拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

あんたを婿にもらう前に言っておきたいことがある(亭主関白×かかあ天下。弁証法的考察)

2024-08-08 09:19:28 | 日記

レスリングで金メダルの文田健一郎選手は「猫レスラー」と呼ばれている。ウィキペディアには「体が柔らかいから」とあるが、同選手は無類の猫好きであり保護猫二匹を飼っていることには一言も触れてない。かように、歴史・評論は編者の主観によって変わるものである。

寅子の娘・ユミが立ち聞きをしていたことを怒られた(朝ドラ)。ユミにはいくつかの反論が可能である。その1。「朝ドラでは立ち聞きが常套手段である」。その2。ユミの言動は脚本家の筆一つで決まっており、ユミに自由意志はない(「ソフィーの世界」もそういう話である)。

さて。高校野球で「あさイチ」が放送休止になる前、さだまさし、所ジョージ、松重豊の三氏が同番組で人生訓を垂れていた。松重豊さんが私より年下なのにびっくりした。松重豊さんを初めて知ったのは、私の中では1,2を争う名作朝ドラの「ちりとてちん」のお父ちゃん役である(「孤独のグルメ」より前である)。若狭の塗り箸職人を演じていた。あまりにドラマが好きになったので、若狭塗り箸の夫婦箸を注文したのだが、相手が見つかる前に先端の塗りが剥げてきた。今度は、相手を見つけてから注文するつもりである。

お三方の話す内容はバラバラ。仮に、プラトンが言うように「真理が一つ」なら、三人のうち二人は間違ったことを言ってることになる。

そんななか、さだまさしの「関白宣言」について、その歌詞は今の時代だとちょっと……と誰かが言っていたが、発表当時から怒ってる人はいた。そもそも冒頭の「お前を嫁にもらう前に」からしてアウトである。

だが、「亭主関白」から一気にはジェンダー平等に移行しない。「亭主関白」というテーゼに対し、アンチ・テーゼである「かかあ天下」が起こり、両者がもみ合ってジェンダー平等に止揚する、これがヘーゲルの弁証法的展開である。だから、さだまさしの件の歌に続き、「あんたを婿にもらう前に言っておきたいことがある」で始まる「かかあ天下宣言」が歌われ、両者が競って歌われた後、ジェンダー平等に到達するのである。因みに、豊臣秀吉は、関白であり天下人であった。

だが、ヘーゲルは、事象を全体として見て、個々の事案を捨象したが、件の歌を歌われた妻予定者たちの反応はまちまちであろう。例えば、某CMのように、「じゃ、いいですぅ」と言って婚約を解消するかもしれない。あせって夫予定者が「だから、『できる限りでいいから』って言ってるじゃん」と言い訳するのに対しては「そういう、上から目線なことを言うこと自体許せない」という反撃が想定される。

ところで、件の歌の歌詞をあらためて見ると、当初の感想とは違う感想も湧いてきた。例えば「自分より先に寝てはいけない」は、認知症にかかった夫なり妻なりの切実な願いともとれる。なぜなら、健常な方が先に寝てしまうと、患者は夜中に徘徊を始め、それこそ電車にはねられようものなら莫大な賠償請求を鉄道会社から請求されるおそれがある(その請求を認めなかった最高裁判決もあるが)。

さらに、「自分より後に起きてはいけない」は、これを「自分より先に起きろ」と解すれば腹もたつが、「ずーっと寝てていい」と解せば楽ちんな話である。例えば、夫なり妻なりに「いつまで寝てるんだよ」と言われたとき、「あんたが『自分より後に起きてはいけない』って言ったんじゃん。文句あるっ?」と言い返すことができる。

因みに、「寝過ぎると寿命が短くなる」と言う人がいる一方で、大谷選手は10時間寝る(だから活躍できる)、という話もある。どちらが真実なのかはっきりさせてほしいところだ。私としては、後者が真実であってほしいのだが。



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