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前稿で、私は、「私たちがフィンランドから真に学ぶべきことは、国民すべてが自由と平等を享受できる福祉社会を実現するため、社会・教育における構造変革に向けて行なわれた総合的な施策ではないだろうか。」と結んだ。施策は、家庭教育や社会教育を含めた持続的な教育全体におよぶが、学校教育にかぎってみても、たとえば、次のような施策は、けっして目新しいものではなく、わが国でも、私たちがずっと求めてきたことだから、それらを現場で実践できる条件を整えてしまったフィンランド政府の英断は、うらやましくもあり、同時に私たちに新たな希望を抱かせるものでもある。
・ 教科書検定制度を廃止し、カリキュラムを大綱化する。
・ 教育内容に関する国家規制を大幅に緩和して、裁量権を地方自治体・学校に委譲する。
・ 地方分権と学校の自己評価、理科教育、読解力強化事業、教員養成(すべての教員は修士を要求される)に力を入れる。
LUKU-Suomiという、学校教育段階における母語力向上のとりくみのプロジェクトでは、
・ 学校図書館を改善し、学校と公共図書館間の連携を促進する。
・ 読み書きのスキルを高める。
・ すべての教科を通じて、演繹理的・批判的読解力を高める。
・ すべての教科において書くことをベースにした学びを推進する。
そして何よりも注目したいのは、教育方法に関して、国家教育委員会が、ヘルシンキ大学のユリア・エンゲストロームなどが提唱する社会構成主義に基づく学習理念を採用し、「自分で考え判断させる態度の育成」「学ぶ動機の維持」「実社会との壁を取り払うこと」を中心に据えて、教える教育から学ぶ教育へ教育方法の意識改革に取り組んだことである。具体的には、カリキュラム横断的なテーマ学習によって、パートナーシップを基調とする双方向型・共同型の学習活動が行なわれているという。テーマ学習は、実施方法は地方自治体や学校に任されていて、既存の教科の中で取り組むことも、時間を設定して実施することも可能である。ただ、基礎教育では、次の7つのすべての分野をカリキュラム横断的に扱うとことが規定されているそうだ。
・ 人間としての成長
・ 文化的アイデンティティと国際性
・ コミュニケーションとメディアリテラシー
・ 参加、民主主義、起業家精神
・ 環境、福祉、持続的発展への責任
・ 安全と交通
・ 人間と技術
テーマ学習は、日本の「総合的な学習の時間」に似ているが、その異同を、さらに詳しく知りたいものである。また、本書では、学習活動における学校図書館の役割についても具体的に述べられていないので、このあたりのことも、ぜひ、知りたいと思う。下記の引用から推測すると、おそらく、プロジェクト型の学習活動の推進が学校図書館の活用を容易にしているのではないだろうか。
・・・PISA2000の結果をふまえた説明によると、読解力におけるフィンランドの好成績の要因には、読書の頻度と関心の高さがあるという。こうした傾向は、一般の書籍のみに限定されるものではない。新聞、雑誌、漫画、電子メール、インターネットなどについても同様の傾向がみられたという。フィンランドでは、公共図書館が充実していることもあり、子どもたちはこれらを通じて多様な活字媒体にふれる機会をもつことができるのである(実際、図書館の利用頻度も高い)。
このような機会は、教室の中においても頻繁に用意されている。近年、フィンランドの学校において「プロジェクト学習」のとりくみが広がりを見せるなかで、子どもたちが、教師から与えられた課題に、インターネットや、本、雑誌、新聞などを活用しながら、個人やグループでとりくむ姿は、日常的な光景となりつつある。(『フィンランドに学ぶ教育と学力』p.15)
