温泉

▽最近ちょっといらいらしたり疲れを感じたら銭湯に行く。

ほのかの湯。

▽ここで気になる「ほのか」の意。

手元の新明解国語辞典には、

「ほのか」【仄（か）】―な　―に
はっきり何だとは分からないが、見たり聞いたりにおいなどによったりしてそれと知る様子。

とある。

どうやら形容動詞を名詞として使っているっぽい。


▽つまり「ほのかの湯」というのは、

「はっきりとは分からないけれども感覚的に湯であるらしいことがわかる温泉施設」、ということなのだろうか。

もしくは

「はっきりしないけどなんか温泉みたいなんだよね、ここ。」と言ったところか。


▽はっきりとはわからないけれどもなんか感覚的にどうやら湯であるらしいことがわかる温泉施設ってどんなものだろう。

ここで言う「湯」は「お湯」ではなく「風呂」とか「温泉」といった意味であることは確かだ。

ということは、


―裸のおじさんたちが集団で広めの水溜めに入ってリラックスしている。どうやら温泉らしい。

―まだ死んでいないのにご老人が水溜めに入って「極楽極楽」とつぶやいているのが聞こえる。どうやら温泉らしい。

―冬なのにおっさんが一糸纏わず野外を歩いている。どうやら露天風呂もあるらしい。

―更衣室から出てきた男女の大半が異様なまでに瓶入りコーヒー牛乳を購入している。これは温泉ですね。

というような考えを巡らさずにはいられない温泉施設なのかもしれない。

今まで利用してきてそんなこと一度も考えたことはないが。



▽はっきりしないけどなんか温泉みたいなんだよね、ここ。という意味でとらえるならば、

レストラン、ヘアカット、整体、エステ、入浴ができる施設か。一体一番やりたいことがなんなのかはっきりしないな。

ホームページ見よ。

ふむ、トップページに「『後楽温泉』ほのかの湯」と書いてある。

ということは入浴がメインの、「温泉施設」であるということだな、ここは。


というような考えを巡らせる施設なのかもしれない。


いいですかみなさん、うちはもちろん入浴がメインの温泉施設ですが、食事も散髪も整体もエステもできるんですよ。

色々できちゃって自分が何を目的にこの施設に入ったのかわかんなくなっちゃうでしょ？だから「ほのかの湯」なんですよ。


そういう施設なのかもしれない。




▽贅沢したい時にはいいですよ。ほのかの湯。

入湯料ちょっと高いけど。

やっぱり酒やたばこと同じく、贅沢にはお金がかかるんですな。

学生に750円はちと高い。

一時間働かなきゃならん。

そう、給料が入る月末の贅沢。