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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

2017-08-10 18:05:36 | 映画2017
 関東のマックか?関西のマクドか?金にモノ言わせるなら“アクド”だな・・・

 天才であっても失敗はする。“根気”と“信念”、これがあれば必ずビジネスは成功する。冒頭のレイ・クロック(マイケル・キートン)の独白により、映画ではなく、新人研修か自己啓発セミナーに参加したかのような錯覚に陥る。営業マンであれば尚のこと、こまめに得意先に出向き、誠実に売り込みをかけることに共感できる序盤のレイの姿なのである。

 1954年、一度にミルクシェイク・マシンの注文が1店舗で8台もあったことに驚き、カリフォルニアの片田舎でマクドナルド兄弟が経営する店を訪れたレイ。その革新的なスピード・サービス・システムに勝機を見出した52歳のレイは壮大なフランチャイズ・ビジネスを思いつき、兄弟と契約を結ぶ。次々とフランチャイズ化を成功させたレイは、やがて自らのハンバーガー帝国を築くために、兄弟との全面対決へと突き進んでいく。

 1号店は自宅を抵当に入れて資金作り。徐々に資金繰りに困ることになったとき、自分で土地を買ってリースさせるという方法を伝授され、実行に移す。また、アイスクリームを保存する冷凍庫の電気代がかかり過ぎるということで、粉末のシェイクを使うことをアドバイスされる。ここでマクドナルド兄弟と対立。真面目な兄弟はあくまでも品質にこだわり、利益追求のレイには不信感を抱くだけとなっていったのだ。1959年には270万ドルで兄弟から商権を買い取るにまで至る。

 人のいい、大人しいマクドナルド兄弟。兄のマック(ジョン・キャロル・リンチ)なんて糖尿病持ちで、レイとの確執を持った時には倒れて入院してしまうほどだ。自らの成功のためには鬼にでもなる商魂あふれる男とは対照的。レイのアメリカン・ドリームを具現化したサクセス・ストーリーとして見るもよし、マクドナルド兄弟の盛衰を味わうのもよし、資本主義経済の歪みがと評論するのもよし、といった作品。

 『スーパーサイズ・ミー』を観た後にはしばらくハンバーガーを食べなかったものですが、マクドナルド兄弟を想いながらしみじみと味わってみたくなりました。30秒で出さなくてもいいから。


★★★★・

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10 コメント

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Unknown (クマネズミ)
2017-08-11 09:36:30
お早うございます。
確かに、マクドナルド兄弟側から見れば、レイは、“アクド”でしょうし、「自らの成功のためには鬼にでもなる商魂あふれる男」でしょうが、レイは、どこまでもモノを売りたくてしょうがない天性のセールスマンだったように思えます。自らのフランチャイズへ参加を皆に求めるときの言い方は、マルチミキサーを売り込むときの言い方と類似している感じです。そして、もっともっと沢山フランチャイズを拡大でき、ハンバーガーを販売できるにもかかわらず、自分の殻に閉じ込もってしまおうとするマクドナルド兄弟のことを、酷く歯がゆく思ったのではないでしょうか?
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トランプ (kossy)
2017-08-11 17:09:49
>クマネズミさま
コメントありがとうございます。
あくまでもレイの目線で見ていけば、
天性のセールスマンであり成功者でしたよね。
中盤まではその成功物語を楽しむ映画で、
徐々にマクドナルド兄弟側からの目線になるというか、
色々考えさせる作品でしたね。

レイにはそんなアクドさを感じませんでした・・・
アクドはあくまでもジョークの範囲なので・・・(汗)
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おはようございます! (wangchai)
2017-08-12 07:27:05
トラックバックありがとうございます。現在自分のコメント欄を閉鎖しているので、こちらにて失礼します。

「ファウンダー」は自分にとっては面白い映画でした。本質的には、こういう行動力にあふれている男が好きなのでしょう。レイクロックの本は改めて再読し、彼を尊敬する孫正義、柳井正の対談を楽しく読みました。同時に日本マクドナルドの社長だった藤田田の初期の本も再読した次第です。50代過ぎてからマクドナルドのFC展開をパワフルにやったいうことが凄いですね。

