殺せ!殺せ!
新次の父親が自殺したのは、派兵先で逃亡したことがきっかけで仲間から制裁を受けたことにより、その肉体的・精神的苦悩を持ったことが原因だった。その制裁を加えた1人がバリカンの父親健太(モロ師岡)だったというのだ。
2022年、新次は因縁の相手・山本裕二(山田裕貴)との対戦が決まり、トレーニングにも熱が入るようになった。試合当日にはバリカンが新次との別れを決意して、オーナーである二代目(川口覚)が山寺ジムに引き抜いたのだ。試合は泥沼の様相を呈していたが、喧嘩殺法のごとく乱打戦を戦い抜いた新次が判定勝利となる。そんな中、新次の彼女となっていた芳子がアパートを去り、新しい人生を歩み始める。芳子にとって新次は愛する対象ではなく、セックスするなら誰でもいいといった性格。
一方、バリカンは徐々にボクシングの腕を磨き上げ、ランキング3位のボクサーとの試合が決まりかけたが、それを断り新次との対戦を望む。二代目が堀口のジムのオーナーなので簡単に対戦が決まる。そしていよいよ新次とバリカンの対戦。「憎め」「殺せ」といった呪文のような言葉で打倒新次を夢に描くバリカン。新次は今までのように憎むべき相手ではない、いわば兄弟の対決なので覇気がない状態。しかし、試合が始まると壮絶な打合いが繰り広げられるのだった。
前篇の複雑に絡み合う人間模様に期待していたけど、芳子とその母(河井青葉)、バリカンと父、新次と母といった親子の絆の描かれ方がかなり薄くなってきていた。特に震災の影響で母親を置き去りにした芳子に関しては、同じカットにいるのに繋がらないし、バリカンと父はリングで倒れていくのと同時に息を引き取ったみたいで繋がらない。新次の母京子だけは「殺せ、殺せ」と積年の恨みを晴らすかのように新次を応援するが、新次との確執が解消するわけではない。新次との繋がりを求めていたバリカンの熱い想いとは裏腹に親子関係が薄らいでいくのだ。ある意味、それを主張したかったのかもしれないけど、どうも釈然としないのです。
ボクシング映画だと思って見ていれば、それなりに凄い作品です。また、それ以上に、全編通して背景にある社会奉仕プログラム法の反対デモが現代社会への警鐘として訴えてくるものがあるのです。今の与党が3分の2を超える状態なら、日本を戦争ができる国にして、徴兵制をも復活させることは簡単かもしれない。オリンピック直後という時代設定も考えると、ナチス政権下のドイツをも思い起こしてしまいます。
★★★・・
・前篇
新次の父親が自殺したのは、派兵先で逃亡したことがきっかけで仲間から制裁を受けたことにより、その肉体的・精神的苦悩を持ったことが原因だった。その制裁を加えた1人がバリカンの父親健太(モロ師岡)だったというのだ。
2022年、新次は因縁の相手・山本裕二(山田裕貴)との対戦が決まり、トレーニングにも熱が入るようになった。試合当日にはバリカンが新次との別れを決意して、オーナーである二代目(川口覚)が山寺ジムに引き抜いたのだ。試合は泥沼の様相を呈していたが、喧嘩殺法のごとく乱打戦を戦い抜いた新次が判定勝利となる。そんな中、新次の彼女となっていた芳子がアパートを去り、新しい人生を歩み始める。芳子にとって新次は愛する対象ではなく、セックスするなら誰でもいいといった性格。
一方、バリカンは徐々にボクシングの腕を磨き上げ、ランキング3位のボクサーとの試合が決まりかけたが、それを断り新次との対戦を望む。二代目が堀口のジムのオーナーなので簡単に対戦が決まる。そしていよいよ新次とバリカンの対戦。「憎め」「殺せ」といった呪文のような言葉で打倒新次を夢に描くバリカン。新次は今までのように憎むべき相手ではない、いわば兄弟の対決なので覇気がない状態。しかし、試合が始まると壮絶な打合いが繰り広げられるのだった。
前篇の複雑に絡み合う人間模様に期待していたけど、芳子とその母(河井青葉)、バリカンと父、新次と母といった親子の絆の描かれ方がかなり薄くなってきていた。特に震災の影響で母親を置き去りにした芳子に関しては、同じカットにいるのに繋がらないし、バリカンと父はリングで倒れていくのと同時に息を引き取ったみたいで繋がらない。新次の母京子だけは「殺せ、殺せ」と積年の恨みを晴らすかのように新次を応援するが、新次との確執が解消するわけではない。新次との繋がりを求めていたバリカンの熱い想いとは裏腹に親子関係が薄らいでいくのだ。ある意味、それを主張したかったのかもしれないけど、どうも釈然としないのです。
ボクシング映画だと思って見ていれば、それなりに凄い作品です。また、それ以上に、全編通して背景にある社会奉仕プログラム法の反対デモが現代社会への警鐘として訴えてくるものがあるのです。今の与党が3分の2を超える状態なら、日本を戦争ができる国にして、徴兵制をも復活させることは簡単かもしれない。オリンピック直後という時代設定も考えると、ナチス政権下のドイツをも思い起こしてしまいます。
★★★・・
・前篇
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