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『読書する人だけがたどり着ける場所』あれこれ

2019年11月28日 20時26分28秒 | 枕電子計算機
▽かの『読書力』の著者齋藤孝氏の新たな話題本、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SB新書)を読みました。

4月くらいに。


▽読書家というには烏滸がましいですが、ジャンルをあまり絞らずフィーリングで面白そうと思った本たちを乱読してきたとは思っている私、

“あー、わかるわー。たしかにこういうスキルは読書で培ったかもねー。“

という思いが湧き、

「読書がいかに素晴らしいか」を人に薦めたくなった時には参考図書としたい本だな、と感じました。

『あるテーマについて知りたい場合、続けて5冊ほど読むとかなり知識が得られるからよい。全く知らない分野の本の内容は1,2冊読んで身に付くもんでもないし、かと言って一行一行理解しようにも先に進めず挫折しちゃうから8割忘れてもいいやという気持ちで何冊も読むのである』

とか、確かに自分も学部変える時のテストに向けて言語学の専門書を深くは理解せぬまま雰囲気だけ掴んで何冊も通し読みしたな、卒論書くときも接尾辞とか語用論についてとりあえずそれっぽいことが書いてある論文探しまくって数だけ読んで概要を掴んでいったな、って共感できたし、

「人格を深めたいならお薦めの本はこれ!」「人生を深めるならこれ!」「難しい本にも挑戦してみよう!」

とかとか、参考になることは実に多かった。


▽新しい発見があったと言うより、これは読書のメリットだよね!と思っていたものを体型付けてもらったイメージ。

「大人たちは本を読めっていうけどどんな本を読めばいいかわからないー!」
「そもそも本って読んで何になるーん!?それもわからないのに本を読む気が起きないー!」

と思っている人(主に学生さん)に向けて書かれた本だな、という感じです。

読書を動機づけるいい本だと思いますよ。


▽いい本ではあるんですが、個人的に本のタイトルと全体通してのスタンスがあまり好きでない。

『本を読むと「深い人」になれて、読まないと「浅い人」のまま!あなたはどっちがいいですか?』

みたいなことばが第一章に出てくるんですよ。

待て待て。

本読まなきゃ「浅い人」なのかい?

「人間が浅い」と言われると(齊藤氏がどのような意図で「浅い」を使ったかはわからないけれど)、私は「しょーもないヤツ」とか「バカ」に置き換えてしまう。

冒頭で『本を読むと「深い人」になれて、読まないと「浅い人」のまま!』というような内容が出てきた時、

「本を読む人は立派で読まない人はバカだ。」

って著者が言っているように捉えちゃったのね。

で、それは読書家の驕りでしょう。と。

本を読んでこなかった人にも深みのある人はいっぱいいると思っているから。



▽山田洋次監督、西田敏行主演の「学校」っていう映画シリーズがあるのですが、ご存知でしょうか。

その1作目は夜間中学が舞台なんですが、西田氏が演じる黒井先生のもつクラスに朝鮮から帰化した「オモニ」って呼ばれてるおばさんがいましてね。

夜間中学に入学するまでは焼肉屋を切り盛りしてて、子どもの面倒を見なくて良くなった55歳になったときに何がきっかけかはわからないけれど「勉強したい!」って思い立ったらしいんですよ。彼女。

けど今まで学校なんか行ったことなくて、なかなか勉強が進まない。

ある授業中、プリントを記入する手が止まってるのを机間指導で回っていた黒井先生が見つけて、

「ん?どうしたオモニ?わかんないのか?この前やっただろう」

と声をかけたら、

「バカだからわかんないよ!どうせあたしはバカなんだよ!」

って机叩いて癇癪起こしちゃうの。

そしたら黒井先生がオモニの目線のとこまでしゃがんで、語気強く

「オモニのどこがバカなんだ?ん?女手一つで3人の子ども立派に育てて。焼肉屋繁盛させて。そんなオモニのどこがバカなんだ。」

って叱るんです。

この映画は中学校1年の時に担任の天野先生が授業で見せてくれた映画なのだけれども、

ずっと頭に残ってる。

勉強したくてもできなかった人たち、当時は授業をちゃんと受けてなかったけど改めてちゃんと勉強しようと思った人たち、

そんな人たちは、決してバカじゃない。

勉強できる人が偉いわけじゃない。

って、最初に教えてくれた映画です。


▽そういう思いがあるから、初頭の「本を読まないと浅い人間のままだぞ」って言葉を受け付けなかった。

本読まない人にも人間的深みのある人いっぱいおるでしょ、という、

読書は別に本読んでない人をマウンティングするためにするもんちゃうやろ、という思いが頭に残り続けてしまった。


▽図鑑や専門書を読めば、色んな世界を広く知れる。

物語を読めば、想像力を養える。

その広い知見と想像力があれば、

自分の悩みを解決する糸口が見つけやすくなったり、

対人関係で相手が理解できなくてもそうなった背景を考えて歩み寄ることがしやすくなったりする。

相手と意見が合わないのは決してどちらかが本を読んでいてどちらかが読んでいないからというわけではなく、

お互いが説明不足や想像力不足で歩み寄れないから。

この2つを養うのに、本は便利。

いろんな人と関わっていく中で、説明力や想像力はつく。

けど、いろんな人と関わるって衝突もあったりして時間もかかるしなかなか大変。

そんなとき、本なら、自分1人いれば、図書館に行けば、想像力を養える。
理論的な説明の方法が知らず知らず身に付く。

だから読書っていいんだよ!

って結論に、僕ならしたかな。


▽本を読みたい!読まなきゃいけない!けどモチベーションが上がらない!という人にはお勧めですが、

本を読んだからと言ってすなわち自分が深い人間になれる、などとは思わないようご注意くださいまし。


▽あ、蛇足かもしれませんが、もう一つ。

悩みを本が解決するっていわれることがよくありますが、

それは悩み始めてから本で解決策を探すんでは遅くって、普段から本を読んでいたら今まで得た知識(他の人の考えも交えた自分の考え方)に解決策があるかもしれないよっていう、

事前準備のために本はいいよっていう、

そういうことだと思っています。

悩んでいるときに本なんか読めるかっつーのな。



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