映画『山谷 やられたらやりかえせ』を観た。
折しも米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻したというニュースが世間を騒がせている9月16日。カナザワ映画祭で上映されているこの映画を観たのです。時代は1980年のバブル前。労働者の町“山谷”での日雇い労働者と、彼らの稼いだ金を食いものにする天皇主義右翼に対する闘争を描いたドキュメンタリーだ。これを撮っていた映画監督・佐藤満夫が労働者と敵対していた暴力団に殺害され、遺志を引き継ぎ撮り終えた監督山岡強一も右翼の凶弾に倒れた・・・
なぜか思い出すのは『巨人の星』で、主人公の星飛雄馬が青雲高校の面接試験で父親の職業を訊かれ「僕の父は日本一の日雇い人夫です」という名台詞を吐いたこと。幼心にもこの『巨人の星』の回を見たときから、職業差別は絶対にしないぞ!と誓ったものでした。
映画では最初に日雇労働者が生まれた要因や現状を簡単に説明するのですが、彼らの生の声、実際に雇い主や行政職員、そして手配師と争議を行っている映像の緊迫感とともに、彼らの置かれた状況がよくわかってくる。
最近ではホームレスという言葉で十把一絡げにされてしまったり、メディアが報道する多くがバブル崩壊によって破産した者とか失業者とか社会不適合者だったりするのですが、この時代の印象は明らかに違う。企業に低賃金で利用されつつも日本の高度成長期を底辺で支え、人が嫌がる仕事をどんどんこなした真の労働者の姿。そして炭鉱閉鎖、被差別問題、強制連行された在日朝鮮人の問題、太平洋戦争や日本の帝国主義がもたらした産物とも感じられるのだ。そんな彼らの状況を悪用する社会のゴミ、右翼暴力団。もちろん暴力団対策法施行前だったし、警察が逮捕するのは労働者ばかりで暴力団は泳がせておいた時代だ。
最近はドキュメンタリー映画界が円熟したせいもあって、とても巧い作りとは言えないし、争議中の言葉も労働者たちの肉声も聞きとりにくい。しかし、いつ暴力団が飛び込んできてもおかしくない危険な状況下での撮影だと考えると、勇気ある行動だと称賛に価する映画。そんな聞き取りにくい内容だったので、現在における労働問題-人材派遣、ネットカフェ難民、等々-とを比較したり、どんな人たちが今観てるのだろう?などと想像したりしてみました。
今年『蟹工船』がベストセラーになっているという21世紀の珍事。1986年に施行された労働者派遣法が徐々に改悪されていき、中間搾取されまくりとなってしまったせいだ。80年代では手配師や暴力団が中間搾取していたのが、現在は派遣業者がヤクザの代行しているだけの違い。リーマン破綻の影響で今後日本でも倒産企業が続出し、失業者も増大しそうな予感がするだけにタイムリーな映画だったと思う。
他にも印象的なシーンがあった。映画『靖国』よりも派手だった靖国神社のシーンです。暴力団が数百人勢揃いする場面に出くわしたら、今のネット右翼たちもビビりまくりだろう。また、在日朝鮮人や台湾から日本に来た人の話も頭から離れない。ウマい話に乗せられて日本軍に徴兵され、南京大虐殺を目撃したため犯罪覚悟で逃亡した・・・凄い。
映画の主旨は日雇労働者の労働組合の争議なんだろうけど、脇の部分で圧倒されてしまいました。80年代は凄い映画があったんだなぁ・・・『ゆきゆきて、神軍』とか『東京裁判』とか。さて、明日は満席覚悟の『蟹工船』だ!
折しも米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻したというニュースが世間を騒がせている9月16日。カナザワ映画祭で上映されているこの映画を観たのです。時代は1980年のバブル前。労働者の町“山谷”での日雇い労働者と、彼らの稼いだ金を食いものにする天皇主義右翼に対する闘争を描いたドキュメンタリーだ。これを撮っていた映画監督・佐藤満夫が労働者と敵対していた暴力団に殺害され、遺志を引き継ぎ撮り終えた監督山岡強一も右翼の凶弾に倒れた・・・
なぜか思い出すのは『巨人の星』で、主人公の星飛雄馬が青雲高校の面接試験で父親の職業を訊かれ「僕の父は日本一の日雇い人夫です」という名台詞を吐いたこと。幼心にもこの『巨人の星』の回を見たときから、職業差別は絶対にしないぞ!と誓ったものでした。
映画では最初に日雇労働者が生まれた要因や現状を簡単に説明するのですが、彼らの生の声、実際に雇い主や行政職員、そして手配師と争議を行っている映像の緊迫感とともに、彼らの置かれた状況がよくわかってくる。
最近ではホームレスという言葉で十把一絡げにされてしまったり、メディアが報道する多くがバブル崩壊によって破産した者とか失業者とか社会不適合者だったりするのですが、この時代の印象は明らかに違う。企業に低賃金で利用されつつも日本の高度成長期を底辺で支え、人が嫌がる仕事をどんどんこなした真の労働者の姿。そして炭鉱閉鎖、被差別問題、強制連行された在日朝鮮人の問題、太平洋戦争や日本の帝国主義がもたらした産物とも感じられるのだ。そんな彼らの状況を悪用する社会のゴミ、右翼暴力団。もちろん暴力団対策法施行前だったし、警察が逮捕するのは労働者ばかりで暴力団は泳がせておいた時代だ。
最近はドキュメンタリー映画界が円熟したせいもあって、とても巧い作りとは言えないし、争議中の言葉も労働者たちの肉声も聞きとりにくい。しかし、いつ暴力団が飛び込んできてもおかしくない危険な状況下での撮影だと考えると、勇気ある行動だと称賛に価する映画。そんな聞き取りにくい内容だったので、現在における労働問題-人材派遣、ネットカフェ難民、等々-とを比較したり、どんな人たちが今観てるのだろう?などと想像したりしてみました。
今年『蟹工船』がベストセラーになっているという21世紀の珍事。1986年に施行された労働者派遣法が徐々に改悪されていき、中間搾取されまくりとなってしまったせいだ。80年代では手配師や暴力団が中間搾取していたのが、現在は派遣業者がヤクザの代行しているだけの違い。リーマン破綻の影響で今後日本でも倒産企業が続出し、失業者も増大しそうな予感がするだけにタイムリーな映画だったと思う。
他にも印象的なシーンがあった。映画『靖国』よりも派手だった靖国神社のシーンです。暴力団が数百人勢揃いする場面に出くわしたら、今のネット右翼たちもビビりまくりだろう。また、在日朝鮮人や台湾から日本に来た人の話も頭から離れない。ウマい話に乗せられて日本軍に徴兵され、南京大虐殺を目撃したため犯罪覚悟で逃亡した・・・凄い。
映画の主旨は日雇労働者の労働組合の争議なんだろうけど、脇の部分で圧倒されてしまいました。80年代は凄い映画があったんだなぁ・・・『ゆきゆきて、神軍』とか『東京裁判』とか。さて、明日は満席覚悟の『蟹工船』だ!
今回の映画祭はドキュメンタリーが多かったようなんですけど、結局この1本だけしか見れませんでした(汗)
山形でも山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催されるのを羨ましく思っていたのですが、同じ県内とはいえ、遠いのでしょうか・・・訪れたことがないので地理的なものがわかりません。
映画ロケは本当に多いですよね~しかも秀作ばかりのような気がします。
それにしてもなかなか良い上映作品、
こちらでは数年前に「城下町つるおか時代劇映画祭」が
たった1回だけあったっきり。
映画ロケが増えたのに、映画上映も増えてほしいとこです。