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And This Is Not Elf Land

SEINFELD 3-13 The Subway (Biffーアメリカ文学史上最大の敗北者ー)

SEINFELD (となりのサインフェルド)3-13 “The Subway(地下鉄に乗って)”のワンシーン

Georgeには大切な就職面接が控えています。

Jerry: Remember, don't whistle on the elevator.
   (いいか、エレベーターの中で口笛を吹くなよ。)

George: Why not?
    (なんでだ?)
Jerry: That's what Willy Loman told Biff before his interview, in 'Death of a salesman'.
(これって「セールスマンの死」の中で、Willy Lomanが息子のBiffに就職面接前に言って聞かせたことなんだぜ。)

George: What, you are comparing me to Biff Loman, very encouraging. The biggest loser in history of American literature.
(ほう!僕をアメリカ文学史上最大の敗北者、Biff Lomanと比べるわけか。そいつは心強い!)


全エピソードを通して、GeorgeがJerryから”Biff!”と呼ばれるシーンが数回あります。
ここでJerryが言っているように、Arthur Millerの有名な戯曲Death of a Salesman(セールスマンの死)に主人公の息子として登場するのがBiffです。

Death of a Salesman 第一幕終わり Biffと弟Happyの会話

Happy: Like when you worked for Harrison’s. Bob Harrison said you were tops and then you go and do some damn fool thing like whistling whole songs in the elevator like a comedian.
( Harrison社にいた時のようにさ。Bob Harrisonは兄さんは優秀だと言ってたのに、兄さんはコメディアンみたいに、エレベーターの中でありったけの曲を口笛で吹いたりとか、馬鹿げたことをやり始めるんだからな。)

Biff: So what? I like to whistle sometimes…
(それがどうした? たまには口笛だって吹きたくなるさ。)

Happy: You don’t raise a guy to a responsible job who whistles in the elevator.
(エレベーターの中で口笛を吹くようなヤツを重要なポストに置く者はいないよ。)


しかし、Biffをこういう人物にしてしまった責任の一端は、実は父親のWillyにあるのです。人付き合いがよく快活なBiffは将来絶対に「成功する人間」になるとWillyは信じます。
「17歳でジャングルに入り、21歳で出てきたときは成功者になっていた」自分の兄、Benのように。

Biffには「強く、誰からも好かれ、何でもできる」人間になれ!と叩き込みます。しかし、それらは裏を返せば「粗野で、お調子者で、地道な努力をしない」という属性を持つことまでには考えが及びません。幼い頃のBiffの多少度が過ぎた行動も、Benというアメリカン・ドリームを勝ち取った叔父の存在によって肯定されます。
しかし、Benが成功を勝ち得たのも、実は熾烈なジャングルで生き抜く緻密な知恵をしっかりと体得していたからなのだということもWillyには想像が及ばないのでした。

Biffは本来は素朴な自然児でした。広大な牧場で動物たちと過ごす時が一番安らぐのでした。でも、Willyの目には、そういう生き方は「敗北者」としか映りません。そこがWillyの限界でした。

Willyが何を望もうが、結局は、地道な努力をもしなければ、熾烈な社会で生き抜く知恵も強靭さも持ち得ないものは敗北者になるしかない…。

SEINFELDに話を戻しますが…ここでJerryの言う「WillyがBiffに言ってきかせた」というのは、こういう場面は劇中にも出てきませんし、明らかに内容と矛盾しているものです。

まあ、Jerryお得意の「皮肉」のようですね。はたまた、"like a comedian"というあてこすりを逆手に取ってギャグにしちゃったのか…。

コメント一覧

master of my domain
The Subwayは…
Lala Girlさま、

コメントありがとうございます。

The Subwayは第3シーズンの13話です。

SeinfeldではNeil Simonの戯曲のネタもあったりして、Jerry自身、戯曲に興味があるのかもしれません。

Larry DavidもBiffの意味を知らなかったようですよ。どこかのエピソードの音声解説で、LarryとJerryが話していて、Larryも「Biffって誰?」と言っていましたよ。

また遊びにいらしてください。

一緒にSeinfeldを語りましょう。
LaraGirl
http://tremm.seesaa.net
 こんばんは。



 このSubwayのエピソードはどのシーズンででてきますか?



 私はずっとBiffってGeorgeが呼ばれているのを聞いてだれなんだろうを考えていました。



 この記事を見つけてよかったです。ありがとうございます。
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