古事記 中つ巻 現代語訳 五十二
古事記 中つ巻
景行天皇・系譜
書き下し文
おほよそ此の大帯日子天皇の御子等、録せるは廿一王、入れ記さぬ五十九の王、并せて八十王の中に、若帯日子命と倭建命、また五百木之入日子命、此の三の王は太子の名を負ふ。其れより余七十七の王は、悉く国々の国造、また和気、また稲置・県主に別け賜ふ。故若帯日子命は、天の下治らしめしき。小碓命は、東西の荒ぶる神と伏はぬ人等を平けたまふ。次に櫛角別王は、茨田下連等の祖。次に大碓命は、守君・大田君・島田君が祖。次に神櫛王は、木国之酒部阿比古・宇陀の酒部の祖。次に豊国別王は、日向国造の祖。
現代語訳
おほよそ、この大帯日子天皇(おおたらしひこのすめらみこと)の御子たちは、録(しる)せるは二十一王、入れ記されない五十九の王、あわせて八十王。その中で、若帯日子命(わかたらしひこのみこと)と倭建命(やまとたけるのみこと)、また五百木之入日子命(いぼきのいりひこのみこと)、この三の王(みこ)は太子(ひつぎのみこ)の名を負っています。それより余(ほか)七十七の王は、悉く国々の国造(くにのみやつこ)、また別(わけ)、また稲置 (いなぎ)・県主(あがたぬし)に別け賜いました。故、若帯日子命は、天の下を治(し)らしめました。小碓命(おうすのみこと)は、東西の荒ぶる神と伏(まつろ)はぬ人等を平(ことむ)けになられました。次に櫛角別王 (くしつのわけのみこ)は、茨田下連(うまらたのしものむらじ)等の祖(おや)。次に大碓命(おおうすのみこと)は、守君(もりのきみ)・大田君(おほたのきみ)・島田君(しまだのきみ)が祖。次に神櫛王(かみくしのみこ)は、木国之酒部阿比古(きのくにのさかべのあひこ)・宇陀酒部 ( うだのさかべ ) の祖。次に豊国別王(とよくにわけのみこ)は、日向国造(ひむかのくにのみやつこ)の祖。
・国造(くにのみやつこ)
大化の改新以前における世襲制の地方官。地方の豪族で、朝廷から任命されてその地方を統治
・別(わけ)
称号
・稲置 (いなぎ)
律令制や大化の改新以前の古代の日本にあったとされる地方行政単位、県 (こおり)
・県主(あがたぬし)
律令制が導入される以前のヤマト王権の職種・姓(かばね)の一つ
・まつろはぬ人
従わない・平定事業において抵抗を続ける
現代語訳(ゆる~っと訳)
すべて、この大帯日子天皇の御子たちは、記録されているのは21人の王、記入されていないのは59人の王、あわせて80人の王。
その中で、若帯日子命と倭建命、また五百木之入日子命、この3人の王は、太子の名を持たれ、
そのほかの77人の王は、すべて諸国の国造、また別、また稲置・県主に別けて任命しました。
そして、若帯日子命は、天下を統治しました。
小碓命は、東西の荒々しい神と従わない人たちを平定しました。
次に櫛角別王 は、茨田下連たちの祖先です。
次に大碓命は、守君・大田君・島田君の祖先です。
次に神櫛王は、木国之酒部阿比古・宇陀酒部の祖先。
次に豊国別王は、日向国造の祖先です。
続きます。
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ありがとうございました。
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