彼の手順としてルー・タネンから発売された、有名なパケットトリック「ワイルドカード」があります。非常に人気のある商品となりました。ただし、オリジナルとなるピーター・ケーンのクレジットを書かなかったため、いろいろあったようです(;^ω^)
他には、たとえば私も根本さんのお店から購入しましたが、タネンのニュー・スターズ・オブ・マジックシリーズのマクドナルドの4Aも有名ではないでしょうか。
その他カードマジックの手順も多く発表していますが、カードマジックの他にも、スリーシェルやスポンジボールなど有名なマジックも多くあります。もちろんここでは、カップ&ボールについて紹介します。
フランク・ガルシア氏は「The Very Best of Cup and Balls」というカップ&ボールの本を出しています(1979年125ページ)。なんと大胆な名前でしょう…(;^ω^)。何を持って「ベスト」と定義するかはありますが、少なくともこの手順が現在において、バーノンの手順のように広くマジシャンに実演されていることもなく、またトミー・ワンダーの手順のように皆が憧れる手順でもない気がします。もちろん素晴らしい手順ではありますが今見ると名前負けしている感は否めません。
以前ポール・ガートナー氏の紹介の時に少しこの本について触れましたが、Frank Garcia氏の手順だけではなく、あっさりですがPaul Gertner氏、Sam Horowitz氏の手順やその他ちょっとした話も載ってて楽しめる本です。カップ&ボールのみで1冊の本となっているのも珍しいのではないでしょうか。中古本として100ドルくらいで売られてることが多いですが、現在スティーブンスマジックさんで結構お安く入手できます。もしご興味ある方にはお勧めです。
ガルシア氏のカップ&ボールのフル手順は7段の手順から成ります。残念ながらすべての手順を実演した動画は見つけられてませんが、部分的な実演と解説はStars Of Magic #3 (Frank Garcia)に収録されています。
また、Cups and Balls Vol. 1 (World's Greatest Magic)にも収録されています
Youtubeに実演映像だけありましたので、示します。
フル手順ではないので、ファイナルロードまでは行っていませんが、メインの手順は含まれていると思います。いかがでしょう?なかなかのテクニックですよね。チャーリー・ミラームーブを多く使ってます。実は本ではこの動作のクレジットは述べられておりません。ビデオではしっかりチャーリー・ミラーが考案した動作だと説明しています。このチャーリー・ミラームーブをするとき、口で音を出すんですね。面白いです。効果音ですね。他のマジシャンも音の種類は違うけど口で音を出していたような記憶があります(ジェニングスだったでしょうか…違ってたらごめんなさい)。この貫通の際に音を出すというは非常に興味深いです。音がある方が効果的なのでしょうか…
Galloping Post Moveというムーブで積んであるカップを置くときに一緒にボールを持って行ったり、ボールが入っているカップをボールごと持ち上げスタックしたりしてます(;^ω^)。何度も行っている改めも上手いです…でも、ちょっとガチャガチャせわしなくカップを扱っているところは個人的には不自然というか、美しくはないと思いますが…。普通は気にならないのでしょうか…。また、途中に出てくるClick Moveですが、カップ&ボールを始めたころ、これを見て練習しようと買ったばかりのアルミ製カップを使ったところ、一発でへこんでしまったという苦い思い出があります(笑)
ビデオでは、この手順のあと、Passing One through Another(カップの貫通)のバリエーションである、S. Leo Horowitzのコインをカップに入れて行うカップの貫通現象を紹介しています。これはアマ―氏のビデオでも解説されています。また、ビデオの違うチャプターでは、Elevator moveというムーブの実演と解説をしています(チャプター名:Elevator Cup & Ball Routine)。これは、「The Very Best of Cup and Balls」の本の中では述べられておらず、氏のルティーンの中にも入っていないのですが、後に知って気に入ったのかビデオに収録しています。またマジックハウスさんが出していた氏のレクチャーノートにも解説されています。(現在は正規で売られておりませんが、中古が出てる時があります)
レクチャーノートによると、「この技法はジョン・フォックス氏がセリーヌ氏に見せたものです」と書かれており、ガルシア氏オリジナルの技法ではないようです。なかなか巧妙な技法でカップを普通にスタックしたと見せかけて一つ上のカップに移動させる技法です。この技法は、上口龍生氏のカップ&ボールのDVDの中で使われており、解説もされています。
カップの話を少しします。フランクガルシアは本の中で、カップ&ボールに適したカップとしてDanny Dewが作ったPaul Foxカップを薦めています。氏自身もPaul Foxカップを使っており、本の中で何か所かオススメしている箇所があったと思うので、かなりPaul Foxカップを気に入っていたと思われます。本の中では出てきませんが、ビデオで氏が使っているカップは銀色をしています。ある人の話ですとこのカップはDanny Dewが作った6つのシルバーセットの1つだとガルシア氏本人が言っていたとのことですが、Bill Palmer氏によるとDanny Dewは純銀のカップを作っておらず銀メッキだとのことです。メッキとはいえとても貴重なカップだと思います。
The Magic Cafe Forums - Garcia Cups and Balls
ポールフォックスカップ関連でいうと、本の中に「フランシス・カーライルのお気に入りの賭け」というタイトルの章があります。Francis Carlyle氏がクラブでポールフォックスカップにラクロスのボールをおいて、「このボールがカップに入るか賭けるかい?」という賭けを行っていたと書かれています。ボールがカップよりはるかに大きく見えるため、多くの客は「入らない」と答えたようです(直接ここまで書いていませんがそういう流れの文章です)。今ではほとんどカップといえばPaul Foxタイプが多いですが、Paul Foxカップは多くの有名マジシャンに影響を与えたことがよくわかります。
ちなみに、Stars Of Magicのビデオでエレベータームーブを使った手順が解説されていますが、このマジックをしている時にガルシア氏が使っているカップはポールフォックスではありません。モリッシーカップ(Morrissey Cups)のミニタイプで、Morrissey Mini Short Skirt Cupsと呼ばれるものです。Morrissey Miniには2種類のタイプがあり、Skirt(口とショルダービードの間)が狭いものとそうでないものです。このカップは狭いタイプで、つまりショルダービードから上が長いカップです。エレベータムーブに適しているのかもしれません。
最後に「ガルシアカップ」なるものを紹介して終わりにしたいと思います。およそ2000年ごろに発売されたと思われるカップです。このカップが出たころ、私も買うか迷った記憶があります。Frank Garcia Cups and Ballsと書かれているものの、Frank Garciaはポールフォックス使ってるじゃん…と思い購入はしませんでしたが(笑)。形はかなり面白い形をしており、Garcia Cupsといいつつ、Garcia氏本人が製作に全くか関わっていないだろうこのカップはコレクションとしては面白いかもしれません。
Magic Cafeで話し合われていたこともあります。やはり、マジシャンにはあまりウケは良くないですね(;^ω^)
The Magic Cafe Forums - Garcia Cups and Balls
いろいろ検索してたらフランク・ガルシア氏について書かれている興味深い記事を見つけましたのでリンク貼らせて頂きます
Better Late Than Never 100万ドルのカードの秘密