文章、長くなります。多分…
火曜日にフラゲしたmiwaさんの新譜、2日間聴き込んで特典のBlu-rayも全て観覧。
新曲は全3曲。アルバム対象になってるけど、実質はシングル。
映像は2時間弱のライブフル尺。
パッケージは写真集もしっかりしているしデザインも良いしで大満足。
で、今日のオリコンデイリーランキングは6位。
チャートとしては悪くないけれど、売上数は2,000枚にも達していない。
数年前にブログで「このままでは5年後には渋谷クアトロくらいの集客規模になってしまう」という懸念を記載したが、
苦々しいことにその通りになりそうな勢いである。
もちろん、ファンとしてはそれを望んでいない。
なぜなら、そんな規模ではSMEとの契約は続かないだろうし、音楽活動を続けていけるかさえ怪しくなってしまうからだ。
そこで、気持ち悪い熱烈なファンとして、これからどうしたら活動を続けていけるのか、観客やCD購入者を呼び戻してこれるのか、思うところを書き記していこうと思う。
まず、miwaさんは世界レベルで通用するPOPセンスを持った数少ない日本人ミュージック・クリエイターだ。
「ギタ女」とかいう寒い括りがあったが、彼女はそんなジャンルには属さない。
本当に素晴らしい曲を書く才能がある。
さらに、歌唱が素晴らしい。
リキんで歌い上げるアーティストは多いが、彼女は違う。
メロディーラインをなぞるのではなく、その上と下の声を同時に発してメロディラインの中核を挟んで揺れ動きながらさらりと歌う。
こんな天才的なシンガー、これまた日本人では稀有。
まるでケイト・ブッシュのようだ。
それを音痴と勘違いしてしまう残念な聴衆がいるのが悲しいところだ。
で、その才能に多くの日本人は気づかない。
なぜなら、日本で売れるアーティスト、メロディー通り歌うまるで「ミュージック・スクールのお手本」のような歌唱ばかりだし、
曲はガラパゴス日本でしか通じない「演歌」的構成のものばかりだ。
ユーザーの音楽偏差値が欧米に比べて極端に低いのだ。
仕方がない、多くの日本人にとってのPOPミュージックとは、「曲」ではなく「歌」でしかないのだから。
それが悪いというのではない。
そして、かつてmiwaさんがヒットしていたのは、そういう「流行歌(はやりうた)」を聴く大衆に受け入れられたからだ。
レーベルも、「歌」「歌詞」「ルックス」を前面に打ち出してのプロモーションを続けた。
シングルには全てタイアップをつけるという、まさに平成的王道路線。
私の危惧は、そこにあった。
彼女の才能の核心ではなく、「若さ」「かわいらしさ」で大衆を惹きつけるということは、
歳を重ねたり結婚出産したりすればそういうファンは消えていなくなる。
それは自明のことであったし、実際にそうなってしまった。
だが、曲の素晴らしさ、POPセンス、パフォーマンス力は年齢を重ねても衰えない。
そこにこそ、フォーカスしておくべきであった。
いや、今からでも遅くない、「本当の音楽ファン」に向けたプロモーションに切り替えていけば、
アルバム2万枚弱・シングル5,000枚程度に戻し、それをキープしていくことができる。
タイアップに寄せた曲を作って世間に媚びてまでヒットを狙うなんて売り方は、もう必要ないのだ。
それよりも、「本当の音楽ファン」に彼女の才能を気づかせ、ライブに足を運んでもらってCDを買ってもらうことが肝心だ。
アルバム2万枚をキープできれば、ずっとメジャーレーベルで活動を続けられるし、
ファンの私はいつまでの彼女の新曲とライブを楽しむことができる。
出産を経てもライブ活動を続けるmiwaさんは、とてもファンを大切にしているし、心から音楽が好きでそれしかできないのだと思う。
であればこそ、「本当の音楽ファン」が毛嫌いして近づかなくなる「ロキノンのり」「J-POP売り」はやめて仕舞えばいいのである。
今年のツアー「acogissimo 5」は、小さなライブハウス中心に比較的細かく全国をまわる。
まさに、必要なのはこれだ。
ようやく、気付いたのか?
これを続けていくことが肝心だ。
miwaさんの曲、スタジオ録音でも最高なのだが、ライブ演奏によってさらに命が吹き込まれるからだ。
それを体験した観客は、周囲に彼女の素晴らしさを吹聴して回るだろう。
そして、コンスタントにアルバムを発表することも肝心だ。
2年に1枚は欲しい。
それがないと、活動している感じが薄れて、その隙にファンがこぼれ落ちていってしまう。
そしてアルバムは、もはやタイアップ曲などいらない。
スポンサーの意向などとかけ離れたところで、統一されたコンセプトで彼女の作曲能力を最大限に発揮した「作品」を仕上げることが大切だ。
miwaさんが本気になってアルバムを作れば、「本当の音楽ファン」が思わず唸るような傑作になることは間違いない。
もちろん、その過程で「ロキノンのり」のファンはこぼれ落ちていく。
それでいいのだ!
「オタク切り」ならぬ「ロキノン切り」だ。
そうすることによって、「本当の音楽ファン」が近づいてくる。
懸念点があるとすれば、「miwa」表記にはすでにJ-POPのイメージが定着してしまっていることくらいだ。
思い切って漢字の本名に改名するのも悪くないかもしれない。
タイミングとしては、新曲だけのオリジナルアルバムを完成させて発売する時だろう。
そうやって地道に「音楽」にフォーカスしていくことで、アルバム2万枚規模のアーティストに再成長できると信じて疑わない。
小さなホールやライブハウスで地道に魅力を伝え、5年かけて再生するくらいの気持ちが必要なのだけれど。
もちろん、バンドは非常にタイトな編成で、チケット代も安くキープしなければならない。
絶対にやっちゃいけないコースが、いまいるファンをあてにしてチケット代が高いライブを連発することだ。
ビルボードライブは素晴らしかったからまた開催して欲しいが、たまにで良いのである。
コンスタントに高額チケットにしてしまったら、ファンがじわじわこぼれ落ちてジリ貧になるだけだ。
素晴らしい新曲とライブパフォーマンスを観て、思わず書き連ねたくなる気持ちを抑えられなかった。
まあ、ここに書いたのは気持ち悪いファンの戯言でしかないので、miwaさんスタッフは本気で色々考えて活動をサポートしていって欲しいと願っている。