先日の記事を。
>三春町ひき逃げ殺人事件 被告「社会で生活する自信なかった」
06月08日 18時37分
去年5月、三春町の国道で、男女2人をわざとトラックではねて殺害した罪に問われている51歳の男の裁判員裁判で、被告の男は、再び刑務所に入るため事件を起こそうとした動機について、「社会で生活していく自信がなかったから」と述べました。
住所不定・無職の盛藤吉高被告(51)は、去年5月31日、三春町の国道で盗んだトラックを無免許で運転し、ボランティアで清掃活動をしていた男女2人をわざとはねて殺害したとして、殺人やひき逃げなどの罪に問われています。
2日目の8日は被告人質問が行われ、検察官が「きのうの初公判で積極的に殺害するつもりはなかったと述べたが、捜査段階で録音録画が行われている中、『殺すつもりで加速させた。確実に死ぬと思った』と供述したことは覚えているか」と尋ねると、盛藤被告は「言ったかもしれませんが、殺害したかったから加速させたわけではありません」などと述べました。
さらに、検察官が「刑務所に戻りたかったのはなぜか」と尋ねると、「社会で生活していく自信がなかった。刑務所では衣食住が保証されているから」と述べました。
また、弁護士が「今でも刑務所に長くいたいと思っているか」と尋ねると、盛藤被告は「今はなるべく早く刑務所を出たいと思っています」と答えましたが、その後検察官から、「2人を殺害した罪に対し、短い刑でいいと思っているのか」と問われると、「だめだと思います」と述べました。
9日は、裁判官と裁判員からの被告人質問が行われます。
それでその続き。
>トラック運転の男に死刑求刑 2人死亡のひき逃げ―福島地裁支部
2021年06月11日13時15分
福島県三春町で清掃ボランティア活動中だった男女2人がトラックではねられ死亡したひき逃げ事件で、殺人などの罪に問われた住所不定、無職盛藤吉高被告(51)の裁判員裁判の論告求刑公判が11日、福島地裁郡山支部(小野寺健太裁判長)であり、検察側は死刑を求刑した。判決は24日に言い渡される。
積極的殺意を否定 2人殺害ひき逃げで初公判―福島地裁支部
論告で検察側は、殺害までの意思決定や経緯は極めて悪質であり「殺害意欲に基づく犯行であることは明らか」と指摘。「2人の命を奪った重大性や自らの責任の重さを理解しているとは思えない。罪責は誠に重大で、死刑はやむを得ない」と非難した。
弁護側は最終弁論で、殺人罪の成立は争わないとする一方、確実に殺そうという気持ちはなかったとして無期懲役が妥当と訴えた。
盛藤被告は最終意見陳述で「取り返しのつかない許されないことをしてしまった。本当に申し訳ない」と述べた。
起訴状などによると、盛藤被告は2020年5月31日朝、同県郡山市内で盗んだトラックを無免許で運転し、三春町の国道で路肩を歩いていた橋本茂さん=当時(55)=と三瓶美保さん=同(52)=を故意にはねて殺害し、そのまま逃走したとされる。
この事件が死刑になるかどうかはともかく(私は死刑反対論者なので、積極的に死刑にしろとは言いませんが)、まあこういう人物は本当に始末に負えないですね。だいたい
>再び刑務所に入るため事件を起こそうとした
ってねえ(呆れ)。世の中刑務所の方が気が楽だというので刑務所に出入りしている人間もいるようですが、そういう人間はたいていは、無銭飲食やタクシー代踏み倒し(ご丁寧に警察署に行ってくれと頼む人もいます)のような詐欺罪、あるいは万引きとかの軽微な罪をするわけで、なにも2人もこんな通り魔的な殺人などすることはない。だいたいこの人物は、トラックを盗難しているのだから、そのまま警察署にいってトラックを盗みましたと自首すれば、すぐ逮捕してくれます。そうすればたぶん裁判にもかけられて、実刑になる。そんなことも頭に回らないような馬鹿でクズなんでしょうね。それにしてたって
>社会で生活していく自信がなかった。刑務所では衣食住が保証されているから
というのもひどいですよねえ(さらに呆れ)。いや、そういう人間は、私たちが考える以上に世の中に少なくないのかもですが、そんなことのために死刑を求刑されるような重大かつ悪質な事件をすることはないじゃないですか。
そうこう考えるとこれまたいつもの話にありますが、たぶんこの人物はかなり強い発達障害のたぐいがあるんでしょうね。おそらく知的障害もあるのではないか。いや、発達障害や知的障害があるとしたって、こんなひどいことをする人物はめったにいるわけがありませんが、それにしてもたぶんこの犯行は、この人物の精神のあり方と何らかの関係があるのでしょう。この事件についてのネットを検索していて、「週刊新潮」の記事が目にとまりました。これを読んでいてさらに「どうもなあ」の気分になりました。一部引用します。
> 盛藤容疑者は、5月29日に出所したばかりだった。そのまま郡山市の知人宅に滞在し、知人の経営する会社で働くはずだった。しかし、31日朝に知人のトラックを盗んだ。およそ5キロ離れた現場に向かい、国道を歩く2人を発見する。いったんは通り過ぎ、Uターンして2人を襲ったのだ。
これ読んだとき私正直絶句しました。
>知人の経営する会社で働くはずだった。しかし、31日朝に知人のトラックを盗んだ。
てめえどれだけ他人に迷惑をかければ気が済むんだよ!!!
