近況はこんな感情

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本を読み始めたい方に

2015年07月01日 01時13分36秒 | 枕電子計算機



▽『読んだら忘れない読書術』という本を読みました。

生家への帰り道、広島駅のカフェと一体化されてる本屋さん(向かって左が書店で右が喫茶店という風に分けられてはいたので一体化というのが正しいのかはわからないですが)に行った時に平積みされており、興味がわいたので購入。

わいたのは本の内容に対する興味とかいう高尚なものではなく、

この『読んだら忘れない読書術』を部屋のちょっと目につくところに置いておいておくと、

本好きの友人を宅に招いた折「これどうだった?」と聞かれ、

「・・・忘れた。」というぼけをかませるのではないかというような種類の興味です。

まず友人が興味を持つかどうかがわからない上にそういう質問をするかも定かでないのに加えてそもそも今お前のアパート人が呼べるほど片付いてないだろうという心の声はほとんど気にせずレジに持っていきました。

税抜1500円の出費でした。




▽忘れるためには一度頭の中に入れなければなりません。

実現の可能性のあるネタに手は抜かないのが信条です。




▽帯から察するに「読んでしまってもすぐ忘れてしまう」「時間がたつと覚えていない」人向け、

普段から読書はよくするけれども内容が頭に入ってこない人に読んでもらうべき本であるのだなと思っていたのですが

第一章が「そもそも読書がなぜいいのか、読書は利益につながるのか」というようなものをまとめたもので、

本書はどちらかというと本を普段読まない人への呼びかけの性の方が強いなという感じでした。

文中で語られる「本」というのもビジネス書や啓発本のようなものを指していることが多く、そういう本を読まないこともないですが(この本がそもそも啓発本の類ですし)小説が主な読書対象の自分には少し合わない。

目次で確認すると最終章は「電子書籍がおすすめです」がまとめてある様子。

紙の本至上主義な自分はよっぽどそこで本を閉じてしまおうかと思いました。




▽実際に閉じたんですよ。

しかしまだ税抜1500円の元を取っていない。

本を読んで何処か一か所でも収穫があれば元は取れるという考え方なので、もう少し我慢してみるか、読むのをやめるのはせめて本文を読んでからと自分に言い聞かせ第一章を読み始めました。

この考え方は中学か高校生のころ読んだ『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』という金原瑞人氏のエッセイの中で

「ある翻訳家さんは同言語の辞書を何種類もそろえているが、ほとんど開いたことのないものもある。

しかしその方は翻訳の時に一度でも「これだ!」と思う説明や用例を見つけたらそれだけでその辞書を買った甲斐があったと考えている。」

との言がもとになっているものと思われます。

ちなみに自分にとって「収穫」というのは

啓発本系なら参考にできそうな考え方や手段であり、小説であれば感動できるシーンや共感できる登場人物の存在が主なもの。

もちろん例外もありますが。

18の頃に出会った古川日出男氏の『LOVE』は部分部分ではよくわかんないけど全体としては・・・よくわかんない、わかったのは「多分氏は猫好き」ということだけ。というものでしたが、

いつかわかる日が来るのかもしれないという「自分の未来への期待」が収穫であったと思います。

よくわかんないながらもページを進めてしまう文章力も魅力の一つだったのかもしれません。

そろそろ読み返してみようかな。どこにあったかな。

部屋汚ねぇなー。



▽閑話休題。

ここからは僕の個人的な考えやこの本に対するネタバレも多く、読書前に読むと読む楽しみや衝撃を奪ってしまう恐れがあります。ご注意を。


わずかでもいいと収穫を求めて閉じた本を再び開いて第一章を読み進めました。

「私はyoutubeで専門チャンネルをほぼ毎日更新し、14万イイネ!がついているfacebookページの更新もし、メルマガを15万人に発信し、月に二、三度講演会で話し、精神科医としての仕事もこなしています。これだけ毎日圧倒的な情報をアウトプットできるのは、それ以上の圧倒的なインプットがあるからです。月に20~30冊の本を読んでいます。ちなみにいいことを教えてあげましょう・・・わたしのtwitterのフォロワーは13万です。」

再び本を閉じてしまいました。



▽ちょこちょこ入る自慢話が目につく。

本人にとっては自慢している気はないのかもしれないけれど。

なんかこう、平素から自信満々の人が苦手っていうのはこの本をなかなか読み進められない原因としてあったと思います。

内なる自信を持っててそれが表に出てきている人はいいんだけれど、全面に押し出してくる人には圧されてしまってあまりこちらから話しかけられないのです。

経験的感覚としてそういう人にはあまりこちらの意見を聞いてもらえそうにないから。



▽再々度本を開くための活力を得るためにとりあえず休憩。

本の奥付を読むことに。

「youtubeで専門チャンネルをほぼ毎日更新し、facebookページには14万イイネ!がついており、ネットに一番詳しい医者と評される異色の精神科医。著書に『メールの超プロが教えるGmail仕事術』(サンマーク出版)、『ツイッタ-の超プロが教えるFacebook仕事術』(サンマーク出版)がある。」

