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なぜCOVID-19はこれほど恐れられているか? 第17代大阪大学学長 平野俊夫先生

2020-04-17 | 神道

平野先生の続きです。

 「平野俊夫のコーナー」 Home:  http://toshio-hirano.sakura.ne.jp/Hirano/Home.html 

Blog:

http://toshio-hirano.sakura.ne.jp/Hirano/Blog/entori/2020/4/5_dibaonazeCOVID-19hakorehodo_kongrerareteirukaguo_duni_kongreru_bi_yaohanaiga_jueshite_diwo_gankumitehaikenai_1.html  

(200413 copied by KKB)

 

第2報:なぜCOVID-19はこれほど恐れられているか?

〜過度に恐れる必要はないが、決して敵を甘くみてはいけない!〜

平野俊夫、2020年3月29日

希望の光が灯る? しかし、決して油断をしてはならない

前号で、集団免疫閾値の観点から、「仮に集団免疫閾値を60%と仮定した時に、何もせずに放置すると終息するまでに、日本では最悪、70万人から250万人、世界では1.9億人が死亡する」と記載したが、この予想は間違っているかもしれない。世界中の死亡者はこの予想よりもかなり減るかもしれない。

BCGワクチンがCOVID-19に対する抵抗力を高める手段としてにわかにかに脚光をあびることになってきた。これが事実であれば、当然集団免疫閾値も修正する必要性がある。すなわち獲得免疫だけで計算すると集団免疫閾値は60%であっても、BCGワクチンにより訓練免疫が付与されていれば、免疫の基盤が、かさ上げされるので、集団免疫閾値はBCGワクチンの効果に依存してかなり下がることになる。その結果、発症数や重症率は減り、死亡率が減ることになる。

集団免疫閾値はあくまでも獲得免疫における免疫記憶(例えばワクチンや、自然感染によりその感染症に対して免疫を獲得し、次回同じ感染症に対しては発症しないか軽症で済む)に基づいた話であり、自然免疫にも同じく記憶といえるような、感染症に対する抵抗力を獲得することができるという現象が存在する(特定の感染症に特異的というよりは幅広く抵抗力を示す)。これをTrained Immunity(訓練免疫)と呼ぶ(Kleinnijenhuis et al, PNAS, 109, 17537, 2012)。訓練免疫を考慮に入れると集団免疫閾値は当然低くなる。

最近、世界中の様々なサイトで話題になっている「JSatoNote」がある。

https://www.jsatonotes.com/2020/03/if-i-were-north-americaneuropeanaustral.html

経営コンサルタントを営んでおられるブリスベン在住の日本人男性のブログサイトである。結論は結核を予防するためのBCGワクチン接種とCOVID-19感染症の分布に関係があるのではないかという現実のデーターに基づいた優れた考察である。

1)現在のCOVID-19流行地とBCGワクチン接種地域に大雑把な相関がある。すなわちBCG接種地域では感染者の数や死亡者の数が低い。際立つのはBCG接種酷であるロシア、東ヨーロッパ、アジア(武漢をのぞく)で感染者の数が少ない

2)若者や幼児は感染者や重症者が少ないと報告されているが、これは主としてBCG接種国の中国のデーターであり、ヨーロッパやアメリカでは若者にも感染者が多く出ている。

3)さらに詳しく見ると、イタリア対クロアチア、スペイン対ポルトガル、イギリス対アイルランド、スエーデン対ノールウエー、旧西ドイツ対旧東ドイツ(これらはすべて近接している国々や地域である)の感染者の比較である。前者はBCG非接種、後者は接種。接種国や地域では感染者や死亡者の数は少ない、例えばスペインでは72,248人が感染して、5,690人が死んでいるが、ポルトガルでは4,268人が感染して76人が死亡している。

4)筆者が住んでいるブリスベンと東京の比較。前者は人口密度が東京よりはるかに低い。さらに政府は東京より10倍くらい強い行動制限を課している。しかしながら、ブリスベン(BCGワクチン非接種)では急速に感染が広がっている。

5)さらに、BCGワクチンは牛結核菌を弱毒化したものだが、使用されている菌株の種類によって、COVID-19に対する抵抗性は異なるらしい。BCGワクチンは大きく分けると、日本やロシアで使用されている一番古い菌株と、その後に分離されたヨーロッパを中心に使用されているものに分類できる。ロシア/日本型はヨーロッパ型に比べて強い抵抗性を与えているようだ。

西ドイツはヨーロッパ型、東ドイツはロシア型を使用している。致死率は西ドイツ(1988年までは使用していた)では人口100万人あたり0.35だが、東ドイツは0.11である。際立っているのは隣接するイラクとイランである。イラクは日本型、イランは独自のものを使用している。イランでは、35,408人が感染して2,517人が死亡、イラクでは458人が感染して、40人が死亡している。ちなみに、中国は独自型、韓国はヨーロッパ型や時には日本型、台湾と日本は日本型を使用している。

