SEINFELD(となりのサインフェルド)8-13、The Yada Yada(かくかくしかじかは魔法の言葉)から。
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さて、カトリックからユダヤ教に改宗した歯科医のTim Whatley。
まるで、すべてのタブーからフリーになったかのように、ユダヤ・ジョークとカトリック・ジョークをかましまくる彼に言いようのない不快感と怖れを抱いたJerryは、早速カトリックの神父のところに相談(っていうよりも…告げ口)に行くのでした。
教会の懺悔室に入ったJerry。
Kneelerに腰掛けてみたり(?)など「お約束」なギャグから始まるこの場面。SEINFELDの傑作シーンの一つにも数えられています。
FATHER: Tell me your sins, my son.
(あなたは何の罪を犯したのですか?)
JERRY: Well I should tell you that I'm Jewish.
(ええ、まず…僕はユダヤ人なんです。)
FATHER: That's no sin.
(それは罪ではありません。)
JERRY: Oh good.
(ああよかった。)
ここ、笑ってもいいんですよね(笑)
JERRY: Anyway, I wanted to talk to you about Dr. Whatley. I have a suspicion that he's converted to Judaism just for the jokes.
(とにかく、今日はWhatley氏のことで話があるんです。彼はユダヤ・ジョークを言いたいってだけの理由でユダヤ教に改宗したんじゃないかと思えてならないんです。)
FATHER: And this offends you as a Jewish person.
(あなたはユダヤ人として、それが気に障るのですね。)
JERRY: No, it offends me as a comedian. And it'll interest you that he's also telling Catholic jokes.
(いえ、僕はコメディアンとして、それが気に障るんです。で、ぜひあなたに聞いていただきたいのは、彼はカトリックのジョークまで口にするんですよ。)
FATHER: Well.(はぁ…)
JERRY: And they're old jokes. I mean, the Pope and Raquel Welch in a lifeboat.
(古いジョークなんですけどね。法王とRaquel Welchが救命ボートに乗っている話とか)
FATHER: I haven't heard that one.
(それは聞いたことがないな)
JERRY: Oh, I'm sure you have. They're out on the ocean and, yada yada yada, and she says, "Those aren't buoys."
(いや、絶対耳にしていますよ。二人が海に投げ出されて、でいろいろあって、彼女が言うんです「これは浮き輪じゃないわ」)
神父、吹き出す
ここのyada yada yadaもSEINFELDから生まれた(厳密に言うと、以前からあった言い方なのだけれど、このエピソードでメジャーになった)フレーズです。後ほど、改めて取り上げます。
FATHER: One second... Well, if it would make you feel better I could speak to Dr. Whatley. I have to go back and have a wisdom teeth removed.
(ちょっと待ってくれ{笑いを必死にこらえる}私からWhatley氏に話をしてみよう。それであなたの気持ちが少しでもおさまるなら。親知らずを抜いてもらうのに、また彼のところへ行かなければならないんだよ。)
JERRY: good luck. You know the difference between a dentist and a sadist don't you?
(幸運を祈りますよ。歯科医とサディストの違いって何か知っていますよね?)
FATHER: Um...(はぁ?)
JERRY: Newer magazines.
(歯科医は{待合室に}新しい雑誌をそろえている、ただそれだけ)
歯科医と雑誌のネタ、他のエピソードにも出てきます。
これホントに…何度も言ってますが、全米歯科医師協会とか抗議しないんでしょうか…(笑)
で、これには神父もあきれ顔になります。
Raquel Welchのジョークは受けたんですけどね。
さて、再びWhatleyの歯科医に来ているJerry.
そんなにWhatleyにムカつくんなら、他の歯科医に変わればいいのにね(笑)でも、それじゃ話になりませんので~
JERRY: Oh, are you about done?
(もう終わるかい?)
TIM: I'm just getting warmed up. Because I'm just a sadist with newer magazines.
(いや、ウォーミング・アップをしてるところだよ。なんたって、僕は待合室に新しい雑誌をそろえているだけのサディストだからね。)
やばい~
TIM: Father Curtis told me about your little joke.