うーん、奥付にもその具体的数値情報を書くか。

著書もすごいな。「超プロ」って言葉好きだな。

苦手なタイプだ。

しかし彼のフォロワー数は伊達でないらしくこの『読んだら忘れない読書術』も発行部数は10万部を突破したとのこと。

2015年4月に初版発行なのに手元にあるものはもう7刷。

この著者の名はもはやネームバリューになっているのでしょうか。

僕の様にタイトルで買った人も多かったことでしょうが。




▽第一章では前述のように本(特にビジネス書・啓発本)の魅力について書かれていました。

本を読むことでお金・時間・健康・知識、幸せになるためのすべてのものがそろうとのこと。

読書が時間を生むことの例として以下のようなことが書いてありました。

「ある工場の作業員が毎日30分をかけて迷惑メールを削除していましたが、その行為は私が書いた『メールの超プロが教えるGmail仕事術』を読んでいれば1分もかからずにできます。年に182時間も時間を短縮させることができるのです。本にはこのように有益な情報がたくさん載っています。私の書いたこの本は、mail仕事術のバイブルとして広く読まれています。」

ここまでくるとちょっと笑ってしまいました。

自分の書いた本を「バイブル」とは、恐れ入った。



▽しかしこれまでも何度か感じていましたが、このような啓発本には一種の聖書的側面が見られるように思います。

「これこれのためにこれこれなさい」

「こうすれば必ず幸せをつかめる」

他のものを信じている人からすれば果たしてそうかなと思わなくもないことも、

信者にとっては絶対の正義たりうる。

ともすればその書が一番正しいものであるように、他のものは認めないとでも言うように。

それを読めば神が自らに似せて作った人間がこの世で一番偉いのだと信じて疑わなかったりする。


さもキリスト教が間違っているかのような口調に見えるかもですが別にそんな風に思っているわけではありません。

本書の中で「バイブル」という言葉が使われていたからキリスト教で例えただけです。

日本の仏教だって古来は政治のために使われ、他の信仰を追いやったという点では宗教としての他を認めない性質は共通していますし。


あ、いけない。

宗教の話に熱が入り始めてしまった。


政治と野球と宗教の話はネット素人が手を出す類の話ではないというのに。

あ、あときのことたけのこの話も触れてはいけないもののひとつか。



とにかくこの本にはたしかにそのような「聖書」チックな何かを感じました。

効率のいい読書がすべてと書いてあるように見えたり、

自分の読書スタイルが最高のものと言っているように見えたり、

忘れてしまう読書はいい読書ではないと決めつけてかかっているように見えたりしたわけです。



▽さて、この本の肝である第2章以降の「読書術」の方というと、正直に言ってありきたりというか当たり前のことというか・・・な事柄が多かったです。

邪推ですが、本の冒頭で筆者が述べたように、彼の発信する情報はほとんどが本から吸収したもので、それをまとめただけなのでは・・・という感じ。

買った時はもっと革新的な記憶術が見つかったものとばかり思いながら読み始めたので、その辺は期待外れ。

よく読書をする人ならば一度は聞いたことがあるというようなことが上手にまとめられてて復習にはいいよね!にとどまってしまいました。



▽このように書くとあまりいい本で無いように思われるかもしれませんが、

仮にネームバリューが多少あったにせよ10万部突破はこの本の凄さを語っていると思います。

amazonでも最高値が5の中で4.3となかなかの高評価。

文章自体はわかりやすく、(僕はあまり好きではありませんが)読みやすいですし、

第一章の読書への意欲付けは働く人に「忙しいけど時間を見つけて読書してみようかな」と思わせるに足るものだと思います。

普段本を読まないけれども読書を始めようかなと思っている人や企業戦士の方にお勧めです。



▽というわけでこの本は姉婿に寄贈しました。税抜1500円もするし。

2度読みたい本かと言われると自分にとってはそれほど素晴らしいことは書いてなかったし。

このブログを4000字近く書かせてくれたことと、本を送るついでに姉及び姉婿に手紙を書かせてくれたことで、もう収穫はあったことにしようと思います。

願わくばこのブログ記事が読書前に読まれて読む気を失わせませんように。



▽近々開催される読書会で紹介しようかなとも考えたのですが、もっと紹介したい本を読めたのでやめにしました。

出来ることならその日のための間に合わせでなくて心からおすすめできる本を紹介したいものです。




▽あ、最終章の電子書籍についての部分を書くのを忘れていました。

電子書籍はいいツールだと思います。

多読家にとっては本を2,3冊持って歩くのも大変ですしね。

筆者の方の様に使い分けができるのであれば使ってみてもいいかなと思いました。

すこし購入を検討中。

ただ僕は一日に2冊も3冊も読めないのと、

美少女に「その本面白そうだね、貸してくれる?」「ありがとう、おもしろかった。」と言われるのをずっと夢見続ける僕はその夢が叶わず壊れるまでは買わないことでしょう。

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