田舎で毎年行われる、小さな盆祭り。
実家から数百メートルのところで開催される、本当にささやかな、出店も何もないお祭りである。
しかし、子供たちにとってはこれが盆の楽しみになっているらしく、毎年参加しているのだ。
今年で何年目になるやら、歩けるようになってからはずっと参加しているため、踊りも地元の方々と変わりなく踊れるほどである。
こいちゃんはわざわざ着物を着て踊りに参加した。
私は少し遅れて参加することになったが、子供達はそんな大人たちを待ちきれず先にお祭りに向かっていた。
こいちゃんは先に向かって踊っていたのだが、ついてビックリ、いっくんがマイクを握っているではないか。
何のマイクかと思えば、祭りの太鼓と歌に合わせて入れる「合いの手」を歌うマイクである。
ふつうは大人が務めるレッキとした祭りの重要な役目らしいのだが、なぜかいっくん、周りにいたおば様達に見初められ(??)やることになったのだという。
リズムも間違いがなく、音程も自然だったため、そのままGOサイン。
色々な大人たちが声を聴きつけてマイクのところまでやってきては「スゴイな!」といっくんの頭を撫でていくのだ。
何十分もマイクを握っていると声もかすれてくるので、お茶を飲んだりしていたが、こいちゃんも交代したがったので、少し任せてみることに。
いっくんほどの元気な大声は出ないものの、こいちゃんも頑張った。
2人で何度も交代したり、その合間に踊ったりする。
そんな孫たちを指さして、お酒を飲んで上機嫌の父は「うちの孫やねん」と嬉しそうにご近所さんにアピールした。
地元の子供達以上に地元の子供のような二人を見て、父も大変ご機嫌であった。
お祭りが終わる10時30頃まで2人は合いの手を入れ、歌い切った。
最後は大人たちに囲まれて拍手をされ、二人はやりきった満足感に嬉しそうであった。
数時間、二人でマイクを交代しあいながら頑張ったのだ。
くじ引きでしょうゆが当たり、「もらえる」の大好きなこいちゃんにはさらに嬉しいお祭りとなった。
その他にもご褒美を沢山もらい、「がんばったからねぇ」と二人ともしみじみ自分をほめたのだった。
子供たちにとっても、それを見守る大人たちにとっても感慨深い一日であった。