モトログ ~ある診断士の終わりなき挑戦~

事例Ⅲのダイアログ(その3)

事例Ⅲダイアログの続きです。

第3問
C社の内外作決定は稼働率のみが優先されている。この方法は長期的にみてC社の経営にどのような問題をもたらすことになるか。100字以内で述べよ。

(出題の趣旨)
本問は、C社の内外作の判断基準および製造部の現状を問題文中から適切に読み取ったうえで、外注を活用するメリット・デメリットなどの基本的知識を応用し、内製化すべき部品・加工工程について戦略的思考能力を問うものである。

(モトログ振り返り解答)
現状の内外作決定は、C社や外注先のコアコンピタンスを基準にしておらず、戦略的に区分されていない。これは長期的に加工技術の蓄積を困難にし、また納期の長期化、品質低下、製造コストの増大等の問題をもたらす。


~ ここからダイアログ開始 ~

まず出題の趣旨にある外注活用のメリット・デメリットをまとめてみる。
○外注活用のメリット
・自社にない技術やノウハウを活用できる。
・価格面や品質面で有利な場合がある。
・設備投資コストがかからない
・労務管理が容易になる。
・需要変動に対し生産調整を行いやすい。   など
○外注活用のデメリット
・自社の機密やノウハウが外部に漏れる可能性がある。
・業務委託により柔軟性、迅速性を失う場合がある。
・不適切な外注先を選定した場合、コスト増や納期遅れを招く。
外注した分野の技術ノウハウ蓄積が出来ない。  
・外注先の管理や指導が必要になる。        など

次にC社の内外作決定に関する箇所を列挙してみる。
・発注が必要な部品・材料のうち、購入部品・材料は資材調達部が発注
・内外作決定は社内の稼働率優先 → 空きがあれば社内加工
・工程の空きは随時、資材調達部が製造部からのヒアリングで把握
常時取引ある外注先は20社
外注は外注先の特性に応じて外注管理担当者が決定


ここで(モトログ振り返り解答)に書いた前半部分を考察。
「現状の内外作決定は、C社や外注先のコアコンピタンスを基準にしておらず、戦略的に区分されていない。」
確かに「C社のコアコンピタンスを基準にしていない」点は与件情報から指摘できる。
それでは「外注先のコアコンピタンス」についてはどうだろうか。
与件には「外注先の特性に応じて外注管理担当者が決定」とあり、外注担当者は20社の外注先をある程度理解している可能性が高い。
よって「外注先のコアコンピタンスを基準にしていない」とまでは言い切れない。


そして(モトログ振り返り解答)に書いた後半部分。
「これは長期的に加工技術の蓄積を困難にし、また納期の長期化、品質低下、製造コストの増大等の問題をもたらす。」
「長期的に加工技術の蓄積を困難」は、このケースでも充分当てはまるのでいいだろうということになる。問題はそれ以降である。
まず「納期の長期化」。
これについては、内外作決定方法によりも第4問に出てくる「外注管理」「発注方法」に起因していると考えるほうが自然である。
また「品質低下」「製造コストの増大」についても、やや一般論すぎるような気がする。
それではどうしたらいいだろうか。
事例全体を見直してみるともともとC社の強みは「合理化・省力化のための機器の製作力」である。
しからば
    「長期的に加工技術の蓄積を困難」
          ↓
    「合理化・省力化のための機器の製作力が失われる」
          ↓
    「技術的提案ニーズに対応できない」
          ↓
    「競争力が低下する」

というロジックが成り立つ。こちらの方がしっくりくるかもしれない。

(3人で導き出した解答)
現状の内外作決定は、C社のコアコンピタンスを基準にしておらず戦略的に区分されていない。これは長期的に加工技術の蓄積を困難にし、強みの機器製作力が失われ、技術的提案ニーズに対応できず競争力が低下する。    

次回へ続く   

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