ラボ・パーティではこの年初夏に、あたらしいライブラリー(絵本と音声の教材)が刊行されました。
その中のひとつ『ラン パン パン』。インド民話から、マギー・ダフ作 ホセ・アルエゴ絵
訳は山口文生氏で、今回あたらしい訳をつけて下さいました。
以前から読み聞かせをしてきましたが、大人もいっしょに楽しめる絵本です。
王さまに連れて行かれた女房を、クロドリが取り返しに行くのですが、
その行進の勇ましいこと、とげの刀、カエルの皮を盾に、クルミのからは兜と太鼓に、
ランパンパン、ランパンパン、ランパンパンパンパン
と太鼓を叩いて行くのです。
このコミカルな武装姿と太鼓の音が、目と耳にインパクト!
もう忘れられません。
子どもたちは、自然にいつまでも「ランパンパン!」と口に出してとまらないし
そのへんにあるものを身につけてドンドンと足踏みならして
動き回りますね。
ゆく道でクロドリに味方がついていくのですが、猫、アリ、木、川が
みんな耳の中に入るのです!
ここは、よくお話会でかたるイランの昔話「まめたろう」と似ていて愉快なんですね。
どちらも、小さな非力なものが、理不尽な強者に立ち向かい、
仲間を得て平和をかちとるスッキリ痛快なお話です。
くしくも今日、現代の日本では
ときの総理大臣が、国民の大切な憲法の、
平和の項を奪ってしまいましたが
官邸の前には多くのクロドリ団が、音や声をたてて押し寄せていました。
武装して戦う相手は、誰なのか
クロドリにはわかっています。
猫や蟻や、木、川を耳に入れることができるか。
さまざまな種の声を、きくことができるか。
民話には知恵がつまっていますね。