タイトル通り、奴隷だった少女が成長するまでを記録した本です。
著者であるハリエット自らの経験が、すべて仮名にして書かれていますが、
当初はある少女が主人公のフィクションとして埋もれていたようです…
それが30年以上前に発見され、どうやら本人の記録のようだとわかり、今やベストセラー。
なぜ今こうして多くの人々に読まれるほどになっているのか、そこが注目すべき点かと思うのです。
舞台は160年前の奴隷制度真っ盛りのアメリカです。
新潮社のサイトより、あらすじ。
好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。自由を掴むため、他の白人男性の子を身籠ることを――。奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は忘れ去られる。しかし126年後、実話と証明されるやいなや米国でベストセラーに。人間の残虐性に不屈の精神で抗い続け、現代を遥かに凌ぐ〈格差〉の闇を打ち破った究極の魂の物語。
リンダという少女がハリエットです。
正直読むのは辛かったんですが…
でも一番辛かったのは、ご本人だと思います。思い出したくもない過去を振り返って。
そこまでして書き留めたのはなぜなんだろうかと考えてしまいます。
彼女は賢く(実際、読み書きができている)聡明で、そして勇気のある女性。
フリント一家から逃れるため、自分が自由を掴むため、子供たちも自由にするため、闘い続けています。
今では考えられないような非道が当たり前に横行していて、
その現実と闘い続けることの大変さは、今の私たちには計り知れないものがあるんだろうなぁ。
現代に差別や偏見が無くなったかというと、そんなことはなくって、
男女平等と言いつつまだまだ古い体制から抜けきれなかったり、
人種差別も根深い問題としてまだまだ残っているようです。
または現代の問題はよりグローバル化、デジタル化して複雑化しているような気もします。
そういう時代であるからこそ、ストレートに訴えかける本書が心に響く人が多いのかもなと思いました。
これまでも映像作品や本で奴隷制度を扱ったものを見たことはあるけれど、
自らの経験を自らの言葉で語るというところに重みをすごく感じます。
奴隷だった人々の数だけこういう経験があるだろうし、
その多くは声にも出せず埋もれていってしまったんだろうなと思うと辛いですね。
じっくりと時間をかけて読みましたが、まだまだ理解できない部分もあるだろうなぁ~。
でもこの本を読んで良かったと思います。
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