4月4日 (水)(その2)
それから、15時頃、次女子が就活に出掛けた。
玄関から 次女子が「いってきまーす!」と、
リビングの コタツ机の下にいた 雅くんに 声を掛けた。
雅クンが、小走りで、次女子に駆け寄った。
「え? 何? どういう事?」
雅クン、今、走った!?
もう、脱水症状もかなり進んで、歩くのもヨワヨワの雅クンが?
なんで?
ワタシは 雅クンが 必死に、次女子を 止めに行ったのだと、思った。
もしかして、
・・・あんた、今、出掛けたら、危ないやつちゃうのん?
しかし、うろたえるワタシ達を尻目に
雅クンは 玄関ドアの前へ 回り込んだ。
それは、「散歩に連れて行け」という 仕草だった。
「そういえば、昔、小学校の頃、こんなんして、付いてきて
一緒に、外、出ちゃったりしてた・・・。思い出したわ。」
と、次女子が、言った。
ワタシ達は そのまま、雅クンと、外へ出た。
もう、散歩用のリードも 必要なかった。
ワタシと雅クンは 家の前で、次女子の姿が 見えなくなるまで、見送った。
それから、ワタシは 雅クンに
「どうする? 家、入る?」と、聞いた。
ビックリする事に 雅クンは そのまま、歩き出した。
3メートル進んで、うずくまり、また、3メートル程 進んでは、また、うずくまった。
ワタシは余りの予想外の行動に 慌てて、付いて行った。
雅クンは このまま、家出するつもりなのか?
と、思った。(猫は死ぬ時、姿を消すとか、言うから。)
ワタシは 家の中で、レイちゃんがワンワン吠えてるし、
鍵も閉めてないし・・・と、
2件隣の家の前で うずくまった雅くんを そーっと、抱いて、家に帰った。
後で、冷静に 考えてみれば、
その先の、散歩の時、よく雑草を食べてた所に 行きたかったのかもしれない。
しばらくして、ワタシは 2階で用事をする為に 雅クンも 連れて行った。
少しでも、一緒に居たかったから。
畳の上に雅クンを下ろすと、雅クンは自分で ベランダに出て行った。
そんな体力、どこに残っているのか と、思った。
そして、L字のベランダの、反対の窓まで歩いて、そこで、いつもみたいに、寝そべった。
そんな、雅クンを 見て、レイちゃんが、とっても、とっても、喜んだ。
雅クンが 元気になったと、思ったようだ。
でも、もう、雅クンは いつもみたいに ぴょーんと、部屋には 入って来なかった。
その後 雅クンは、また、風呂の前にうずくまった。
それでも、少しでも 長く、雅クンを見ていよう と、思ったワタシは
洗面所に寝転んだ。
また、雅クンが すごーく、驚いた顔をしたような気がしたので、
すぐ、止めた。
それから、雅クンは ワタシが 朝、ピカピカに磨き上げた 風呂場にも入ってくれた。
その夜も ワタシは 今日の雅クンの行動に
号泣しながら夕飯を作った。
雅クンは ダンナちゃんのベットで 過ごしていた。
その日は 風が強くて、だいぶん寒かった。
ダンナちゃんは、雅クンの為に 寒風の中、耐えていた。
どれくらい、雅クンに伝わったかは、いささか疑問だか、
それが、ダンナちゃんなりの 精一杯の愛情表現 だったのだろう。
それから、「ご飯やで~」と、家族を呼んだら、雅クンが 振り向いた。
調子が悪くなってからは、「ゴハン」と、言う言葉にも、一切、反応しなかったのに。
色んな事をし始めた雅クンに ワタシは何度も 言った。
「もう、死ぬの、止めたら?」
確か、その夜、だったと、思う。
雅くんが 調子が悪くなってから 口を水に浸けるのを ワタシは 初めて、見た。
それまでも、たぶん、1日、1回ぐらいは 水を 覗き込んでいたと、思う。
飲むのか? 飲むのか?と、ワタシは いつも、必死で見てたけど、
雅クンは、いつも、ギリギリで 口を浸けるのを止めた。
でも、その夜、雅クンは、鼻まで 水に突っ込んだ。
ワタシは ビックリした。
飲もうとしたのか、支える力が 抜けてしまったのか、わからなかった。
でも、雅クンは 顔に付いただろう水を 舌で 舐める事もなく、何事もなかったように
また、冷たい場所へ帰って行った。
もし、明日も、雅クンが 生きてたら、
ワタシは 本当に病院に 連れて行きたくなるかもしれない。と、思った。
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