▽こいつが、
ここ三週間の「一時の相棒」でした。
バイクじゃないです。
手前の折りたたみ自転車です。
友人が教育実習に行っている間だけ、自転車を交換していました。
なぜそんなことになったのか、ここには一つのエピソードがあるのです。
▽ある10月14日の深夜、友人から連絡が入りました。
「中3の国語の教科書を貸してもらえませんか」と。
明日から友人は附属中学校での教育実習。
実習生にとって教科書がないのは大変です。
もっと大変なのはそれに気づいたのが前日だったということだと思わんこともないですが、
とにかく教科書がないことは大変なことなのです。
15日の午前1時過ぎに、友人は教科書をとりに来ました。
ちょっと話を交わし、教科書を持った友人を見送りに外へ出た時、この「一時の相棒」と出会ったのです。
小さなかわいいタイヤは、前輪がパンクしていました。
「パンクしてんじゃん。」
「おう。明日からの実習はこれで頑張って通うぜ。」
「えー。頑張るね。」
「じゃ、帰るわ。」
そういって友人はアパートの駐車場から、自転車の前輪をガツンガツンいわせて出ていこうとしました。
その姿に、声をかけずにはいられなかったのです。
「俺の使うか?」
僕の自転車で附属中学校まで普通にこいで大体30分くらい。
ただでさえ小さいタイヤな上に、パンクしたこいつでは、主人の満足のいくスピードは出せないでしょう。
そしてなにより自転車のタイヤ自体がダメになってしまうのがかわいそうで、僕はこいつを一時の相棒にすることに決めたのでした。
▽翌日、こいつのよくないとこは前輪のパンクだけではないことが判明しました。
大学近くの自転車屋の短髪でかっこいいオネエチャンに言われたのです。
「前輪ブレーキきつくない?さびてるよ。」
▽たしかにこいつのブレーキはきつかった。
固さがというより音が。
物理的にというより精神にくる感じ。
前輪に限らず、とにかくこいつのブレーキにふれると、けたたましい鳴き声があがるのです。
その鳴き声を例えるなら、楽しいことに遭遇したテンションMAXイケイケ女子高生が放つ、「ついに発狂したか。」と思うくらいの声。
▽僕は元来高い音が苦手です。
黒板爪キーとか、発泡スチロールのこすれる音とか、高すぎるボカロの歌声とか、顔には出しませんが内心たまったもんじゃありません。
しかし11月8日まではこいつが相棒。
なんとかうまく付き合っていく方法はないか。
そう考えた時、少し前に通っていた自動車教習所の教えが頭に浮かび上がりました。
▽「車を止めるときはまずはエンジンブレーキ、そしてフットブレーキ。完全に停止させるにはハンドブレーキを使います。」
そう、自転車も車。
前方の信号が赤になりそうな気配を感じたら、
1.ペダルをこぐのをやめ、自然の力に任せてスピードを落とす。(エンジンブレーキ)
2.止まりたい場所の2メートルくらい前で、地面に足でずざざざーってやる。(フットブレーキ)
3.それでも間に合わなさそうな場合にのみ、ブレーキを握る。(ハンドブレーキ)
完ぺきでした。
普通免許取っていてよかった。
そう実感した瞬間でした。
▽そんな感じでなんやかやうまく付き合ってきたこいつともお別れです。
想い出と久々のブログに書くネタをありがとう。
2500円のタイヤ交換代早めに払ってね。
正直すっげー前かがみにならないといけなかったからこぎづらかったよ。
様々なことばが頭に浮かびました。
▽そして昨日無事、元の相棒と復縁し、3週間ぶりのサイクリングを楽しみました。
やはり2年間のってきた自転車はいいですね。
▽久しぶりに会ったこいつにまたがったとき、最初にかけた言葉は
「うお、サドル低くね?」
でした。
チャリ大活躍、教科書一度も使わず(笑)
早めに、ってか来週学校で払うよ!
足短くて悪かったな!!!!!