昨年から始めたトランセクト調査の今年の結果を報告します。
調査期間:3月-11月
調査回数:44回(4-6回/月)
調査方法:トランセクト法(コースを決め自分から5m四方で観察されたチョウの数を記録)
調査ルート:約2km
①住宅街→②公園(大)周囲→③公園(大)内部→④遊歩道(林)
→⑤遊歩道(草地)→⑥公園(小)→⑦畑周囲→⑧緑地帯
基本は在宅勤務日の昼休みに自宅の周りをぐるっと歩くイメージです。酷暑の日は昼にチョウは飛ばないので、土日の朝方に調査したりもしました。
まず1日平均何頭のチョウが見られたか?ですが、今年は37.6頭でした。昨年が25.8頭でしたので、10頭以上増えたことになります。後述の月別の結果をみるとすべての月で観察数が増えていること、特に10月11月で大幅に増えていることが分かります。全般的に増えているのは本調査が2年目となり探すコツがつかめてきていることが一因と思われます。また10月11月で増えているのは暖かい日が続き、化数が増えた種などがあるのでは?と推察しています。これらの要因が重なり合って観察数が増えたものと思われます。また観察できた種数も昨年の24種から32種にジャンプアップ。暑い方がいろいろなチョウが見られるんですかね?よくわからないです。ま、いずれにしても来年以降どうなるか注目していきたいと思います。
以下詳細に見ていきます。まず最初は見られたチョウの種別ランキングです。これも1日平均何頭見られたか、という数値です。
1位は昨年に続きダントツのヤマトシジミ、この種だけ2ケタです。昨年より多く会えました。第2位は安定のモンシロチョウ、で、第3位はなんとウラナミシジミでした。昨年の9位から大躍進です。昨年より2か月早い7月下旬から発生しており、10月と11月で2位に入るほど増え、結果として年間で3位に入りました。4位は5位からランクアップしたツマグロヒョウモンで、5位は3位からランクダウンしたモンキチョウでした。特筆すべきはイチモンジセセリで昨年の4位から大幅ランクダウンの10位となり、出会えた数も昨年の半分程度でした。ちょっと心配ですね。来年盛り返すのかどうか注目したいと思います。逆に今年このルートで初見したのが、クロコノマチョウ、ゴマダラチョウの2種です。いずれも目を疑いながら証拠写真を撮りました。また、1回しか会えなかったレアキャラは、ミドリヒョウモン、コミスジ、ダイミョウセセリ、ジャコウアゲハ、ヒメウラナミジャノメ、キアゲハでした。
次の表は、月別に集計したものです。
蝶の数が一番多かった月は昨年は9月でしたが今年は10月になりました。10月になっても暑い日が続いた影響でしょうか。また11月でも多くの蝶が見られたことから(前述しましたが)例年より化数が増えた種もあったのではないかと想像します。また、昨年はヤマトシジミ以外が1位になったのは6月のモンシロチョウのみでしたが、今年は3月から5月までモンシロチョウが多く見られました。この傾向が来年も続くのか注目していきたいと思っています。
トランセクト調査の英国の公式サイトにデータを入力することでグラフ化してもらえることが分かったのでしてみました。ヤマトシジミの観察数が突出していて、同じグラフにすると他の種がうもれてしまうので、「全体合計とヤマトシジミ」のグラフと「その他の種」でグラフを分けてみました。
全体合計とヤマトシジミの週ごと推移
Week42(10/15の週)がピークであることが分かります。昨年はWeek38(9/18週)がピークだったので、今年は寒くなるのが遅かったためピークが後ろ側にずれたのだと思われます。
その他の種の週ごとの推移
Week22(5/28週)にモンシロチョウとモンキチョウがピークを示し、Week44(10/29週)にキタテハ、Week45(11/5週)にウラナミシジミがピークを示していることが分かります。
最後の表は、場所別に集計したものです。
昨年チョウが多かった「遊歩道(草地)」と「緑地帯」は今年もチョウが多かったです。この2ヵ所に加え、昨年は8カ所中7位だった「公園(大)周囲」でも多くの蝶が見られました(今年は3位に浮上)。特徴として挙げられるのは、秋の樹液ポイントで多くのタテハが見られたことかと思います(7位までに3種ランクイン)。といいつつ場所別順位はほぼヤマトシジミの数で決まっているという話もありますので、草刈りのタイミングとかそういったちょっとした差に起因しているのかもしれません。
このトランセクト調査、2年目を終え、注意すべきポイントや面白さなどわかってきました。来年も張り切って調査したいと思います。
・前回の蝶雑記は:ご無沙汰チョウ探索2023まとめ
・昨年のトランセクト結果は:2022トランセクト調査まとめ
・トランセクト調査を取りまとめているのは(国内):日本チョウ類保全協会
・トランセクト調査を取りまとめているのは(英国):European Butterfly Monitoring Scheme
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