映画『第9地区』
本当に久しぶりに、映画館で面白い映画を観た!昨年の『スラムドッグミリオネア』以来かな~?最近、ホントに映画館で満足できたことがない…今回は久々のヒットでした!
しかし、驚いたのは…こういう映画の観客というのは「おじさん率」があんなに高いのか?!!もともと私は、いかにもなチックフリックは好きだけど、この手のものはあまり観ない。とにかく、あんなに、「周りがおじさんばかり!」という環境で映画を観たのは初めてでございました(!)
それでですね…とにかく、私はこういうSFモノはあまり観ないので、この映画も「真新しくて面白い」という捉えかたをしているに過ぎないのかも知れません。確かに、SFモノというのは「未知なるもの」との遭遇、お互いの生存をめぐる闘い、そして、そして共存への模索、というのが多かれ少なかれ、共通したテーマとなってくるものでしょうから。
さて、私の住んでいる町でも、市役所の窓口の「外国人登録」の表示にAlienという語を使用するのは問題である…という話が10年ぐらい前に持ち上がりましてね。外国人を“alien”という語をもってとらえるということは、差別や排除を助長しかねない…ということで、で、今は“foreigner”になっていると思いますが…で、そのとき、私は思いました。「たしかに、言いたいことはわかるけど…それでは、ホントのエイリアンの立場はないやろ(?)」「エイリアンと称するのは問題が多い!なんて…そりゃ、根っからエイリアンの存在を否定し、差別しているからこそ、生まれる発想でしょうが~」「そんなら、ホントのエイリアンの立場は誰が守るの?…将来的には、そんな必要に迫られるときが絶対に来まっせ!!」
で、今回の映画ですよ。
おお、わたくしの長年の「問い」に対する答えがあるんでしょうか…
20年前、南アフリカはヨハネスブルクの上空に大きな宇宙船がやってきて、中から、おびただしい数の(←これって、差別的な表現ですよね)エイリアンたちが降りてきました。彼らは第9地区と呼ばれるキャンプに居住させられます。彼らは独特の姿をし、独特の習慣を持ち、住民とのトラブルも絶えません。
いつしか人々は、彼らのことを、その独特の姿から“prawn(エビ)”と呼びます。
はぁ~、そりゃ「エビ」に失礼やろ~?!…いやいや、そうじゃなくて、「彼ら」に失礼でしょうが!ちょっと待って…こういうのって「どっちが」「どっちに」「失礼」なの?…あ、これはそういう話じゃないんですけどね(笑)
でも、「全く違う」とも言い切れないかもです…
とにかく、そういう状況をビジネス・チャンスととらえた世界企業MNUは、第9地区に傭兵部隊を派遣して治安維持に努めますが、効果はなく、結局は郊外に第10地区というさらに劣悪なキャンプを作り、そこに彼らを移住させようとします。人権団体の監視もあり、彼ら一人一人から立ち退きの承認のサインを取りつけなくてはいけない…その責任者として選ばれたのが、ヴィカスでした。
ヴィカスは澄んだ眼をした、真面目な社員。組織の中で、小さな権力を手にしたことが、彼にはたまらない喜びであり、あとはひたすら「ヒーローになりたい…」
ま、登場するなりから「得体のしれない陰謀の駒として使われる、典型的なキャラですな~」と思っていたら、やはりその通りでした。
第9地区に乗り込んだヴィカスは、彼らの子ども(?)が大量に孵化(?)している小屋を爆破するなどして、TVカメラの前で誇らしげにヒーローを演じますが、ふとした事故がきっかけで、会社の恐ろしい陰謀に気付くことになります。
この世界は、多種多様なバックグラウンドを持つ人々で成り立っている。そして、常にマイノリティーと呼ばれるグループが存在する。しかし、個人レベルで考えれば、個人が帰属する集団から一旦外れてしまったら…もうそこには、差別する側も差別される側も存在しなくなる。生存のための個人の闘いがあるだけ。
そんな中で、ヴィカスが、「彼ら」の中で最も高い知能を持っていると思われるクリストファー・ジョンソン(なんで、こんなアングロ・サクソンな名前なんだ?…笑)と、その息子に対して、あくまでも「人として正しく」あろうと決断するところなどは、普遍のドラマとして見ることができました。
な~んだ…ちゃんと婦女子がじ~んとくるような展開もありやんか!
また、彼らの作る「強力な武器」とそれを操作する彼らの「能力」を手に入れようと必死になるという点では、大企業もギャング団も全く同じ。「人を圧倒する強さを手に入れたい!」という欲求は、人間の業でもあるのです。手に入れる方法が、法に適っているか否かなんて些細なこと。社会的に認知されている大企業もアウトロー集団も、その方法が少々異なっているけれども、根っこは同じ…そこの描き方も、なかなか面白かったですね。
これは、南アフリカを舞台にした映画ということで、自ずと、彼の国の歴史への当て擦りではないかという見方もできるでしょう。主人公のヴィカス・ファン・デ・メルヴェはオランダ系の名前のようですが…MNUの上層部として登場する白人系の人たちの中にもさまざまな容貌の人がおり、クーバス大佐や、ちょっとした脇役の非白人の人たちもそれぞれ特徴のある容貌であり…南アフリカの歴史とともに、それぞれのエスニシティが意味するところがわかれば、さらに深読みができたかもしれません。
これは「続編」があるのでは?…という「噂」ですが、とりあえず『シャーロック・ホームズ』の続編よりは、こっちの方が楽しみです。
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