「方陣」という言葉をご存知ですか? 算数に登場する方陣として有名なのは「魔方陣」でしょう。魔方陣とは、数字を縦と横に同じ数だけ並べて、横・縦・斜めの和がすべて等しくなるようにした問題をいいます。中学受験算数でも魔方陣を時々見かけます。
しかし、それよりも出題頻度が高いのは「方陣算」です。方陣算は、正方形の形に並べた碁石の数を数える問題です。今回は、この方陣算について解説します。
中実方陣と中空方陣の考え方を理解しよう
方陣算には、碁石が中までぎっしりつまった中実方陣と、中の碁石が取り除かれている中空方陣の2種類があります。
それぞれの方陣算について、どのように考えればいいのでしょうか?
中実方陣のすべての碁石の数は平方数になる
碁石が中までぎっしりつまった中実方陣では、(縦の碁石の数)×(横の碁石の数)=(すべての碁石の数)になります。ここで(縦の碁石の数)=(横の碁石の数)なので、(すべての碁石の数)は1、4、9、16、…という平方数になります。このことをふまえて、次の問題を解いてみましょう。
下の図は、あるきまりに従って碁石を並べたものです。10番目に並んでいる碁石の数は全部で何個ですか。
「あるきまり」がどのようなものかを考えます。1番目に並んでいる碁石は全部で4個です。同じように、2番目は9個、3番目は16個です。このことから、n番目に並んでいる碁石の数は全部で(n+1)×(n+1)で表されることがわかります。したがって、10番目に並んでいる碁石の数は全部で11×11=121(個)です。
すべての碁石の数を数えるだけなら簡単でした。一方、周りに並んでいる碁石の数を数える場合、中空方陣になるので、少しだけ難しくなります。中空方陣については、次で解説します。
中空方陣では4つの角に位置する碁石に注意する
中の碁石が取り除かれている中空方陣では、正方形の4つの角に位置する碁石をどうするかがポイントです。次の2つの考え方があります。
4つの角に位置する碁石の数も数える方法(上図:左)では、5×4=20(個)を求めた後、4つの角に位置する碁石4個を引きます。したがって、20-4=16(個)となります。
一方、4つの角に位置する碁石の数を数えない方法(上図:右)では、初めから角に位置する碁石を外して計算します。したがって、4×4=16(個)です。
どちらの考え方を使っても同じ答えになりますので、好きな方で計算するといいでしょう。
下の図は、あるきまりに従って碁石を並べたものです。一番外側のひとまわりに60個の碁石が並んでいるのは何番目ですか。
4つの角に位置する碁石の数も数える方法で考えます。n番目の正方形の一辺に並んでいる碁石の数を□とすると、n+1=□です。□×4-4=60なので□=16です。したがって、n+1=16となってn=15(番目)が答えです。4つの角に位置する碁石の数を数えない方法でも同じ答えになることも確かめてみてください。
黒い碁石と白い碁石を並べる方陣算の問題を解いてみよう
方陣算の中には、黒い碁石と白い碁石を規則的に並べていく問題もあります。次の問題を考えてみましょう。
下の図は、あるきまりに従って碁石を並べたものです。このとき、11番目には、黒い碁石と白い碁石がそれぞれ何個ずつありますか。
白い碁石が1番目、3番目、5番目、…と奇数番目で増えていくので、まずは白い碁石の個数を求めることにします。白い碁石の個数を書き出してみます。
・1番目…3(個)
・3番目…3+7(個)
・5番目…3+7+11(個)
・7番目…3+7+11+15(個)
・9番目…3+7+11+15+19(個)
・11番目…3+7+11+15+19+23(個)
これより、11番目の白い碁石の数は、3+7+11+15+19+23=78(個)です。実際に書き出してみると規則性(一番外側の白い碁石の個数は、4ずつ増える等差数列になっている)がわかって、簡単に個数を求められます。
一方、黒い碁石の個数は、(すべての碁石の個数)-(白い碁石の個数)で求めます。11番目のすべての碁石の個数は12×12=144(個)なので、11番目の白い碁石の個数は144-78=66(個)です。
方陣算では、まずは数字を書き出してみて、そこから規則性を考えましょう。碁石の数が等差数列になっていることが多いので、問題によっては等差数列の公式も使えます。
碁石を三角形や五角形などの形に並べる問題もある
方陣算の類問には、碁石を三角形や五角形などの形に並べる問題もあります。どのような形になっても考え方は同じだということを理解できると、
方陣算がさらに楽しくなるでしょう。