『ありがち日記』

グレアム・スウィフト『マザリング・サンデー』

確かどこかで書評を目にしていて、1924年のイギリスか~しかもメイドのお話…と、
その時代へのアンテナが敏感となっている私は頭の片隅に残っておりまして。
先月、時間つぶしで入った書店で見つけて「これだ!」と即買い(^^;
読んでみたら、いきなり初っ端から驚きましたけど…

新潮社のサイトからあらすじです。

一九二四年春、メイドに許された年に一度の里帰りの日曜日(マザリング・サンデー)に、ジェーンは生涯忘れられない悦びと喪失を味わう。孤児院で育ち、帰る家のない彼女は、自転車を漕いで屋敷を離れ、人目を憚らず恋人に逢い、書斎で好きなだけ本を読む。そこに悲報が――。のちに著名な小説家となった彼女の、人生を一変させた美しき日をブッカー賞作家が熟練の筆で描く。

まず、マザリング・サンデーという日があるんだ~というところから始まり。
里帰りする家がない孤児であるジェーンは、かねてより懇ろだった隣の屋敷のお坊ちゃんに呼び出される。
階級制度のある英国で、お坊ちゃんと別の屋敷のメイドが密会を重ねるなんて、あり得ないことで。
普段は裏道など人目を忍ぶのに、その日だけは正面玄関から入るように指示があり、
彼の屋敷の彼の部屋で、一糸まとわぬ姿でたわむれています…。
何もまとわない間の二人には身分の差もないわけですね。

その後、2週間後の結婚が決まっている婚約者(!)の元へお坊ちゃんは向かうわけですが…
ジェーンの視点から語られるのみ。いったい彼はどんな気持ちだったんでしょう。
その後の展開には驚きましたが、そこは伏せておきまして…

他のお屋敷でたった一人残されたジェーン。
何もまとわず一人で屋敷内を歩き回ります。
この時の経験が今後の彼女の人生に大きな影響を及ぼすものとなります。
身分の差はもちろんなくなり、そして彼女自身を縛っているものからも自由になる…
彼女はもう一度「生まれた」のです。

彼女は後に小説家となり、とても長生きします。
そして、このマザリング・サンデーの時のことを時々思い出します。

自転車を漕いでいるシーンがあるのですが、その時のジェーンの気持ちがなんとなくわかる気がします。
がむしゃらに漕いでいるときの解放感というか、何物からも自由だ!という気持ち。
わー!って叫びたくなるような。

いろんな余韻を残すストーリーだな~と思いました。
その後、ジェーン以外の登場人物たちがどういう人生を歩んだんでしょうかね。
お屋敷の主人たちが決して幸せではないこともわかりましたし。

面白い本に出会えたな~という満足感でいっぱいです。
この時代の英国ドラマを見てハマっている方にもおすすめです。


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