ちょい前の記事で、カメラを購入するなら最廉価エントリー・モデルのAPS-C機を勧めた。
最大の理由は、そのコンパクトさと軽量さ。
持ち歩いて撮影するのに、ここが最大に効果を発揮する性能/ポイントだからだ。
で、加えて、最近のAI進化、現像ソフトの進歩によって、フルサイズの高性能カメラを購入する意義がますます小さくなってしまったってのもある。
フルサイズセンサーの美点は、APS-Cより「ボケやすい」「暗所ノイズが少ない」って点に求められることが多かった。
こちらは、エントリーAPS-C機キヤノンEOS M100で、あえて高感度ISO:12,800、 F値は2.0で撮影した写真。
盛大な暗所ノイズが満喫できます。
これが、センサーが小さいAPS-Cよりフルサイズを購入したくなる大きな理由の一つだったりしました。
しました。
過去形です。
普段現像に使っているAdobeソフト「Lightroom」のAIノイズ軽減ボタンを押してみましょう。
たった一回、ボタンを押すだけで、AIが勝手にノイズを削除してくれます。
ワンクリック!
ええええ!って、驚くレベルじゃないですか?
砂嵐のようなノイズに溢れていた写真が、不自然さなくクッキリです。
暗所ノイズなんて、ほぼほぼ認められません。
フルサイズセンサー機に単焦点レンズF1.8設定で撮影した写真よりはるかにノイズが少なくなっています。
そう、Lightroomがあれば、もはや暗所ノイズなんて一切気にしなくていいんです!
裏面照射がどうの小さな差異にコストかけて喜んでいたのは完全に過去の話となりました。
そして、もうひとつフルサイズの優位点と言われているのが背景ボケでした。
これも、過去形です。
Lightroomで、「ぼかし」の「適用」にチェックを入れてみましょう。
これも、チェック入れるだけのワンクリック。
はい、背景ボケ完了です。
とはいえ、こちらはAIノイズ・リダクションよりは大雑把で失敗事例も発生するので、
まだまだ進化途中といった感は否めません。
が、フルサイズセンサーの優位点が少なくなってきたことに変わりありません。
ようは、APS-Cセンサーの最廉価機でほとんどフルサイズセンサーと変わらない写りが実現できてしまうのが、2024年。
私が唯一フルサイズセンサーの優位点を感じるのは、ライブハウスで演奏者や歌唱者を撮影するシーンでしょうか。
この場合は、シャッタースピードを速くする必要があります。そうしないと、被写体がぶれてしまいますから…
ブレは、ソフトでの補正は不可能です。
具体的には、1/60より速いシャッタースピードを実現しないと、ブレてしまいます。
APS-Cのカメラでは、たとえF2.8の大三元と呼ばれる高額レンズを使っても、この実現が暗所では困難。
でも考えてみれば、暗所で動く人物を撮影するなんて機会は、滅多にあるものじゃありません。
切り捨てましょう!
最廉価エントリー本体を薦めるのは、フルサイズのレンズが高価すぎるからです。
たとえば同じキャノンで私が愛用する「超広角レンズ」をフルサイズ対応版で購入しようとすると、最安値がおよそ21万円です。
フルサイズ機NIKON Z5の本体より高額です。
ところが、EOS M100用に私が購入した11-22mmレンズは、中古で2.5万円ほど。
新品4.2万円なんて表示もamazonには出ていますが、数年前に絶版になったレンズマウントなので、私同様に多くの方が中古購入となるでしょう。
つまり、価格差8倍です。もっと言えば、価格差18万円以上です。
プロでもハイアマチュアでもないのに、ここにコストかけるのはあまりおすすめできません。
お金が有り余っていて、写りどうこうより高額なものが欲しいって人にとっては、その限りではないのですが…
ほんのちょっと前まで、コストをかけるとエントリーモデルとは段違いの写真を撮影することが可能でした。
しかし今は、プロユースやコンテストに挑戦するようなハイアマチュアでもない限り、最廉価のAPS-C機があれば何の問題も発生しないのです。
何より、現像写真のクオリティはフルサイズに遜色なく、小型・軽量・格段に安価なのですから!