部屋に「顔」のあるものを置くなんて、考えただけでも怖いのに…まして「ピエロ」なんて!!
SEINFELD(となりのサインフェルド)4-8 のThe Opera(今宵はオペラへ)では、4人がオペラ鑑賞に出かけます。演目はRuggero LeoncavalloのPagliacci(道化師)。何故かKramerがチケットを手配してくれているんです。
JERRY: I don't like the opera. What are they singing for? Who sings? You got something to say, say it!
(僕はオペラは嫌いなんだ。なんで歌うわけ?いつも歌ってる人っている?言いたいことがあれば、話せばいいだろ?)
やれやれ…
こういうことを言いたがるのは日本人だけじゃないようですね。
根っからの「オペラ・ミュージカル体質」の私からすると、へ理屈にしか聞こえませんが…笑
KRAMER: Jerry, you don't understand, that?s the way they talk in Italy, they sing to one another.
(Jerry、お前は分かってないな。イタリアでは、みんなお互いに、歌いながら話すんだよ。)
と、Kramerはメチャクチャなイタリア語で歌ってみせます。
上手いよ、Michael (Kramer)!
今年は、昨年の失態をカバーするような活躍をしてくださいよ~.
JERRY: So why don't they talk like that now?
(でも、今ではフツーにしゃべっているじゃないか?)
KRAMER: Well its, uh, well its too hard to keep up, you know, they were tired.
(そりゃ、いつも歌ってるのは大変ってもんだろ?奴らは、なんかこう…疲れたんだな。)
さて、このPagliacci(道化師)は比較的短いオペラ。旅回り一座の看板女優と座長は夫婦だったのだけど、妻のNeddaはある村に住む男性と不倫関係にありました。それを知った夫は劇中劇の中で、道化師の役をしながら、妻を殺めてしまう…という、ホントにオペラな筋書き。私は、残念ながら、生で観たことはないんですよ。
その頃、ElaineはJoeyという、ちょっと謎めいた男性に惹かれてしまってデートを重ねていました。ところが、このJoeyこそ、JerryやKramerが恐れている
"Crazy" Joe Davolaその人だったのです。
この"Crazy" Joe Davolaは第4シーズン通して登場する「ちょっとアブナイ」人物。ここでは取り上げていませんでしたが…まぁ、何というか、どうやってpolitically correctに彼を紹介するか、ややこしかったもので避けてきたわけです。とりあえず、呼称をpolitically correctに”Mentally Disturbed” Joe Davolaといたしましょうか…
Joe Davolaは脚本家だったらしいのですが、NBCのパイロット版制作に乗り出したJerryを恨み、執拗に嫌がらせを仕掛けてくる…しかし、なにぶん”crazy”と呼ばれているくらいの人だから、「アブナイ一線」を越えないという保証はないわけです。
実は、このオペラ鑑賞の日も、Jerryの留守電にDavolaからの薄気味悪いメッセージが入っていました。
Davola on answering machine: …I know what you said about me Seinfeld. I know you badmouthed me to the execs at NBC, put the kibosh on my deal. Now I’m gonna put the kibosh on you. You know I’ve kiboshed before, and I will kibosh again.
(お前が私のことを何と言ったか知っているんだ。NBCの上層部に私の悪口を言って、契約を台無しにしただろう。今度は私がお前を台無しにしてやるからな。今までもそうしてきたが、再びやるからな…)
kiboshというのは、ちょっと珍しい言葉です。
put the kibosh on…
〈計画など〉をだめにする, 妨げる
これがJoe Davolaを象徴する言葉となりました。辞書にはこのkiboshの起源はわからないとなっています。DVDの解説では、「多くの人はYiddishだと思っていたようだが、実際にはギリシア語に起源を持つ言葉だった。」とあります。
さて、Elaineはこの男性の素顔を知らずに一緒にオペラPagliacciを観に行くつもりだったのですが、彼のアパートを訪れたElaineの見たものは…!!!
