ペンネーム牧村蘇芳のブログ

小説やゲームプレイ記録などを投稿します。

蟲毒の饗宴 第9話(1)

2025-03-02 21:19:50 | 小説「魔術ファミリーシリーズ」ウェストブルッグ2<蟲毒の饗宴>
 ニードルのエルとイヴは、冒険者カイルたちの目標としている
 地下迷宮Cブロック地下3階の1つ上、地下2階に侵入していた。
 B2Cという意味不明な文字はとりあえずおいといて、
 侵入してきた扉を静かに閉める。
 透化のマントで姿を見えなくしているから心配ないが、
 この階層は人の気配がした。
 14、5人はいるわね。
「イヴ、気配のする方に行く。」
「了解。」
 通路は1本道だ。
 このフロアの外回りを囲む様になっている。
 所々にフロア中心側に入る扉があり、
 扉にはAからIまでの文字が記されていた。
 また、文字の無い普通の扉も2つほどあった。
 その周辺には上下の階層に移動する昇降機が設置されている。
 人の気配は、文字の無い扉の奥からした。
 エルとイヴは一旦Aの扉まで戻り、Aの扉を静かに開ける。
「なに、ここ。」
 そこはコンサートホールの様な造りになっていた。
 ステージを見る座席には、A-1、A-2といった番号が記されている。
 おそらくBの扉から入ったブロックの席には、
 B-1、B-2とあるのだろう。
「たぶん、奴隷オークションの会場ね。
 もしかしたら、奴隷以外でも闇オークションをしているかもしれない。」
「だとすると、奴隷たちはこの下の階に隔離されている可能性が高いか。」
 エルは少し考え込み、ここで1つイヴに命令する。
「イヴ、探索中に鍵の掛かった扉を見つけたら、全て開錠して。」
「開錠するだけ?」
「ええ・・・いえ、開錠“したまま”にして。」
 意味は同じではないのか?
 この微妙な言葉の違いに、イヴはニヤリとする。
「開錠したまま、ね。
 了解。
 ・・・ところでエルは私の魔鍵の事、どれだけ知ってるの?」
「想像に任せるわ。」
 そう言うと2人は螺旋階段まで戻り、
 この階段で行ける扉全ての鍵を開けたままにした。
 そしてそのまま階段を上がりきると、西区の地上に出た。
 最初に侵入した建物からは少し離れている。
「脱出経路はここでいいわね。」
 エルが納得していると、イヴが近くの建物に目がいった。
「エル、あれってもしかして寺院?」
 古ぼけた建物だが、屋根には十字架が見える。
 たぶん寺院なのだろう。
「西区に寺院なんて聞いた事がない。
 場所からして孤児院かも。
 とりあえず入るわ。」
 入ってみると、小さな礼拝堂があった。
 深夜だからなのか、人の気配は無い。
 奥の棚には位牌がギッシリと山のように並べられている。
「古いけど清潔さは保たれている。
 誰かが掃除に来ているのは間違いない。
 ・・・ん、何これ?」
 エルが位牌の中から、黒い筆箱の様なケースを取り出した。
 見つけにくい様、位牌の中に紛れ込ませて置いていたのかもしれない。
「よくそんなの見つけられたわね。」
 イヴが感心している中、エルがパカッとケースを開けた。
 中には純銀製のネックレスが入っていた。
 小さな十字架も付いている。
 エルはしばらくそれを凝視していた。
「エル?」
「このネックレス、浄化されている。
 位牌代わりの役目をしているわ。
 だからこの並びに置いていたのよ。」
「位牌代わり?」
「おそらく、亡くなった者は骨すら残さずに消え失せたんでしょ。
 あのネックレスはいわば形見・・・。」
「なるほど。」
 納得したイヴだったが、エルが一言追加する。
「それほど古くない。
 おそらく数年前から最近にかけてのものよ。」
 そう言って、エルはイヴにネックレスを手渡した。
 ここを見てみろと言わんばかりに十字架の裏側を見せる。
 何か文字が刻まれていた。
「エル、これ・・・!」
「ここ、ただの古い寺院ってわけじゃなさそうね。
 なんで、こんなネックレスがここに・・・!」
 エルとイヴがそこまで驚愕する事とは何なのだろう。
 そして誰がここにネックレスを置いて行ったのだろう。
「どうするの、これ。」
「ニードルの出張班に依頼して確かめる。
 もし予想通りなら、とんでもない殺人事件って事になるわ。」
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第6話 品川駅(連絡通路)

2025-03-02 21:15:35 | ゲームプレイ記録「真・女神転生Ⅴ VENGEANCE 復讐の女神編」
 学園から品川駅に向かうが、
 まるで違う方向に進むと、

