道の駅で眠ったその夜、ちょっとしたハプニングが発生・・・。
枕が変わると眠りが極端に浅い私なのだが、夜中にこいちゃんのうめき声で目が覚めた。
寝ぼけた頭を無理やりにおこしつつこいちゃんに声をかけると
「お腹痛い・・・気持ち悪い・・・・吐きそう・・・」
と、半泣きで訴えるではないか。
すぐに目がシャキっと覚めて伴侶を揺り起こす。
歩くのも辛いこいちゃんのズボンを引っ張るようにしながらトイレに連れて行き、とにかく便器に座らせてみる。
外は驚くほどの寒さで、自分のジャンバーを脱いでこいちゃんに着させて、膝にはこいちゃんの上着を乗せたが、あまりの寒さに私は歯の根が合わないほど!
伴侶は寒さ・・と言うよりも眠りを妨げられた事が一番うんざりしているようであった。
結局それから数分して「お腹を壊した・・・けど、楽になった」とこいちゃんが車に戻ってきた。
目の前に普段見ないようなごちそうが並んで、調子にのっておそらく食べ過ぎたのだろう・・・。
何ともこいちゃんらしい・・・。
それからたっぷりと朝日が昇るまで眠った子供達。
喧嘩防止に真ん中に置いたクーラーボックスが非常に邪魔だったらしく、攻撃されっぱなしのこいちゃんには好評だったが、いっくんには不評であった。
「頭をすごく沢山打ったよ!!」それだけこいちゃんが被害受けてるってことです。
道の駅の売店では、朝ごはんに酒粕コロッケなるものを購入して食べた。
こいちゃんは珍しく「朝ごはんいらない・・・まだしんどい・・・」と言うので、心配になり予定を早めて帰宅することも提案したが、どうしてももう一泊したいと懇願。
様子を見ながら計画を立てようと言う事で慎重に進めることになった。
ちょっとでもこいちゃんの疲れた胃腸を癒せる場所に・・・と言う事で、「みき山森林公園」に行く事に。
無料駐車場のスケールも超ビッグだし、公園自体が超広い。
噴水にいたアメンボを必死で追いかける二人をしり目に、私と伴侶は子供達の為に持ってきたラケットで、テニスをして遊ぶなど、しばしのんびりとやりたいことをやって過ごす。
こいちゃんの調子はどんどん良くなり、意欲もわいてくる。
アメンボはちょっと置いといて、4人で山に入ることにした。
広い山には色々な植物が植えられ、カブトムシでもいそうな腐葉土の独特な匂いが立ち込める。
山頂に向かう間、色々なアスレチックがポツリポツリと設置され、子供達も楽しみながら山頂に。
口は達者なくせに、いっくんほど俊敏にアスレチックを楽しめないこいちゃん。
このどんくささと生意気なギャップが面白い年齢・・・。
山頂は様々なアスレチック遊具などがあり、強い日差しの中子供達は汗を浮かべて遊んだ。
呼んでも帰ってこないし、どこに走って言ったのかもわからない。
腹痛はなんだったの?と言うくらい元気になったこいちゃんである。
奥に歩いていくと事務所が設置されており、そこで色々な工芸体験が出来ると言う事でこいちゃんといっくんが飛びついた。
こいちゃんはウエルカムボード。
いっくんは木材を自由に選んで自由制作である。
こいちゃんがリスのウエルカムボードを嬉しそうに選んで工作室に入っても、いっくんは珍しく迷いながら袋いっぱいの木材をチョイスしながらイメージを固めて行くのだ。
イメージを膨らませ、仮置きしたりしながら何とか作業開始である。
サポートのおじさんが一緒に教えてくれて金槌で作業したり、数種類のヤスリで形を整えたりする。
我が家にはない、万力や糸鋸まで使わせてもらえて、ドキドキしつつも夢中である。
何度も試行錯誤を重ねて・・・・
何とか数種類のオブジェやおもちゃが完成!
