『フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠』 マイケル・モス(本間徳子・訳)
¥2,000+税 日経BP社 2014/6/9発行
ISBN978-4-8222-5009-6
原題は「SALT,SUGAR,FAT」。そうね、この三つは確かに罠だわ……。
至福の罠。
罠とわかっていてもフラフラと自らかかりに行ってしまいそう。
私は甘いものが大好き。大の甘党。主食がケーキやチョコレートでも生きていけます。少なくとも味覚的には。体はそうはいかないだろうけどね。糖尿病が怖いからさすがに我慢してます。その心配がなかったら、自分が一体どれだけ甘味に走るか己のことながら予想がつかない。
ただ甘いだけではなくて、脂肪との組み合わせが必須。
砂糖をそのまま舐める気はない。
和菓子も嫌いじゃないけど洋菓子ほどじゃない。それは生クリームの油脂分のせい。
脂肪の訴求力は恐ろしいほどだ。私の弱い意志では抵抗できない。
そして塩。
はっきりした味が好きな私はもちろん塩も好き。
料理は濃い味付けが好きだし、サラダにはたっぷりドレッシングをかけたい。
料理の褒め言葉として最高のものが「こってり」ではなかろうかと本気で思う私の体脂肪は、順調に右肩上がりです。30%を超えて慌ててダイエットに励み、23~4%にまで落としたのも今は昔……。
本書は、この3つを使っていかに加工食品業界が客の舌を虜にしてきたかを描き出す。
コーラをはじめとする清涼飲料水に含まれる砂糖、シリアルはすでに菓子よりも菓子らしく、健康的と思われているチーズに含まれる脂肪の量の恐ろしさ、健康的な食品を作ろうとしてみれば顧客はそっぽを向き……。
> チーズが売れるのには別の理由もある。牛乳と違って、人々はチーズを脂肪分の多い食品だと見ていないのである。実際には、チーズは脂肪分が多い。特に、心臓病との関連性が指摘されている飽和脂肪酸が多く、栄養学者らが勧める不飽和脂肪酸は少ない。(244頁)
> 彼が「Crave it!(欲しがれ!)」と題した研究報告は、人々が塩分、糖分、あるいは脂肪分の多い食品に引かれるのには空腹以外の理由があると指摘していた。その理由とは、飢餓からわが身を守ろうとして体が発する嫌な感覚を避けたいというものだ。空腹への恐れはわれわれに深く根ざしており、食品メーカーはどうすればこの恐れのスイッチを押せるかをよく知っている。(378頁)
> ポテトチップの原材料も、過食を引き起こすパワーでは引けを取らないからだ。まず表面の塩分が舌を魅了する。しかし内部にはもっと魔力が潜んでいる。ポテトチップは脂質が多い。脂質はカロリーの大部分を担うだけでなく、噛んだ瞬間に独特の口当たりをもたらす。手についた油分は一般的にべたついて不快だが、口の中の脂肪分は驚異的な感覚をもたらし、脳は瞬時に快楽信号を発する。(441頁)
> 「明らかに、加工食品の糖分は一部の人に脅迫的な摂取パターンを引き起こします」とヴァルコフ。「その場合、私は、それらの食品を避けるように勧めています。クッキーを2枚だけ食べよう、とはしないほうがいい。[…]コントロールできるものではないからです。意志の問題ではありません」(458頁)
食べ始めたら止まらないよね……。すごく実感。