一昨年から始めたトランセクト調査の今年の結果を報告します。
調査期間：３月－１１月
調査回数：３８回（３－５回／月）
調査方法：トランセクト法（コースを決め自分から５ｍ四方で観察されたチョウの数を記録）
調査ルート：約２ｋｍ
①住宅街→②公園(大)周囲→③公園(大)内部→④遊歩道(林)
→⑤遊歩道(草地)→⑥公園(小)→⑦畑周囲→⑧緑地帯
基本は在宅勤務日の昼休みに自宅の周りの公園や緑地をぐるっと歩くイメージです。酷暑の日は昼にチョウは飛ばないので、土日の朝方に調査したりもしました。
まず１日平均何頭のチョウが見られたか？ですが、今年は38.18頭でした。昨年が37.6頭でしたので、ほぼ同じと言えると思います。また観察できた種数は昨年の32種から28種に微減でした。これまで２年連続見られていたコミスジ、ミドリヒョウモン、ダイミョウセセリには会えませんでした。一方今年の初見はクロマダラソテツシジミです。埼玉県でも発生していたようですのでここで会えてもおかしくないです。全体概況としては以上で、以下詳細に見ていきます。
まず最初は見られたチョウの種別ランキングです。これも１日平均何頭見られたか、という数値です。
１位は昨年に続きダントツのヤマトシジミ、この種だけ２ケタです。昨年より少し多く会えました。第２位は安定のモンシロチョウ、続く第３位はイチモンジセセリで昨年の１０位からジャンプアップです。イチモンジセセリですが昨年は例年より少なく感じたので今年は復活と言ってよいと思います。４位は昨年の１１位からランクアップしたチャバネセセリで、５位は７位からランクアップしたアゲハでした。昨年第３位と健闘したウラナミシジミは６位に後退。この種はこのあたりが定位置かと思います。心配なのはモンキチョウとスジグロシロチョウで年々順位を下げていて、スジグロシロチョウはついに圏外になってしまいました。来年盛り返すのかどうか注目したいと思います。
次の表は、月別に集計したものです。
月の横のカッコ内の数字がその月に１日当たり観察できたチョウの数(平均)です。蝶の数が一番多かったのは今年は９月だったことがわかります。一昨年は９月、昨年は10月だったので、今年は一昨年と同様の傾向となりました。また、月別に見ていくと３月は越冬のキタテハとキタキチョウが多くみられ、４月～６月はモンシロチョウが優勢、７月以降はヤマトシジミが優勢となりました。その他では、８-９月でイチモンジセセリとチャバネセセリが多くみられ、10-11月でウラナミシジミが多くみられました。
トランセクト調査結果を英国のチョウの保全サイトに入力することでグラフ化してもらえるので今年もやってみました。ヤマトシジミの観察数が突出していて、同じグラフにすると他の種がうもれてしまうので、昨年同様「全体合計とヤマトシジミ」のグラフと「その他の種」でグラフを分けてみました。
全体合計とヤマトシジミの週ごと推移
昨年同様Week42(10/15の週)がピークであることが分かります。月単位では９月がピークに戻ったのですが、週単位のピークは昨年と同じ週になりました。
その他の種の週ごとの推移
ピークの大きさ的にはWeek39(9/23週)のイチモンジセセリが最大で、次いでWeek23(6/3週)のモンシロチョウ、Week15(4/8週)のモンシロチョウと続きます。その他で目立つのが、Week42(10/15の週)のウラナミシジミ、Week39(9/23週)のチャバネセセリ、Week46(11/11週)のキタテハあたりでしょうか。（種ごとにしっかりと考察をする必要はあると思いますが、）ピークを示す週に関してはそれぞれの種にとって妥当な時期と思われます。
最後の表は、場所別に集計したものです。
昨年同様「緑地帯」で最も多くのチョウが見られました。ついで「畑周囲」「遊歩道（草地）」と続きました。また、多く見られた種に着目すると、「畑周囲」のみモンシロチョウがヤマトシジミを上回って最も多く見られました。この傾向は昨年同様です。またエリアごとに見られる種の傾向もこの３年間大雑把には同傾向でした。
このトランセクト調査、３年目を終え、意味のあるデータになりつつあるような気がしています。というわけで来年も張り切って調査していこうと思います。
・前回の雑記は：ニコンプラザに行ってきました！
・昨年のトランセクト結果は：2023トランセクト調査まとめ
・トランセクト調査を取りまとめているのは(国内)：日本チョウ類保全協会
・トランセクト調査を取りまとめているのは(英国)：European Butterfly Monitoring Scheme
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