>「刑務所に入っていたというのもニュースで知ったほどだから、その辺はよく分からないけどね。でも、以前、会った時は、『塗装の仕事をしている』って言うから、しっかりやれよってハッパかけといたんだよ。カッとなるところがあるのかなあ。昔は結婚もしていたんだけど、女房が出て行っちゃってね。彼女の友人に居場所を聞き出そうとして、車に連れ込んだら警察に通報されて、監禁で逮捕されたこともあった」(同・近隣住民)
別の住民も言う。
「パチンコ屋で球が出ないからと暴れて、警察の厄介になったと聞いたことがある。ただ、あくまで噂だよ」
近隣住民の話がどれくらい正しいのかはわかりませんが、多分ですが当たらずといえども遠からずくらいのところなのかもですね。めったなことはいいませんが。
だいたい前科者は、そもそもそう容易に職などにつけないわけで、この人物は年齢も50歳なわけで、立場としてはきわめて恵まれていると考えられます。いや、その知人の会社というのがすごいブラック企業だったんですかね? そのあたり不明ですが、仮にそうであっても殺人なんかをすることはない(当たり前)。
そしてこの記事は、次のように締めくくられています。
> さて、殺人罪で起訴された盛藤容疑者には、どんな判決が下されるのだろうか。元検事で東京地検特捜部副部長も務めた若狭勝弁護士に聞いた。
「出所2日後の犯罪なら、累犯前科で刑は加重されます。殺人事件であることも明らかで、情状酌量の余地もありません。ただ、2人殺せば死刑などとよく言われますが、強盗目的だったり、チェーンソーで首を切るとか、犯行対応が残忍なものでないと死刑にならないケースが多い。今回の事件の場合、個人的には死刑にしていいと思いますが、実際は無期か懲役30年といったところではないでしょうか。検察としては、残忍性は無論、無差別殺人であることを強調しないと死刑の求刑も難しいかもしれません。死刑の求刑ができれば、1審は裁判員裁判ですから、裁判員の方も納得するでしょうし、何より懲役刑では容疑者の希望通りになってしまいますからね。1審で死刑の判決が下される可能性は高い。しかし、高裁ではひっくり返されると思います」
私も個人的にはこの犯人は、死刑判決にはならないのではないかと思いますが、それはともかく。死刑は求刑されたし、弁護側も無期懲役を訴えているので、多分判決は、軽くて無期懲役だと思われます。無期懲役求刑の無期懲役判決と、死刑求刑の無期懲役判決では、後者のほうが仮釈放ほか厳しい処遇となります。多分ですが、50歳という年齢からしても、この人物は無期懲役判決であっても仮釈放はなかなか認められないと思いますね。それはご当人の不徳のいたすところで仕方ありませんが、どうもこの人物は、事件をするときには、そんなことをほとんど認識していなかったようですね。もっとも死刑事件の犯人なんてのは、公安事件のようにそれなりの覚悟のある犯罪でなければ、たいていは犯行中に自分の行く末なんか考えないものですが。
それにしてもこういう人物って、どう対処すればいいんですかね。報道されているところでは、すくなくともこの人物は、今月犯行20年というのでいろいろ報道されている附属池田小事件の犯人のような異常な人間ではないようだし、前科者としてもそんなに凶悪犯というものではない。たぶんですが、この人物を雇用するつもりだった知人の人も、この人物をそんなにひどい悪人だとは考えていなかったはずであり(そう考えていたら、さすがに雇おうとは思わないでしょう)、誰もがここまでひどい犯罪をするような人物だとは考えていなかったはずです。いや、ご当人も、自分がこんなことをするなんてことは、考えていなかったんじゃないんですかね。よくわかりませんが。
さすがに世の中ここまでひどいことをする人間というのは、そう多くはありませんよ。しかし誰がいつそうなるかというのは予想がつきませんからね。そうなったら「運が悪い」ということになるのでしょうね。通り魔に襲われたら自分の運の悪さを呪うしかありません。被害者に落ち度がないのだからしょうがない。アフリカなどを旅行する際は、米英の大使館には近づくなというのは旅行者の鉄則ですが、東京の地下鉄に乗っていてサリンを撒かれたり、パリの劇場でテロリストに襲われたり、犯罪ではありませんが、飛行機が墜落したりしたって、こっちが悪いわけじゃないのだからしょうがない。運が悪いとしても、それはこちらに何らかの責任があるわけではない。あとは死んだり後遺症があったりしないことを願ったり、弾丸が当たらないことを願ったり、奇跡的に助かることを期待するしかないわけです。そう考えると、せめて不幸や悪運が私たちに直撃しないことを祈るばかりです。
