ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

やはり最初の時点で制覇した規格は強い(親指シフトキーボードの終焉によせて)

2021-03-10 00:00:00 | PC・通信・IT関係

過日報道された記事を。

>親指シフトキーボード、ひっそりと前倒しで販売終了。40年の歴史に幕
大河原 克行2021年3月8日 06:50

 富士通の親指シフトキーボードの販売が、2021年1月末に、ひっそりと終了していた。

 富士通クライアントコンピューティングおよび富士通によると、親指シフトキーボード仕様の企業向けノートPCカスタムメイドオプション「LIFEBOOK親指シフトキーボードモデル FMCKBD09H」は2020年中に販売を終了。法人向け外付けオプションの「親指シフトキーボードFMV-KB613」(PS/2接続)および「親指シフトキーボード FMV-KB232」(USB接続)は、いずれも2020年12月末に販売を終了。個人向けは、直販サイトのWEBMARTでの取り扱いは、2021年1月末で終了していた。

 富士通では、「1980年5月の日本語ワードプロセッサ『OASYS100』の発表以来、親指シフトキーボードおよび日本語ワープロ・入力ソフト製品を提供してきたが、JIS配列キーボードがデファクトスタンダードとなり、親指シフトの機能優位性を十分に訴求できない状況が続いていた。これまで事業継続のため、業務効率化や商品の価格アップなどの施策を講じてきたが、このたびやむなく、親指シフト関連商品の販売・サポートの終了を決定した」としている。

2020年5月のリリースでは2020年3月以降の販売終了を告知していた
 同社では、2020年5月19日に、「親指シフトキーボードおよび関連商品の販売終了について」と題したリリースを発表。「LIFEBOOK親指シフトキーボードモデル FMCKBD09H」は、2021年3月に販売を終了し、外付けオプションの「親指シフトキーボード」は、2021年5月に販売を終了すると発表していた。

 だが、それを前倒しにして販売が終了した格好だ。

(後略)

私が学生だった時代、友人が「親指シフト」はいい、といっていました。彼の父親は富士通勤務だったというので(苦笑)、そういう関係で親指シフトをしたのかもですが、これをやっていたらほかは使えないといっていました。その後彼とは連絡を取っていないので、彼が親指シフトを今日にいたるまで使っているかは定かでありませんが、やはり使い続けるのは難しかったかもしれませんね。

親指シフトは、ある時期までは根強いファンがある程度の数いたようですが、さすがに最近はJISキーボードがますます主流になり、本家本元の富士通もこれの普及や売込みを断念していたようですから、事実上遅かれ早かれ全面撤退の日は時間の問題だったということでしょう。

そして親指シフトキーボードとは、富士通のワープロソフトであるOASYSと不可分でした。このOASYSというソフトもそう悪いものではなかったのですが、しかしワードプロセッサー専用機が時代の役目を終えて、ソフト自体も親指シフトキーボードの終焉と同じく個人向けと法人向けが2020年~21年にかけて販売終了、26年までにすべてのサポートが終了するとのこと。

一太郎とかロータス1-2-3なんてのも、けっきょくMicrosoft Officeにまるっきりかなわなくなり今日に至っています。ロータスなんかはとっくの昔に製造中止です。

そう考えると、QWERTY配列のキーボードというのも、確立した規格の強さというものでしょうね。いろいろ競合するキーボード配列がありましたが、1893年に「タイプライター・トラスト」という寡占行為が発生、QWERTY式に配列が統一されて、この配列が市場を制覇したわけです。それがとっくに130年近く経過した現代でも通用し、さらには本来的にはローマ字(ラテン文字)でない文字を使用する言語でも、

>アルファベット入力用としてQWERTYを用いつつ、母語の構造に適応する配列を上乗せして、切り替えながら使用する例がある。日本語、韓国語、中国語などの例がそれに当たる。

ということになったわけです。そして現在日本人がキーボードで文字を打つ際、かな入力とローマ字入力では後者のほうが圧倒的に優勢です。2015年の調査ですが、こちらによると、だいたい93%以上がローマ字入力、かな入力は5%をわずかに超えるくらいだとか。私も(当然?)ローマ字入力です。かな入力のほうがスピードは速いという話もありますし、あるいはそうなのかもですが、今後もローマ字入力のほうが主流であり続けるのでしょう。一応お断りしておきますと、これはスマートフォンの入力の際の話ではありません。なお同じ記事で紹介されている1990年のアンケートによると、親指シフトの利用者が15.1%、かなが55.1%。ローマ字が30.9%だったとのこと。2015年の親指シフト利用者は、1.2%だそうです。

そういうわけでWikipediaの「かな入力」では、

>こうした利用者数の大幅な減少から、近年の各電子機器メーカー・OSメーカーのJISかな配列への対応は冷ややかであり、例えばQWERTY配列がどの機器でも共通して利用できるのに比べ、2010年代以降に普及したソフトウェアキーボードでは同じ「かな入力」でもキー配列が機器によって異なるなど、JISかな配列の習得者に手厚いサポートが行われているとは言い難い状況となっている。

2020年現在においても日本国内ではハードウェアキーボードに対するJISかな配列の「かな刻印」が継続されているが、マジョリティとなったローマ字入力の利用者を中心に「かな刻印」を取り除いたキーボードを要望する声も多い

とあるくらいです。けっきょくこれも、QWERTY配列の強さというのがこの結果を表しているのかなと思います。まさに最初の時点で規格を制覇したところは強いというものです。

そうこう考えると、親指シフトキーボードというのは、まさに終わるべくして終わった、主流になれっこないことの再認識ということだったのでしょうね。日本語入力において必ずしも合理的ではないのかもですが、ローマ字入力は100%に近くなっていくのでしょう。上のイラストは、親指シフトキーボードの図です。


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