ユヅル
「どこへ行く。
 駅はそっちじゃないぞ。」

 と言われ、それ以上先に進めなくなる。
 品川駅西口周辺にモブが3人ほどいるが、
 品川駅を出た後で話を聞く機会はあるので、
 今は無視して良い。

 品川駅西口から連絡通路に入った。
 南に進むと迂回できそうだが、
 ユヅルに上記の台詞で止められるため、
 遠回りするという選択肢は無い。

 人混みの中、連絡通路を歩きながら
 ミヤズがタオに話し掛ける。

ミヤズ
「そういえばタオ先輩、
 相談したいことってなんですか?」

タオ
「ああ、えーと……
 最近ね、不思議な夢を何度も見るの。
 遠くから、誰かが
 私のことを呼んでる声が聞こえてきて……
 それが次第に近づいてきて、
 間近で聞こえた瞬間、目が覚める。
 そんな夢が毎日続いていて……
 相談、というか誰かに聞いてほしくなって。」

ユヅル
「夢は不安などの心理状態が影響する。
 進路のことで不安でもあるんじゃないか。
 なんといっても君は……」

 ここまで話していると、急に立ち止まった。
 周囲の人たちも立ち止まっている。
 前方を見れば、濃い青色のブルーシートが
 太い通路を完全に遮る形で張られていた。
 ブルーシートは高さもあり、
 どう頑張ってもその先を見れそうにない。

タオ
「何かあったのかな?」

ユヅル
「そうみたいだ。
 すまないが少し様子を見てくる。」

!駅で何か事件が起きたようだ。
 構内を調べてみよう。

 上記のゲームアナウンスが表示されるが、
 『調べる』というよりは、
 『何があったのか周囲の人たちに聞く』
 と言い換えた方が正しいと思う。

駅員
「すみません、構内で事件がありまして、
 現在通行止めになっています。」

怯える男
「また惨殺事件かよ。
 最近多すぎるぞ。」

マスクの男
「オイオイ、勘弁してくれよ。
 品川、ここ通れないと不便なんだぞ。」

不思議な雰囲気の少女
「…………」

 大鳳吼が話しかけようとしたが、
 不思議な雰囲気の少女は
 こちらに気づかずに去っていった……

 通路全体がブルーシートで覆われている……
 通り抜けできそうにない。

男の声
「おい、誰か食われたらしい。
 猛獣か?
 さっきちらっと見えたんだけど、
 すっげぇ血だったぞ。」

女の声
「保存、保存!
 これ絶対にバズるやつだ。」

 事件が起こったようで、
 野次馬がざわめきたっている……
 そんな中、振り返って見ると、
 いつの間にかミヤズ一人になっていた。
 様子を見に行ったユヅルはもちろん、
 タオの姿も無い。

ミヤズ
「……あ、先輩。
 さっき、お兄ちゃんが戻ってきたんですが、
 電話をしながら駅の外へ
 走っていってしまいました。
 そうしたら、タオ先輩にも
 電話がかかってきて、
 静かなところでかけ直してくるって。
 …………
 ……あ、あの、先輩。
 お兄ちゃんの様子、
 見てきて……もらえませんか?
 いつも……私だけ心配されてるけど……
 私だって、お兄ちゃんの事……」


「任せておけ。」

 …これ、ミヤズ相手に
 『仕方がない』
 は選択しづらい気がする。

ミヤズ
「ありがとうございます。
 私はもう少しここで、
 タオ先輩を待ってみます。」

 吼は情報収集しながら外へ向かう。

うなだれる男
「シートの向こう側は血だらけ……
 ひどい有様だった。」

スーツの女(たぶん左)
「駅前の動物園から
 猛獣が逃げたって騒いでるけど……」

スーツの女(たぶん右)
「おバカ!
 ウソならましなウソつきなさいよ!
 駅前にあるのは水族館!」

女子生徒
「あ、ジョーイン高校の人?
 なんか通行止めだって。
 ここからじゃ、寮に帰れないっぽいね。」

男子生徒
「混雑なくてラッキーと思ったら
 そういうことかよ……ツイてねぇなぁ。」

スーツの男
「ほとんどの人が飛び散った血や
 食われた死体に目を奪われてるけど、
 そっから飛び出た黒い影に
 誰も気づいてない?
 あ、でも、メガネの男子生徒が
 黒い影を追いかけ、走ってったな。」

 ユヅルの事だろう。
 吼も急いで外へと向かう。

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 Name 大鳳吼
 Location 品川駅
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