(Curtis神父が君のジョークのことを話してくれたよ。)
JERRY: What about all your Jewish jokes?
(じゃあ、君のあのユダヤ・ジョークは何なんだよ!?)
TIM: I'm Jewish, you're not a dentist. You have no idea what my people have been through.
(僕はユダヤ人なんだ。君は歯科医じゃない。君は僕たちがどんな体験をしてきたのかわかっちゃいないんだ。)
JERRY: The Jews?(ユダヤ人が?)
TIM: No, the dentists. You know, we have the highest suicide rate of any profession?
(いや、歯科医だ。あのねぇ、僕たちはどんな職業よりも自殺率が高いんだよ。)
JERRY: Is that why it's so hard to get an appointment?
(ああ、だから予約が取りにくいってわけね?)
ここの「ユダヤ人としてよりも、コメディアンとして腹が立つ」っていうの…
確かにみんながユダヤ教に改宗して、みんなが宗教的・文化的タブーの制限を受けないでユダヤ・ジョークを口にするようになったなら、ホントに困ってしまう(廃業に追い込まれてしまうというか…笑)コメディアンだっているんじゃないでしょうか。
「ユダヤ・ジョークのためだけに改宗する」なんて、あまりにもお笑い的な話ですけれど、でも、一つの「特権」を得るために手段を選ばないなんてのは、現実の世界にあり得ないことじゃありません。
また、Whatleyが"...you're not a dentist!"とJerryを非難していますが、非歯科医は歯科医ネタのジョークを言ったらマズイのか…。でも確かに、どんなキツいジョークでも、当事者であればこそ「自虐ネタだから」なんて、暗黙のうちに免罪符が与えられたりすることがありますよ。いわゆるユダヤ・ジョークにも顕著に見られることですよね。
で、KramerにぶちまけるJerry。
JERRY: So you won't believe what happened with Whatley today. It got back to him that I made this little dentist joke and he got all offended. Those people can be so touchy.
(今日のWhatleyのこと、信じられないと思うよ。だってさ、僕がちょっと歯科医のジョークを言ったのが仕返しみたいに受け取られちゃって、彼はとっても頭に来てるらしいんだよ。あの人たちって厄介だな。)
KRAMER: Those people, listen to yourself.
(「あの人たち」だって、何言ってんだ?)
JERRY: What?(はぁ?)
KRAMER: You think that dentists are so different from me and you? They came to this country just like everybody else, in search of a dream.
(お前は歯科医は俺やお前とは違う人間だと思っているのか?彼らもみんなと同じように、夢を求めてこの国にやってきたんだ!)
JERRY:Whatley's from Jersey.
(WhatleyはNew Jerseyの生まれだ。)
Kramer: Yes, and now he's a full-fredged American.
(ああ、で彼は今や立派なアメリカ人なんだ。)
ここのKramerは、人種差別主義者(あるいは狭量な人…つまり、ここではJerry)を非難するような口調になっています。
JERRY: Kramer, he's just a dentist.
(Kramer、彼は単なる歯科医だよ。)
KRAMER: Yeah, and you're an anti-dentite.
(ああ、でお前は反歯科医主義者だ。)
JERRY: I am not an anti-dentite!
(僕は反歯科医主義者なんかじゃないよ!)
KRAMER: You're a rabid anti-dentite! Oh, it starts with a few jokes and some slurs. "Hey, denty!" Next thing you know you're saying they should have their own schools.
(お前は過激な反歯科医主義者だ!最初はちょっとしたジョークや中傷から始まるんだ。「おい、歯医者さんよ~」なんてな!で、その次には彼らは彼らだけの学校を作るべきだ!なんて言い出すにきまってるんだ!)
JERRY: They do have their own schools!
(もともと、彼らには彼らだけの学校があるよ!)
KRAMER: Yeah!
(そういやそうだな)
歯科医という職業の「何となくマイナー」な側面を人種問題にうまくリンクさせているような、なかなかの傑作エピソードです。
何故改宗したのかよくわかんないTim Whatleyもアレですが、歯科医を目の敵にし続けるJerryも何とも…
とにかく、このエピソードは観客も大盛り上がり。
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belmont(ベル)
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