「何が原因だったの?」
と私は父に尋ねた。
「詳しくはわからないが、仕事のトラブルだったらしいんだ。会社ごとのっとられた感じになっちゃったんだろうな、わかりやすく説明すると・・・・。何で東京湾に身を投げたのか、本当に身を投げたのか遺体が出てきたわけじゃないからな。ただ、遺書だけが送られてきたんだ。そこが問題なんだ。」
「なんで?」
「お義父さんは子供全員にあてた手紙を郵送で、送ったんだ。ママ以外にね。」
「何でママには送らなかったの?」
と当たり前の質問をしたはずだったのに、父はしばらく黙っていた。言葉の並べ替えをしているかのように考えた様子を見せ、ゆっくり話し始めた。
「そこに理由はないんだ。」
話がだんだん難しくなってきているような気がしてきた。
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