連絡を受けて急いで帰宅した義男
義男が目にしたのは応急処置を終えてソファーに横になってる多佳子だった。
『いったい何なんだ?』
『貴方が他の女と暮らしてるなんて知らなかったの、酷い女だわ、ちょっとした事で別居してる妻だって言ったら逆上して台所の包丁で襲ってきたのよ、私に出てけって』
『そんな、私は何もしてないわ、貴方の元の奥さんが、いきなり自分勝手に手首を切ったのよ』
多佳子は、義男と離れてた3年の間、義男や子供達の事が忘れられず毎日、泣いて暮らしていたと涙ながらに話した。
『あの男とは義男さんが仕事で構ってくれなかった時の気の迷い、直ぐに別れたわ、過ちに気づいて戻ってきたかったけど義男さんから戻ってきて欲しいって連絡を待ってたのよ』
嘘も上手になってた多佳子、言葉巧みに義男の同情を引く!
『義男さんも私と別れたくなかったはず、その証拠に離婚届けも1年以上、出してなかったじゃない』
義男は心が揺らいだ、確かに多佳子を忘れられなかった、
自分と子供達をあっさり捨てて行った女だったが一緒に暮らしてた7年の空白を埋める事は出来なかった。
ゆえに、あっちこっちと飲み歩き多佳子を忘れる為にスナックで知り合った今の妻の静江がいる。
『義男さんは、私の事を酷い女だと思ってるかもしれないけど、あの男とは1週間しか居なかったの、やっぱり貴方しか居ないって気づき許してくれる時を待って一人暮らしをしながら子供達を見守っていたわ』
多佳子が男に捨てられたのは本当だが、1週間前まで一緒にいた!
多佳子と一緒に暮らしていた男は、人の女に手を出すのが好きな男だった、度重なる男の浮気に耐えてた日々、しかし男は他の人妻と駆け落ちして姿を消した。
多額の借金を残して
多佳子は焦っていた、学生時代から付き合ってた義男の性格を知り尽くしてる・・・・。
『義男さん、私は子供達の母よ、そして貴方の妻でもあった、
お願い、やり直してなんて言わないから、暫くここに置いて』
義男は静江の顔をちらっと見た、しかし静江は下を向いて目線を合わせない!
今、自分が愛してるのは静江だが、水商売が長かった静江が手に入れた今の生活を守りたいのと嫉妬で多佳子を追い出す為に包丁で脅したのもうなずけると・・・・
『とにかく今は、皆が動揺している、落ち着いたら、ゆっくり話し合おう』
義男は多佳子の非情な罠にはまった!!
『暫く、子供達の部屋でいいから住まわせて』
自分を忘れられなくて戻ってきた多佳子を追い出すのは簡単だが、子供達の実の母親だ
『暫くの間だぞ、子供達も今は静江になついているし多佳子は客室に寝泊りしてくれ』
『有難う義男さん、こんなに素敵な良い夫を傷つけた私って馬鹿だったわ』
多佳子と義男と静江の奇妙な共同生活が始まった・・・・。
静江は何故、強く言わなかったのだろう!
私は人を傷つけるような女に見える?
とか
何か反論すれば良かったのに
義男も義男だ
それだから元奥さんにしてやられるんだよ
最低な元の妻の多佳子だなぁ~
静江・・・・どうする
女の闘いか?
それとも義男、お前がしっかりしろって事だぞ