「ハンゲショウとカラスビシャク」紛らわしいハンゲショウとカラスビシャク!花や植物の話!
半夏生(はんげしょう)は、夏至から数えて11日目の7月2日頃を、
七十二候のひとつ半夏生と呼ばれる日です。
この頃、一斉に生えてくる、半夏と呼ばれる雑草のカラスビシャクと、
コンロンカのように、葉っぱが白くなるハンゲショウという、
雑草の植物もあります。どちらがハンゲショウなのか、間違いやすいです。
葉っぱが白くなるハンゲショウは「半夏生、半化粧」などの、
漢字があてられています。
7月2日頃に花が咲き、七十二候のひとつ半夏生と重なり、
名前が付けられたようです。
また、葉っぱの片面(表面)だけが、白くなることから、
古くはカタシログサ(片白草)とも呼ばれています。
茎や葉っぱを傷つけたり、折ったりすると、ドクダミの臭いがします。
同じ仲間に北アメリカの、アメリカハンゲショウがありますが、
アメリカハンゲショウは、葉っぱが白くなりません。
ハンゲショウは本州以南、中国、朝鮮半島、フィリピンなど、
東アジアの亜熱帯性湿地に、分布している雑草です。
繁殖力が強く、根っこを取っても取っても、生えて嫌われる雑草に、
ドクダミ、セイタカアワダチソウ、チガヤなどありますが、
ハンゲショウも、そのひとつで「百姓泣かせ」と言われています。
少しでも根っこが残ってると、翌年生えてきます。
7月2日頃に咲き、葉っぱが白くなるハンゲショウは、ドクダミ科です。
同じ時期に咲き出すカラスビシャクは、サトイモ科です。
カラスビシャクは、漢方薬に使われる半夏(はんげ)で、
全草は三白草(さんぱくそう)、根茎は三白根(さんぱくこん)の、
生薬名で呼ばれ、利尿、解毒などの作用があるとされています。
昔は、カラスビシャクが、あたり一面咲いていて、
農家は半夏作(はんげさく)といって、カラスビシャクが咲きだすと、
大事な節目の日、七十二候のひとつ半夏生を目安にして、
この日までに「畑仕事を終える」「田植えを終える」
目標の日とされ野良仕事を終える。
終えると7月2日頃から5日間は休んで、祝い事の行事を行った。
カラスビシャクは、ウラシマソウを小さくしたような花の姿で、
特徴として雌花が背面で仏炎苞になり、垂れ下がることはなく、
伸び上がったままになります。
北海道から九州まで広く分布し、中国、朝鮮半島などにも分布。
元々は中国から来たようですが、繁殖力が強くて駆除が大変なので、
嫌われる雑草です。
- 別名
- 特色 七十二候の半夏生
- 科 ドクダミ科
- 原産 東アジア
- 花期 6下旬~7月
カラスビシャク
いかがでしたか?
花の楽しみ方は、色々ありますね。
自然界や植物を知る事も、そのひとつです。
7月上旬は梅雨も後半となり、農作物を育てる上で、
ひとつの目安となる時期で、各地では様々な行事や習慣があります。
近畿地方では半夏生餅と言って、昔から大和の国、南河内、北和歌山地方で、
きな粉をつけていただく餅があります。三つの地域では、
半夏生の日に、半夏生餅を食べる習慣が現存しています。
小麦粉を入れた半夏生餅の味は、誰が食べても、
サクサク感があり、懐かしく郷愁をそそる味だそうです。
関西地方では、田に植えた稲の苗が、蛸の足のように、
大地にしっかりと根を張り、豊作になるようにと、
祈願する意味が込められて、蛸を食べる所もあります。
大阪のたこ焼きも、同じような意味か、商売繁盛から、
生まれたのかもしれませんね。どうして大阪が、
たこ焼きなのか不思議でした。7月2日は「タコの日」だそうです。
また讃岐地方の農村では、半夏生にうどんを食べる習慣があり、
1980年に香川県製麺事業協同組合が、7月2日は「うどんの日」
と制定してます。うどん県と言われるまでになっています。
福井県大野市を中心にした地域では、江戸時代に大野藩藩主が、
半夏生の時期に、農民に焼き鯖を振舞ったという逸話があり、
現在でも大野市の地域では、半夏生に焼き鯖を、食べる習慣があります。
若狭小浜の焼き鯖が有名ですね。その名残でしょうか。
ハンゲショウ(半夏生)は、同じ雑草でも、歴史的な流れから言って、
カラスビシャクが、ハンゲショウの花という事になりそうです。