お亡くなりになったお二人のご冥福を祈ってこの記事を終えます。
犯行動機があまりにも酷いので死刑を求める気持ちは分からないでもないですが、福島民友がこうした報道をするのはいかがな物か。
ですよねえ。地元のメディアだから厳しいことを言いたくなるのはそうかもですが、メディアというのは、そんなにあからさまに遺族・家族・周囲の人間の厳罰支持をあからさまに報道していいというものでもないでしょう。
◆福島民友新聞『死刑破棄「おかしい」 三春ひき逃げ殺人、無期懲役確定へ 最高裁が検察側の上告棄却』
福島県三春町で2020年、面識のない男女2人をトラックではねて殺害したとして、殺人や道交法違反(ひき逃げ)などの罪に問われた本籍伊達市、住所不定、無職盛藤吉高被告(54)の上告審で、最高裁第1小法廷は死刑を求刑していた検察側の上告を棄却する決定をした。5月27日付。
裁判員裁判で審理された一審の地裁郡山支部の死刑判決を破棄し、無期懲役とした二審仙台高裁判決が確定する。5人の裁判官全員一致の結論。
判決によると、被告は2020年5月31日朝、郡山市でトラックを盗み無免許で運転。三春町の国道脇で清掃活動をしていた同町の橋本茂さん=当時(55)=と三瓶美保さん=同(52)=を時速60~70キロではねて殺害し、救護せずに逃げた。
◆奉仕仲間、無念訴え
三春町で2020年、男が清掃作業中の男女2人をトラックではねて殺害した事件は無期懲役の判決が確定する見通しとなった。命を奪われた2人と共に「桜川をきれいにする会」で活動していた会長の影山初吉さん(76)は29日、福島民友新聞社の取材に「刑務所に戻りたいという目的で2人が犠牲になった。こんなひどいことをして(ボーガス注:1審の死刑では無く)無期懲役なのはおかしい」と無念さを訴えた。
事件は2020年5月31日朝、同会が同町を流れる桜川沿いの道路で清掃作業をしている最中に発生した。道路周辺のごみ拾いを終え、集合場所に戻る途中で橋本茂さん=当時(55)=と三瓶美保さん=同(52)=はトラックにはねられた。同会メンバーは事件後、2人の命を奪った被告の厳罰を求めて署名活動を展開してきた。一審の死刑判決が破棄され、無期懲役とした二審判決が確定することに、裁判を傍聴してきた影山さんは「一審の裁判員裁判で時間をかけて死刑という判決を出したのに納得がいかない」と語気を強めた。
5月29日は命日に花が手向けられるようにと、影山さんは事件現場付近の草刈りをしたほか、近くに住む80代男性が竹の献花台を設ける姿が見られた。車がぶつかった衝撃でガードレールは曲がったままになっており、事件の悲惨さを物語っている。影山さんは「何を言っても2人は戻ってこない。残念だ」と憤った。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20240529/6050026329.html
◆NHK『福島三春町2人殺害ひき逃げの罪 被告の無期懲役が確定へ』
福島県三春町で男女2人をトラックでわざとはねて殺害した罪に問われ、1審で死刑、2審で無期懲役となった被告について、最高裁判所は29日までに検察の上告を退ける決定をし、無期懲役の判決が確定することになりました。
盛藤吉高被告(54)は、4年前の5月、三春町の国道で盗んだトラックを無免許で運転し、清掃ボランティアをしていた55歳の男性と52歳の女性をわざとはねて殺害したとして、殺人やひき逃げなどの罪に問われました。
1審の福島地方裁判所郡山支部は「残虐な行為を選択し、強固な意志に基づいて実行された」として死刑を言い渡したのに対し、2審の仙台高等裁判所は「殺害の意欲までは認められない」などとして無期懲役を言い渡し、検察が上告していました。
これについて最高裁判所第1小法廷の堺徹裁判長は、「被害者2人に対する殺人を含む事件で刑事責任は誠に重い」と指摘しました。
その一方、「綿密な計画で殺害を確実に遂げようとした犯行とはいえず、生命への軽視が甚だしく顕著だったとまではいえない。死刑を選択することが真にやむをえないとまでは言い難い」などとして、29日までに上告を退ける決定をし、無期懲役の判決が確定することになりました。