恐れをなしたElaineは気味悪く迫るDavolaに口臭スプレー(?)を吹きかけて逃げ出します。Davolaの方は、脳内がPagliacci(道化師)になってしまって、ピエロの扮装をし、不貞を働いたNedda(Elaine)への復讐のためにオペラハウスに向かうのでした。
ElaineとJerryはそんなことも知らずに、オペラハウスの前で会場待ち。そこにはピエロがいました。このピエロはJoe Davolaじゃなくて、普通のストリート・パフォーマーだったのですが…(トップの写真)
CLOWN: Anything is welcome, I accept change.
(小銭でもいいですからお願いします。)
JERRY: I don't have anything, I gave it to that guy.
(小銭も持ってないんだ。あの人にあげちゃったからね。)
実際、この前に、Jerryは同じ列に並んでいた男性とちょっとしたトラブルがあったのです。オペラハウスで粋がって見せたJerryの蒔いた種だったんですけどね…
CLOWN: You know, you could just say no, you don't have to humiliate me. I may be dressed as a clown but I am a person.
(あのねぇ、普通に「ありません」って言えばいいだろ?わざと僕を辱しめるようなことを言わなくていいだろ。僕はこんなピエロの格好をしているかもしれないけれど、一人の人間なんだ。)
JERRY: I'm telling you, the guy took.....
(いや、だって実際にあの人が…)
CLOWN: And I don't need people like you looking down their noses at me. I am just a street performer out here trying to make enough to get by….What, are you showing off to your girlfriend here, is that it?
(あんたのように僕を見下して鼻であしらうような人に用はないよ。僕はストリート・パフォーマーとして何とかお金を稼ごうとしているだけだ。それなのにナンだ?あんたは!ここでガールフレンドを見せびらかしたいわけか?)
ELAINE: I'm not his girlfriend. We dated for a while, but things didn't really work out.
(私はガールフレンドじゃないの。昔は付き合ってたけどね。今はもうダメになっちゃったの。)
CLOWN: You people make me sick.
(あんたのような人はムカつくよ。)
ピエロ去る
JERRY: That is one angry clown!
(怒れるピエロだね…)
Tシャツまであります。
SEINFELDではangry clownが時々出てきますね…。The Fireでも、Georgeのガールフレンドの息子のbirthday partyにやってくるピエロ。しかし、Georgeと大トラブルになります。楽しく夢のある扮装をしたピエロが、マジ切れして、しっかり権利主張するのが何とも面白いんですよ。
その頃、KramerはリアルJoe Davolaのピエロと遭遇していました…。Kramerは子どもの頃からピエロが怖かったそうで、見覚えのある顔立ちのピエロに固まってしまっていました。(ホントのDavolaだと知ったら、もっと大変だったろうに…)KramerはThe Gymnastの中でも「ピエロ恐怖症」を告白しています。
そういえば、この前のシーズンのThe Keyの中で、Kramerが突然姿を消したので心配したJerryがKramerの実家に電話をかけるんですが、誰も応答せずにPagliacci(道化師)のアリアが流れていました。どういう実家なんだ??…と、みんなが不思議に思ったシーンでした。
私もピエロは怖い…かなり昔の漫画に「死を呼ぶピエロ」なんてのがあったのを今でも覚えている。あのころは「ヘビ女」やら「クモ女」やら「化け猫少女」やら…いろんな恐怖漫画キャラがあったと思うのですが、その中でも、とりわけ「死のピエロ」は怖かったですよ。
Coulrophobiaというのがあるんだそうです。ここ
ピエロの扮装をした人とか、パントマイムの人に対する恐怖症をさす言葉。なんか…アメリカって、この辺りの研究が「やたらと進んでいる」のが面白いですよ。
でも、こんなページもありました。
Evil clown
ここでは、Kramerについても書かれていますね♪
過去にはピエロの扮装を好んだ現実の殺人鬼もいたし、pop cultureの中では、邪悪なピエロはよく登場するんですよね。
しかし、お正月早々、こんなことを書いている私って…
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