木を飛ばして箱にシュートする玩具・・・などらしい。
こいちゃんのリスのウエルカムボードはヤスリ中心で女の子向け。
ひたすらヤスリをかけて周りを丸く、かわいらしいフォルムにしていくのだ。
飽き性のこいちゃん、途中で嫌になって放り出していたら伴侶が気を使ってヤスリを手伝った。
ところが、それを見てこいちゃんは「ここがやりすぎ」だの、「ここだけ変」だの、文句ばかり。
派手な工作は出来ないくせに、人のせいにして揚げ足を取ることにかけては一流である。
ぶーぶー文句を言いつつも、粉まみれになりながら何とかヤスリ完成。
それをしっかりバーナーであぶり、周りを黒く焦がしてゆく。
糸鋸を使ういっくんを眺める時もそうだったが、親はハラハラしっぱなしである。
係りの方は慣れているのか平気で子供にバーナーを持たせるが、青い焔を「ゴー!」と吹き出す様子を見ていると心臓に悪い・・・。
心配ばかりしているのは親だけのようで、こいちゃんは普通に作業を終了。
固めのブラシで余分な炭をこそげ落とすと、それを見ていたいっくんが「炭、ほしいなぁ~」とおねだり。
なんでそんな変な物ばかり欲しがるカナ・・・。
何とか無事に完成!
こいちゃんのあまりのヤスリの遅さ(集中力のなさ?)に係りのおばさんも「まだやるの?」的な空気になっていたけど、放り出さなかっただけよしとしよう・・・。
結局子供達が夢中でゴリゴリ、カンカンやっていた時間は実に2時間30!
そりゃ、伴侶も思わず机に突っ伏して昼寝するってもんです。
その後、お昼ごはんに色々チョイス出来るから、ということで「くら寿司」に行った。
お腹に不安を抱えるこいちゃんも好きな物を食べて、体調も戻ってきたようである。
近くに「堀光美術館」があると言う事で向かったのだが、子供達にはちょっと判らないかも?と思ったので「好きなのを一斉に言おう」と遊びを交えて美術品を鑑賞することに。
家族4人で1スペースに置かれた美術品を吟味し、「せーの」で一番自分が欲しいと思った作品を指さすのだ。
これは感性が凄くでて、好みもバラバラだったりして、館内を回るのが楽しかった。
好きな作品を選んだ子供達は我先にと自分がなぜその作品に魅かれたかを夢中で説明。
その解釈が大人とは違っていたりして、改めて面白かったのである。
次に、私がキャンプで持ち歩いていた十徳ナイフに、子供達が興味を持ったため、「金物資料館」に入ることになった。
いっくんは、十徳ナイフが展示されているのかと、ワクワクしながら入ったが、生憎、もっと古くからの金物であるのこぎりの歴史や刃物の出来ていく様子などだった為、少しがっかりしていたようであった。
それでも展示点数はものすごい数だし、地金と鋼を合わせて見事な職人技で刃物を作っていく様子は日本の匠の素晴らしさに感動ものであった。
こいちゃんは昔ながらの木の切り方に沿って作られたのこぎり等を見て感心していたようだし、質問に丁寧に答え、閉館ギリギリまで私達の相手をして下さった館内のおばさんにも感謝しきりの様子であった。
こいちゃんのお腹思いの1日はこんな風にゆったりと終わった。
温泉では、「湯庵」と言うところに入り、鉄をたっぷり含んだ茶色い温泉を楽しんだ。
いつもどこかへの通り道でしかなかった「三木」は、実はとってもコンセプトのしっかりした面白い土地であったことを再認識したような気がする。
再び道の駅みきに戻り夜の散歩などを楽しんでから一夜を明かした。
翌日はいよいよ大阪に帰る日である。
道の駅みきにも金物の展示をしていると言う事で寄ってみることにした。
玩具を買いたくて仕方ない子供達は感覚が狂っているのか、子供らしくない刃物や、高価な品を見つけては「これ買って!」を連発。
結局子供には勿体ない品や危険だったりするものもあり購入することはなかったが、私の使っていたゾーリンゲンの十徳ナイフをこいちゃんといっくんに一つずつあげることになってしまった。
3本とも父がドイツで買ってくれた(1本は弟のだったが彼は興味なし・・・)ものだったが一番ツールの沢山ついていたビクトリノックスのアーミーナイフは何とか取られないように死守。
「これだけはあげられないよ!」と我慢させたが、よだれをたらさんばかりの勢いで見ていたいっくんに、いつか取られそうである・・・。
空も暗く、そのまま大阪に向かうつもりで、帰り道に「IKEA」で机を買って出た頃には雨が降っていた。
まっすぐ家に帰るつもりだったので「タイミングよかったねぇ」と車でワイワイ言いながら岐路についた。
「近場」と言う事もあり、気負わない旅行が出来て実に楽だった。
子供達も遠くに行ったつもりで満足した様子であったし、神戸、意外とキャンプでも面白いかもしれない。
今後、まだまだ掘り下げて旅行してみたい場所の一つとなったのであった。