私は、デビュー作の「パブロ・ハニー」ツアーで来日した時に、心斎橋のクアトロで彼らのステージを見た。正直、退屈な90分だった。ただ、雑然とギターが鳴っている感じ。さすがの関西オーディエンスも、ヒキ気味だった。
それが、2ndの"the bends"で一転。「最高」としか言いようのない楽曲ばかりだった。
私は特に、<nice dream>が好きなのだが、トム・ヨークのお気に召さないのか、この楽曲がライブで演奏されたのを聴いたことがない。
そして、私がもう1枚好きなのがKID A。
一番好きな曲は"Idioteque"だが、アルバム全体の構成が素晴らしい。
はじめて聴いた時に度肝を抜かれ、何度も聴き込んだ。
さあ、そんなRadioheadに共感できる方にお勧めなアーティストを紹介したい。
まずは、THE CURE。
1970年代末期にデビューし、80年代90年代を生き抜き、21世紀になっても活躍するバンドだ。
なかでも、特にお勧めなのが89年発表の"Disintegration"。
1曲目の"Plainsong"から最後の"Untitled"まで、統一されたダークな色彩で描かれいる点は"KID A"に通じるし、暗く冷たい世界の内側に激情が潜んでいるあたりなどは”the bends”と共通だ。それでいて、POPソングとして成立している点はまさに脱帽。"Plainsong""pictures of you""close down"の冒頭3曲は涙無くしては聴けないほど感情を昂ぶらせることが出来る。
そして、10曲目の"Disintegration"で泣く。
そして、”絶望感むき出しの心の叫び”を、逆に冷凍庫に閉じ込めたような陰鬱なサウンドで聴かせるバンドといえば、
JOY DIVISION をおいて他にはいない。
このバンドの作詞とボーカルを担当していたイアン・カーティスは、"Unknown Pleasure"というたった1枚のアルバムをリリースして自殺してしまった。
このアルバムは、一聴しただけではただの暗いアルバムに聴こえるが、大音量で聴くと精神の破滅していく音が聞こえてきそうな緊張感が伝わってくる。
BGMとして聞き流すことを許さない、まさにステレオに対峙して聴かざるを得ない楽曲たちだ。
JOY DIVISONの公式アルバムとしてはもう1枚"Closer"というのがあるが、これはイアン存命中にレコーディングされ、死の直後にリリースされたものである。
こちらのアルバムも、言わずもがなの緊迫感に満ち溢れた傑作だ。
しかし、JOY DIVISIONが悩ましいのは、入門者にこそ是非聴いて欲しい代表曲がオリジナル・アルバムには収録されていないことだ。
そこで、最初にJOY DIVISIONを聴こうと言う方には、1995年に編集された"Permanent"というアルバムを薦める。
もう1枚、1987年編集の"Substance"というベストがあるが、そちらはただ時代順に楽曲を並べた感じである。”Permanent”の方が、アルバムとしての構成を考えて編集されていて、聴き易い。しかも、1曲目"love will tear us apart"2曲目"Transmission"と、冒頭からJOY DIVISIONで最も有名な2曲が立て続けに収録されている。
そのほかのお奨め曲は、"Isolation"や"Atmosphere"だ。ただ、この"Permanent"には"Digital"という楽曲が収録されていないのがちょっと惜しい。
JOY DIVISIONはイアンを失うと、グループ名をNEW ORDERに変えた。
もちろん、NEW ORDERについても語りたいのだが、それはおいおいアーティスト特集として書こうと思う。
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