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And This Is Not Elf Land

Falling In Love


グランドセントラル駅からメトロノースに乗って、郊外へ…。こんな所で生活してみたかった…と思ったのは、「おのぼりさん」の私だけではないはず。

※映画「恋におちて」の内容が書かれています。


New Yorkのグランドセントラル駅から北に向かって三本の鉄道が走っています。この映画に出てくるのは、そのうちの一つ。Long Island Soundに沿って走るNew Haven Lineです。私はこの線の隣のHarlem Lineで、一週間ちょっとした「マンハッタン通勤気分」を味わったことがあります。まぁ、私の悪い癖で(?)、電車にはロバート・デ・ニーロのような男性が乗っているもの!と信じ込んで、車両を盛んに見回してみたりなど、ひと通りの「儀式」はやってみました、一応…

デ・ニーロ演じるフランクも、メリル・ストリープ演じるモーリーもNY郊外ウェストチェスターにマイホームを持ついわば「成功者」。建設会社の主任クラスであるフランクの家は、医師の妻であるモーリーの家ほど大きくはありませんが、元気な二人の子どもたちがいて、小さな温室では妻のアンがゼラニウムの植え替えをするという、典型的な家庭の幸せがそこにありました。

二人とも、普段は電車には乗らないのに、たまたま車が故障したフランク、父の見舞いに行かなければならないモーリーはマンハッタン行きの電車に乗り合わせます。時はクリスマス。有名書店リツォーリで再会し、そして、さらなる偶然が二人を近づけます。


何不自由ない二人が、ある日、出会ってしまうんですよね。大人の二人が、ティーンのように胸をときめかせながら、デートを重ねます。大部分では満たされている生活なのに、お互いのほんの小さな隙間に、お互いがぴったり入り込んだような…そんな感じ。

しかし、脇役が濃すぎる(笑)。フランクの親友エド(ハーヴェイ・カイテル!)、モーリーの親友イザベル(ダイアン・ウィースト!)。この二人は恋愛については自由で大胆で、それが、良くも悪くも主役の二人に影響を与えていきます。フランクの妻を演じているジェーン・カツマレックは、どこにでもいるような主婦を好演しています。彼女は最近エミー賞を受賞していたと思います。Felicity(フェリシティの青春)にも出ていました。実力派女優です。

ま、どうってことない「不倫ドラマ」ってことなんでしょうけど、音楽も斬新で躍動感があるし、電車、プラットホーム、ストリート、デパート、書店、人の群れ、渋滞…これらも重要な「脇役」で、なんか全ての「動き」がいい。そんな中で、成熟した男女にふっと訪れた恋愛感情が自然に描かれる。大都会の中で生まれた大人の恋のファンタジー。

ファンタジーのような感情だったからこそ、「とても始末に負えない…」と憤ったアンのやり場のない思いに説得力があります。ストリープはさすがに、嫌味なほど上手いですよね。(褒めてます)イザベルに問い詰められるシーンなんて、ちょっと鼻につく(?)

でも、結局は、二人を結びつけたマンハッタン行きの「電車」に引き裂かれてしまいます。(ちょっと切ない…)でも、月日が過ぎて、今度はクリスマスの日のマンハッタンの「渋滞」が二人を再会させてくれるのです。



道ならぬ愛を描いたものに「女性の父の死」が出てくるのは…これって定番なの?また、この映画、主役の二人をはじめ、典型的な美男美女が出てこない。これがかえってリアリティーがあります。物語ではモーリーの方が社会的な地位が高いという設定になっていますが、もしこれが逆だったら、ずい分印象が違っただろうとも思います。

かつてリツォーリの紙袋を持って歩く日本人観光客が多かったそうですね。(私も写真集など買ってきましたけど)しかし、あちらの本って、どうしてこんなに重いの?思わず「漬物石か!」なんて思ってしまった私には…ロマンチックな出来事など訪れそうにはありません。

グランドセントラルから北に向かうメトロノースに乗り、大都会と周辺地域の雑踏を過ぎると、「アメリカンドリームのゴール」と呼べる世界が目の前に広がってきます。
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