(引用終わり)
一応紹介しておきます。
犯行動機があまりにも酷いので死刑を求める気持ちは分からないでもないですが、福島民友がこうした報道をするのはいかがな物か。
福島民友に比べればNHKは冷静かと思います。
>これはもう、国民から薄く保険のように徴収して分け与えるといったことも考慮せざるを得ないと思います。
ただし、消費税のように低所得層からも徴収するような負担増には私は反対の立場ですね。自動車賠償責任保険の賦課金が導入される予定とのことですが、これは事実上の大衆増税でしょう。どうしても徴収が必要だと言うのなら、大企業や富裕層への累進課税強化で行う必要があると思いますね。
https://www.sankei.com/article/20230113-HTDXHZDLXFOOLLDSTEDJPESIRM/
3年前、福島県三春町の国道で盗んだトラックを無免許で運転しボランティアで清掃活動をしていた男女2人をわざとトラックではねて殺害した罪に問われ1審で死刑を言い渡された被告に対し、2審の仙台高等裁判所は、死刑判決を取り消して無期懲役を言い渡しました。
まーた「裁判員判決を尊重しろ」と検察や産経、例のウヨ弁護士「高橋某」が言い出すのかと思うとげんなりします。
お断りするまでもありませんが、私の前のコメントは、
減刑→×
厳刑→〇
です。nordhausenさんと読者の皆様に、訂正します。
では本題を。やはりそうですか。私も、犯人に非常に厳しい態度をとっている名古屋の闇サイトの母親もふくめて、そういう人を知りません。つまりはそんな人間はいないということでしょう。
>むしろ犯罪被害者およびその家族への政府や自治体による公的支援の強化を訴えた方が重要だと思います。
犯人他から慰謝料ほかを取り立てるのは現実的ではありませんからね。これはもう、国民から薄く保険のように徴収して分け与えるといったことも考慮せざるを得ないと思います。山手線を値上げして、バリアフリーを充実させるようなものでしょう。
私もそういう遺族を見たことはありませんね。遺族が極刑や公訴時効撤廃を訴えるのは仕方のないことでしょうが、むしろ犯罪被害者およびその家族への政府や自治体による公的支援の強化を訴えた方が重要だと思います。
https://www.sankei.com/article/20220411-MDGCKXDCJZO2HBZBJWTMT3N3EA/
https://www.sankei.com/article/20220412-AFZH62K2LFPXXERUJA356PSZUI/
検察が控訴しなかったのは、おそらく「刑が特別軽いとは言えない」と判断したからでしょう。実際、元横浜地検交通部長の鈴木敏彦弁護士も「確定した懲役14年判決はかなり重い」と発言していますからね。それにしても、この事件の裁判を傍聴した東名高速道路の飲酒運転追突死亡事件(1999年)の遺族の
>被害児童の家族としては、求刑通りに懲役15年の判決が出ていたとしても軽い判決だと感じると思う
>求刑通りの上限刑の判決だったら納得できたかもしれないが、1年短い判決は、裁判所が懲役14年が妥当だと判断したということ。その差はとても大きい
という厳罰論をマスコミが垂れ流すのは正直どうかと思いますね。では殺人罪並みの量刑にして死刑、無期懲役あるいは懲役25年前後の判決だったらそれで満足できたのか、というところですよね。
https://www.sankei.com/article/20220325-7K5NVVHGHZO33CSDIEPNWBVQBE/
https://www.sankei.com/article/20220325-UYPLOXERFFNXJPM5BSXWQBZWAE/
客観的に見ればこの判決は特別軽いというわけではありませんが、毎回ながらマスコミが遺族の
>裁判に参加し、被告の言い分を聞いても刑を軽くするまでの理由など何も見当たりませんでした。なぜ15年を下回る判決になってしまったのか理解できませんし、受け入れることはできません。ただ残念という思いしかありません
>運転することが分かっているのに酒を飲んだことは故意的な殺人としか思えない
