花の好きな健吾が校庭で草花の手入れをしている時だった。
部活が終わって校庭を走る奈々の大きな胸が、半袖の白トレーナーの中でユサユサと揺れていた。
先ほど目にしたそんな光景が健吾の頭から離れない。
奈々は彼が高校で担任をしている3年のクラスの生徒だ。
ぶるっと雑念を払うように頭を振ってハンドルを握り直した。
道の両側に広がる青々とした稲のきらめきが、7月の暑さを倍増して、エアコンを利かした車の中でも額に汗がにじむ。
健吾の自宅は勤務する高校から5㎞ほど離れた田舎町にある。
祖父の代より住んでいる家は平屋ではあるが、一戸建ての木造建築で柱や梁が太くてしっかりしている。
しかし建付けが少しくるってきたのか戸の間に隙間が見えてきた。
雨戸を開け閉めするときにも滑りが悪く、軋んで苦労をしている。
子供のいない夫婦は建て替えるつもりはなく、冬になると入ってくる隙間風をカーテンなどで何とか凌いでいる。
自宅の前庭にある駐車場に着くと、妻の正代が目じりに皺をいっぱい作った笑顔で玄関から迎えに出てきた。
正代とは高校の同級生で、頭が良く大人しい性格に健吾が惚れて付き合い始め、彼が私立高校の教師になって5年目に結婚した。
それまで正代は大手建設会社の経理部に勤めながら健吾の求婚を待っていた。
結婚後も従順な妻を愛して、横道に逸れたことのない彼だ。
部活が終わって校庭を走る奈々の大きな胸が、半袖の白トレーナーの中でユサユサと揺れていた。
先ほど目にしたそんな光景が健吾の頭から離れない。
奈々は彼が高校で担任をしている3年のクラスの生徒だ。
ぶるっと雑念を払うように頭を振ってハンドルを握り直した。
道の両側に広がる青々とした稲のきらめきが、7月の暑さを倍増して、エアコンを利かした車の中でも額に汗がにじむ。
健吾の自宅は勤務する高校から5㎞ほど離れた田舎町にある。
祖父の代より住んでいる家は平屋ではあるが、一戸建ての木造建築で柱や梁が太くてしっかりしている。
しかし建付けが少しくるってきたのか戸の間に隙間が見えてきた。
雨戸を開け閉めするときにも滑りが悪く、軋んで苦労をしている。
子供のいない夫婦は建て替えるつもりはなく、冬になると入ってくる隙間風をカーテンなどで何とか凌いでいる。
自宅の前庭にある駐車場に着くと、妻の正代が目じりに皺をいっぱい作った笑顔で玄関から迎えに出てきた。
正代とは高校の同級生で、頭が良く大人しい性格に健吾が惚れて付き合い始め、彼が私立高校の教師になって5年目に結婚した。
それまで正代は大手建設会社の経理部に勤めながら健吾の求婚を待っていた。
結婚後も従順な妻を愛して、横道に逸れたことのない彼だ。
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