6)日本国内での感染者1349人のうち、日本人は934人で415人は日本在住の外国人である。外国人の感染者の数が圧倒的に多い。

以上の解析は、BCGワクチンが新型コロナウイルスに対する抵抗性を付与しているのではないかということを示唆している。

詳しくはオリジナルサイトをご覧いただきたい。https://www.jsatonotes.com/2020/03/if-i-were-north-americaneuropeanaustral.html

この報告に対して海外の一部の国(オランダ、ドイツ、オーストラリア)では医療関係者を中心にBCGワクチン接種を始めたようです。

BCGワクチンは日本では広く使用されてきた。BCGワクチン接種により乳幼児の致死率が低下することや肺炎などの感染症に対して抵抗力を強めることも以前より報告されていた。またBCGワクチンにより癌免疫を高めるという研究も、古くは丸山ワクチン、そして阪大第3内科を中心に結核菌体成分(BCG-CWS)による癌免疫強化など日本では盛んに行われてきた。私自身も12年前にの肺がん手術後に、1年間BCG-CWSの接種を行った。

 Kleinnijenhuis らは、2012年に、BCGワクチンが様々な感染症に対する抵抗性を付与する現象をTrained Immunityとして報告していたが、その機序の詳細は不明であった。今年の1月号のCell Host & MicrobeにBCGワクチンは免疫系の細胞である単球などのエピジェネティツクの変化をさせて、その結果炎症性サイトカインや増殖因子やPI3Kなどのシグナル伝達因子をコードする遺伝子発現が起こりやすくなっていることを報告しているhttps://www.cell.com/cell-host-microbe/fulltext/S1931-3128(17)30546-2?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS1931312817305462%3Fshowall%3Dtrue

BCGワクチン接種により単球のエピジェネティツク状態が変化してIL-1, IL-6, TNFaなどの炎症性サイトカイン産生が増加することを報告している。特に黄熱病ウイルス感染モデルでは、IL-1という炎症性サイトカインが感染防御に重要な役割を果たしていることを報告している。またIL-1自身が単球にエピジェネティツクの変化を誘導できることも示している。

(西川伸一先生のブログにも詳しく解説されているhttps://aasj.jp/news/watch/12665)

以上のように BCGワクチンが免疫系の細胞に免疫記憶に似た現象である、訓練免疫(Trained Immunity)を付与することにより、結果として様々な感染症に対する抵抗力(免疫力)を高めることができるということだ。その結果としてウイルス感染症であるCOVID-19に対しても抵抗力を高めていると考えられる。

注釈:獲得免疫における免疫記憶は抗原特異的、すなわち同じ病原菌に対して免疫を獲得するが、このケースでは抗原特異的ではなく自然免疫系の基礎をかさ上げしているようなイメージ;簡単に言えば、免疫力の基盤を高めると理解しても良い)

以上のように、まだ科学的証明はないが、これらの情報は現在のCOVID-19感染症に対する恐怖を精神的に若干和らげるものであり、BCGワクチンが抵抗力を高める手段として、その可能性が脚光をあびることになってきた。以上の予想が当たれば、当然集団免疫閾値も修正する必要性がある。すなわち獲得免疫だけで計算すると集団免疫閾値は60%であっても、BCGワクチンにより訓練免疫が付与されていれば、免疫の基盤が、かさ上げされるので、集団免疫閾値はBCGワクチンの効果に依存してかなり下がることになる。その結果、発症数を始め、重症になる率は減り、致死率が減ることになる。

かくして希望の光が灯りつつある!

しかし、決して油断してはならない。

**********

KKB注:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E9%87%8E%E4%BF%8A%E5%A4%AB

平野 俊夫(ひらの としお、1947年4月17日 - )は、日本の生物学者。大阪大学第17代総長、量子科学技術研究開発機構初代理事長。専門は、免疫学、腫瘍病理学。医学博士(大阪大学 1979年)[1]。インターロイキン-6の遺伝子の発見と作用機序の解明で著名である。

見えない相手と戦う難しさを感じます。

でもいろいろな情報を得ながら的と戦う事が必要だと思います。

仲田洋美先生のブログです。何本か上程しています。

楽しいブログですよ。見ていて自然に頬の筋肉が緩んできます。

https://www.youtube.com/watch?v=jXKia8WgPyU

 

差し迫る医療崩壊 増え続けるNYの新型コロナ感染者数…次は東京!?

女王降臨ひろみちゃんねる

正直すぎる(はっきりものをいう)のが特徴です.専門医として皆様にまっすぐ向き合います.内科専門医,

がん薬物療法専門医,臨床遺伝専門医. 神宮外苑ミネルバクリニックを開設.

全国から幅広い方々にお越しいただいています.

今の治療方法でいいのかとかセカンドオピニオンも応じております。

土佐の女のずばずばと・・・・・・三手のお楽しみ!

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