という感情論を無批判に垂れ流すのは自重して欲しいものですね。葛飾区の事件もそうですが、確かにこの事件も悪質運転によって引き起こされた惨劇であることは事実でしょう。遺族が「殺人罪を適用して死刑か無期懲役刑にして欲しかった」と訴えるのは理解できなくもありませんが。
なお、この事件の裁判では1999年に東名高速道路で飲酒運転のトラックに追突されて2人の娘を亡くした遺族も公判を傍聴していますが、この遺族の
>裁判所はどうして加害者に優しいのかと残念に思う
という発言も「どうもなあ」と思いますね。この事件の被害者家族の味方をしたい気持ちは理解できますが、別に裁判官は加害者に優しいというわけでもなく、加害者の味方というわけでもありませんからね。ただ客観的に事件概要を見て判決を出しているだけですからね。どういう了見で、産経の記者はこういう記事を書くのかと言いたくなります。とは言え、
>近年、厳罰化が進んできた飲酒運転による事故だが、中央大学法科大学院の井田良教授(刑法)は「これ以上の厳罰化は困難」と指摘する。井田教授によると、日本の危険運転致死傷罪の法定刑は、諸外国と比較しても特に重いという。同罪は、特に危険な運転を故意に行った結果、人を死亡または負傷させた場合に、傷害罪(上限刑懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう、制定された経緯があるからだという。
という記事もあるのはなかなか興味深いものがありますね。結局のところ、これ以上の厳罰を求めたければ殺人罪を適用するしかないのでしょう。
この事件も、今後検察および被告が控訴、上告する可能性はありますね。それに、葛飾区の事件やこの事件の量刑について高橋正人弁護士あたりがどのように考えているのか気になるところですね。
https://www.sankei.com/article/20220322-NK76FBV5UFMPBI3Y46W66XXFUY/
>危険運転致死傷罪の法定刑の上限となる懲役20年を求めたが、検察官の求刑は同7年6月で、言い渡された判決は同6年6月だった。「過去の量刑相場ばかり参考にしていては、事件の実態に合ったものが生まれない」と、もどかしさを口にした。
いつものことですが、遺族が判決内容に不服を唱えるのは仕方ないとして、それをマスコミが無批判に垂れ流すのはあまりよろしくないと思いますね。そもそも「過去の量刑相場ばかり参考にしては、事件の実態に合ったものが生まれない」という理屈なら、危険運転致死罪や傷害致死罪などで起訴された事件も求刑よりも遙かに重い刑罰にしても別に問題ないということになるし、被害者1人の殺人事件も求刑や過去の量刑相場に関係なく死刑判決にしても別に問題ないということになってしまいますが。いずれにしても、検察および被告が今後控訴、上告する可能性はありますね。
>被告から自発的な謝罪はなく、絶対に許すことはできない
前そんな記事を書きましたが、やはり交通事故をした際は、誤りに入った方がいいようですね。人身事故なら気が引けるし、嫌なのは当然ですが、罵倒をされて「来るな!」といわれても、やはり行ったということをしたほうが、あとあと得をします。
懸念されることが、公人が「侮辱された」と言い出した時の萎縮効果なのですが、それが理解されていないのが頭痛の種です。
他にも行為と罰則とのバランスが妥当かどうかもですが。
特にフワちゃんが「反対派ガー」とギャースカ言っているのを聞いて「誰か諌めろ」と思った次第です。
https://mainichi.jp/articles/20220314/k00/00m/040/086000c
https://mainichi.jp/articles/20220314/k00/00m/040/114000c
https://mainichi.jp/articles/20220314/k00/00m/040/146000c
なお、この事件では少女の父親も重傷を負っており今なお歯の痛みや歩行障害が残っているとのことです。それにしても、ご両親が
>何の落ち度もないのに赤信号の無視で娘は殺され、私は大けがを負った。被告から自発的な謝罪はなく、絶対に許すことはできない
>無差別殺人と何ら変わりないと思っています