> 『スーパーサイズ・ミー』を観た後にはしばらくハンバーガーを食べなかったものですが、マクドナルド兄弟を想いながらしみじみと味わってみたくなりました。30秒で出さなくてもいいから。

この気持ち両方よくわかります。マイケルムーアの映画は衝撃的ですよね。日に日にマクドしか食べない男の身体がおかしくなっていく。確かに食べる気にならなくなります。

でもこの映画を見ている最中から、マクドナルドのハンバーガーが食べたくて仕方なくなりました。自宅のある駅の小さなマックに寄り食べました。いつもよりおいしく感じてしまいました。

ブログを拝見すると、久々戻ってこられたようですね。私は逆に2008年からで、最近は仕事の忙しさにかまけて怠慢になっています。またよろしくお願いします。

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マクド (kossy)
2017-08-12 09:21:54
>wangchaiさま
コメントありがとうございます。

自分は営業職を離れてしがないタクシー運転手となっていますが、
50過ぎてバイタリティ溢れるレイ・クロックには感動しました。
自分の信念さえあれば営業で成功できる!
と、改めて過去を振り返ってみました。

15セントという安さがずっと引っかかって、
日本でいえば平日100円と同じくらいなのでしょうか。

映画は死ぬまで見続けたいと思ってますので、
今後ともよろしくお願いいたします。
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こんばんは (ノラネコ)
2017-08-12 23:41:30
マクドナルド兄弟にもレイにも違う角度から感情移入出来る、白黒つけられない多面性が本作の魅力ですね。
60年前は革新的だったマクドナルドのシステムが、当たり前となった現在では陳腐化してしまって、世界的にライバルにボコられているのはビジネスモデルの栄枯盛衰を感じます。
私もマクドナルドには年に1、2回しか行かなくなってしまいました。
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マクドナルド (kossy)
2017-08-13 00:03:37
>ノラネコ様
どちら側からも感情移入できる作り方は巧いですよね。
成功物語が最高潮に達したときに、ふとマクドナルド目線になるとか。

日本マクドナルドは牛丼屋とともに値段に変更があるだけでニュースになるけど、
アメリカではどうんでしょうね?
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こんにちは (Kei)
2017-08-13 12:17:30
お久しぶりです。8年ぶりに戻って来られたのですね。

>レイのアメリカン・ドリームを具現化したサクセス・ストーリーとして見るもよし、マクドナルド兄弟の盛衰を味わうのもよし…
どちらの立場になって見るかによって印象がガラリ変わりますね。
私は、終盤のマック兄弟が設立した1号店の「マクドナルド」の看板が取り外される光景を悲しそうに見つめる兄弟の姿を印象的に描いている点で、映画製作者たちは兄弟に同情しているなと思いました。

日本に、これをピッタリ表現することわざがありましたね。
「軒を貸して母屋を取られる」
日本にも、昔からそういう事あったんでしょうね。
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母屋 (kossy)
2017-08-13 14:08:04
>Keiさま
お久しぶりです。
色んな方の評論読むのが楽しいくらいですよね。
映画の構成を考えると、
前半はレイ・クロック目線で後半がマクドナルド目線かな?
巧い作り方でした。

軒を貸して母屋を取られる・・・
こうやって言葉にして考えると、
他にも似たようなストーリーがありそうですね。
返信する
Unknown (セレンディピティ)
2017-08-14 01:30:07
kassyさん、こんばんは。
facebookの誕生物語を描いた「ソーシャルネットワーク」でも
マーク・ザッカーバーグが双子兄弟のアイデアを横取りした...
ということになっていました。
マークにしても、レイ・クロックにしても
ワールドワイドに成功するような人は、”よい人”ではありえないのかもしれませんね。

マクドナルド兄弟は気の毒でしたが
知られざるサクセスストーリーはスリリングでおもしろかったです♪
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IT関連 (kossy)
2017-08-14 09:22:12
>セレンディピティ様
コメントありがとうございます。

IT関連の盗作やら横取りって、
もっと多そうですよね。
地道に成功する人もいれば、
どこかで悪いことをする人もいる。
その悪さの程度によって、
映画に共感できるかどうか・・・ですよね~
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