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前稿で、私は、「私たちがフィンランドから真に学ぶべきことは、国民すべてが自由と平等を享受できる福祉社会を実現するため、社会・教育における構造変革に向けて行なわれた総合的な施策ではないだろうか。」と結んだ。施策は、家庭教育や社会教育を含めた持続的な教育全体におよぶが、学校教育にかぎってみても、たとえば、次のような施策は、けっして目新しいものではなく、わが国でも、私たちがずっと求めてきたことだから、それらを現場で実践できる条件を整えてしまったフィンランド政府の英断は、うらやましくもあり、同時に私たちに新たな希望を抱かせるものでもある。
・ 教科書検定制度を廃止し、カリキュラムを大綱化する。
・ 教育内容に関する国家規制を大幅に緩和して、裁量権を地方自治体・学校に委譲する。
・ 地方分権と学校の自己評価、理科教育、読解力強化事業、教員養成(すべての教員は修士を要求される)に力を入れる。
LUKU-Suomiという、学校教育段階における母語力向上のとりくみのプロジェクトでは、
・ 学校図書館を改善し、学校と公共図書館間の連携を促進する。
・ 読み書きのスキルを高める。
・ すべての教科を通じて、演繹理的・批判的読解力を高める。
・ すべての教科において書くことをベースにした学びを推進する。
そして何よりも注目したいのは、教育方法に関して、国家教育委員会が、ヘルシンキ大学のユリア・エンゲストロームなどが提唱する社会構成主義に基づく学習理念を採用し、「自分で考え判断させる態度の育成」「学ぶ動機の維持」「実社会との壁を取り払うこと」を中心に据えて、教える教育から学ぶ教育へ教育方法の意識改革に取り組んだことである。具体的には、カリキュラム横断的なテーマ学習によって、パートナーシップを基調とする双方向型・共同型の学習活動が行なわれているという。テーマ学習は、実施方法は地方自治体や学校に任されていて、既存の教科の中で取り組むことも、時間を設定して実施することも可能である。ただ、基礎教育では、次の7つのすべての分野をカリキュラム横断的に扱うとことが規定されているそうだ。
・ 人間としての成長
・ 文化的アイデンティティと国際性
・ コミュニケーションとメディアリテラシー
・ 参加、民主主義、起業家精神
・ 環境、福祉、持続的発展への責任
・ 安全と交通
・ 人間と技術
テーマ学習は、日本の「総合的な学習の時間」に似ているが、その異同を、さらに詳しく知りたいものである。また、本書では、学習活動における学校図書館の役割についても具体的に述べられていないので、このあたりのことも、ぜひ、知りたいと思う。下記の引用から推測すると、おそらく、プロジェクト型の学習活動の推進が学校図書館の活用を容易にしているのではないだろうか。
・・・PISA2000の結果をふまえた説明によると、読解力におけるフィンランドの好成績の要因には、読書の頻度と関心の高さがあるという。こうした傾向は、一般の書籍のみに限定されるものではない。新聞、雑誌、漫画、電子メール、インターネットなどについても同様の傾向がみられたという。フィンランドでは、公共図書館が充実していることもあり、子どもたちはこれらを通じて多様な活字媒体にふれる機会をもつことができるのである(実際、図書館の利用頻度も高い)。
このような機会は、教室の中においても頻繁に用意されている。近年、フィンランドの学校において「プロジェクト学習」のとりくみが広がりを見せるなかで、子どもたちが、教師から与えられた課題に、インターネットや、本、雑誌、新聞などを活用しながら、個人やグループでとりくむ姿は、日常的な光景となりつつある。(『フィンランドに学ぶ教育と学力』p.15)
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自分としては、自分の子どもにはできるだけのことをしてあげたいと思いますが、それだけでは周りとの軋轢を生んでしまう可能性もあるかもしれないので、できれば他の子たちにもなにかしら力になってあげたい。
で、教師ではない自分などにできることがあるとすれば、自分がブログで描いているような、勉強を題材にしたまんがで学ぶことに興味をもってもらうことぐらいですから。何かいい効果をうめないかな、と日々試行錯誤しております。