滋賀県社会教育委員会議は6月9日付で「滋賀の図書館のあり方について」を答申し、そのなかで次の通り、県内の全小中学校への司書教諭の加配置を答申した。
Ⅱ.これからの滋賀の図書館のあり方
3.「いのちをつなぐ図書館」を実現するための方策
(2)住民のための図書館運営
2)ネットワークの確立
②学校図書館とのネットワーク
学校図書館については、県内の公共図書館が全国的に高い水準にあるのに比べて、特に小・中学校において十分に機能していないのが現状である。それゆえ、子どもの読書環境を確保し、図書館利用を促進するためには、公共図書館と学校図書館との連携は不可欠となる。
しかしそのためには、まず学校図書館側の人的な体制を整えることが必要となる。これからの図書館のあり方についてのアンケートに回答してもらった公共図書館長の意見の※中にも「学校図書館、に担当者が配置されないのであれば、学校図書館と公共図書館が連携することはできない」、「学校図書室がその機能を十分に果たせていないため、公立図書館としてのバックアップも先生ごとの対応になり、結局ばらつきが出て、十分な連携ができているとはいえない」といった意見が数多くみられた。今後、早急に全学校での「司書教諭」の加配置を実現すべきである。
ただ、それまでの間も、児童・生徒達の本に接する機会が失われることのないよう、公共図書館の学校図書館に対するできる限りの支援を望みたい
※ 平成18 年12 月に県内公立図書館長を対象に実施した「公立図書館調査
筆者がこの答申のことを知ったのは、5月24日付、京都新聞電子版であった。「全小中学校に司書配置を」という見出しにたいして、本文には、「学校図書館と公共図書館の連携を深めるために、全小中学校で司書教諭の配置実現を求めるなどの答申案をまとめた。」とあり、司書と司書教諭の混同が見られたため、滋賀県教育委員会生涯教育課に問い合わせたところ「司書教諭」の加配置であることが分かった。
いわゆる「学校司書」と「司書教諭」との混同は、答申案の審議過程でも見られた。第2回の議事録によると「学校図書館に正規職員は難しいとしても、嘱託か臨時職員でも良いので司書教諭の専任配置が重要である」といった記述が見られ、司書教諭に対する認識が十分でないことをうかがわせるが、第3回の議事録における委員長は次のように説明していて、今回の答申が12学級以下の小規模校においても司書教諭の加配置を求めるものであることが分かる。
現状では、法改正により、12学級以上の学校には司書教諭をおかなければならないとなっていますが、それを全学校に加配置されるよう望みたいという答申です。司書教諭は図書館司書とは違い、この答申で述べているのは、「司書教諭」を加配置してほしいということであり、現役の教員が勤務のかたわら「司書教諭」の資格をとるなどして、規模の小さな学校も含めて、どの学校にも配置されるよう希望したいという願いを込めての答申となっています。
この答申は、あくまでも社会教育委員会議が「滋賀県の図書館のあり方」を考えるなかで公立図書館と学校図書館とのネットワークを求めて提案されたものであり、学校教育における学校図書館の役割にまで踏み込んではいないが、今後、この答申の実現に向けて、学校教育課など関係部署において、さらに議論を広げてもらいたいものである。
筆者は、今夏も滋賀大学の学校図書館司書教諭単位取得講習で、「学習指導と学校図書館」(8月2日~7日)と「読書と豊かな人間性」(8月8日~13日)を担当する。そのときには、ぜひ、この話題も取り上げて、毎年、受講者の大半を占める県内の先生方と話し合ってみたいと思う。
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