と訴える気持ちは理解できなくもありませんが、「殺された」だの「無差別殺人」だの言ったりお涙頂戴で訴えたりするのは「どうもなあ」としか言えませんね。確かに、この事件は赤信号無視で父娘を死傷させた危険運転致死傷事件ではありますが、秋葉原通り魔事件などのように故意に引き起こした訳ではありませんからね。恐らく、本心ではご遺族は「殺人罪を適用して死刑か無期懲役にしろ」と訴えたいのでしょう。こういう遺族の感情論に押されて、罪名を危険運転致死傷罪から殺人および殺人未遂罪へ変更して極刑になった事例は過去にあるのでしょうか(この事件では、検察は懲役7年6ヵ月を求刑していますが、ご遺族は過去の判例や量刑相場に関係なく最高刑の懲役20年にするよう訴えています。果たして求刑よりも遙かに重い刑罰に処せられた事例も過去にあるのでしょうか)。まあ、ご遺族がこのような無茶苦茶な主張をするのは仕方のないことだと思いますが、こういう厳罰論や感情論、報復論を無批判に垂れ流すマスコミの報道体質の方が余程問題でしょう。
https://mainichi.jp/articles/20210917/k00/00m/040/015000c
死刑相当事件ではありませんが、ここに載せておきます。ただ、本人は容疑を否認しているそうですが。
何せ「現時点では」警察がまともに記者会見せず、秘密主義で、出てくる情報は怪しいリーク情報ですからねえ。遺族もマスコミに対して「警察から詳しい説明を受けてないので何とも言えない」といってるようですし。
「怪しいリーク情報がデマだった」松本サリンでの「第一発見者・河野氏」犯人扱い報道の反省はないのかとあきれます。
それにしても、事件発生から11年経過して、よく容疑者逮捕にこぎつけましたね。まあ、冤罪の可能性も無きにしも非ずですが、もしこの人物が犯人だと仮定して、今後起訴されて裁判になった場合、どのような量刑になるのか気になるところですね。
>池袋の暴走運転死傷事件
マスコミが遺族の見方になるのは仕方ないでしょうが、あんまり被告人を罵倒してはいけませんね。仰せの通りあくまで「過失」の事件ですから。
サガテレビ「お金持っとらんばってん、食いたか」クッキー1個盗み男逮捕
22日の深夜、佐賀市内のコンビニエンスストアで、148円相当のクッキーを万引きしたとして65歳の男が現行犯逮捕されました。
現行犯逮捕されたのは、自称・住所不定無職の男(65)です。
男は22日午後11時ごろ、佐賀市内のコンビニエンスストアでクッキー1個148円相当を万引きしたとして窃盗の疑いで現行犯逮捕されました。警察によりますと、男はクッキーを手に取り、「お金持っとらんばってん、食いたか」と、男性店員に言いながら店の外に出ようとしたということです。
男性店員が「やめてください。待ってください」と止めたにもかかわらず、男はそれを無視して店の外に出たため、追いかけた男性店員に取り押さえられました。所持金はなかったということです。
警察の取り調べに対し男は、「金を持っていなかったが、お腹が減って我慢できなかったので、菓子を万引きした」と容疑を認めているということです。
(引用終わり)
まあ「刑務所に行きたいだけ」なら普通こうなりますよね。殺人なんかしない。
しかし
1)(そんなことを言う必要はどこにもないのに)「お金持っとらんばってん、食いたか」と、男性店員に言いながら店の外に出ようとした
2)走って逃げたりせずすぐに取り押さえられた
というのは明らかに「逮捕されることが目的」なんでしょうねえ。
しかし、こんな微罪(クッキー1個150円程度の万引き:報道を見る限り店員への暴行傷害や警官への公務執行妨害はなさそう)をわざわざ公共の電波で報じる必要があるのか?
死刑判決になったのは、この事件が相当悪質極まりないと判断されたのでしょうね。ただ、今後被告が控訴する可能性はありますが。
>被害者に落ち度がないのだからしょうがない
池袋の暴走運転死傷事件も、まさにそれですよね。ただ、この事件の場合、三春町の事件や秋葉原通り魔事件などのように故意に起こしたり、飲酒などの悪質運転によって起こしたものではありませんから、加害者を重罰に処するのもどうなのかとは感じますが。なのに、この事件の裁判では、マスコミが被告の反省しない場面ばかり映して、遺族の無茶苦茶な感情論、厳罰論を無批判に垂れ流している有様ですからね。まるで被告が「2人を殺しておきながら、反省を一切しようとしない凶悪殺人犯」の如く扱われています。確かに、遺族が被告に対して怒りを覚える気持ちは理解できなくもありませんけどね。