいたので笑うところはありませんでしたよね。
しかし、第六夜で大爆発!
商業主義にとらわれないってのはいいことですよね~
これだけ監督の個性が出てくるオムニバスってのも珍しかったと思います・・・