平成26年12月10日より、特定秘密保護法が施行されました。
既に法案が可決され、その施行日を待っていましたが、我々の生活で何がその恩恵を受けることになるのでしょうか。
これらの流れを正当化し、「安全のシステム」とするため、実は各自治体においては、既に住民基本台帳の管理はICチップで管理されています。
良い意味では、誰でもその恩恵に預かることが出来るということです。
ただし、このICカードの規格については、国内で一般的に普及しているものとは異なります。
過去に私のブログで紹介していますが、どちらかの「国」で普及しているものを意図的に取り込みました。
どちらかの「国」が国民に管理番号を付与しているのに「準ずる管理方式」のためでしょうね。
違う性質のカードでは「互換性がない」ので何かと不便ですから。
これらも含めて国民に広く知られないような「もの」が、「特定の秘密」になるのでしょうか。
私は、なんでも知らせることは「正しい」ことだと思います。
しかしながら、誰でも広くその分野を知っている訳ではありません。
よって、国民に対してなんでも整理せず、その情報だけを「直ちに」知らせることには些か疑問がありました。
但し、国民のために必要な範囲は別として考えています。
①国民の生活に直接影響があるもの。
②国民の生命にかかわるもの。
③国民の不利益にかかわるもの。
④国土に関すること。
これらは「直ちに」知らせるべきであると考えます。
何かを伝えるとパニックになるという理由から、直ちに知らせないということは、「大を取って小を捨てる」ということです。
戦時中じゃないのですから、国民の代表として政権を握っている、それ以下の人も含めて、必要なことは知らせるべきと考えます。
「有事即応」、「事態対処」のために税金を使って、国土強靭化計画を推し進めていたのではなかったのかと考えます。
また、クライシスレスポンスとは何だったのかと残念に思います。
知られないことは、長期政権の継続に役に立ちそうなのは明白なのですが、国民にとっては全く関係のないことです。
私なりに今一度、この特定秘密保護法について検証してみました。
これはその類の説明をしているものから「抜粋」して、アレンジしたものになりますから、最終的にはご自身で確認して頂きたいと思います。
1 特定秘密保護法「特定秘密の保護に関する法律」とは何か
よくある説明では、日本の「安全保障に関する重要情報」を「特定秘密に指定」することが出来るようになったこと。
また、これを政府主導で行うということになります。
監査機関は別途あるようですが、不透明な感じがします。
監査機関を誰が監査するのかという疑問が残ります。
2 この法律が施行される以前のペナルティはあったのか
これまでも罰則が存在しており、国家公務員の秘密漏洩に対する罰則については懲役1年以下でした。
今回の法律によって最大懲役10年以下と重くなっています。
3 なぜ変える必要があったのか
法律改正には大義名分があり、平成22年に尖閣諸島沖で中国船籍の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件がありましたが、それがひとつの理由とされています。
その内容の一部始終を関係者が撮影し、youtubeに投稿、それをネットユーザーが見て拡散しました。
私も一大事として紹介しています。
やったんですか?と訊ねられて、そんな事実がなかったと説明したことが、映像によって真実として明かされたたのです。
海上に船の衝突によって落ちた人(日本人の海上保安官)が、中国人に生命の危険が及ぶような行為をされた様子まであったと言われています(銛のようなもので刺そうとした)。
結果、やっていたんだ彼らはと、すべての国民が知ることになりました(意図的に衝突され危険な状態にあったこと)。
これが中国との外交問題に発展しては国益を損ねるという理由から、なんでも知られると後始末が大変という感じになり、
2011年に政府の「秘密保全のための法制のあり方に関する有識者会議」が開かれ、法律を強化する方向に傾いたのです。
よって、秘密保全法制を早急に整備すべきであるとの報告書がとりまとめられ、、第二次安倍晋三政権が2013年9月に法案の概要を公表しました。
これにより、法案が同年12月に可決(成立)され、公布されたのです。
法律により公布から1年以内に施行されるのが通例です(施行日がいつか官報に記載されています)。
4 特定秘密の指定は誰がするのか
特定秘密の指定は、「その漏洩が日本の安全保障に著しく支障をあたえるおそれがあり、とくに秘匿することが重要であるもの」について、「関連する行政機関の長(大臣など)が行う」そうです。
5 特定秘密に該当するものは何か
該当するものを政府は大きく4つに分けています。
(1)自衛隊の暗号や潜水艦の潜水可能深度などの防衛に関する情報
(2)領土問題や北朝鮮の拉致問題など外交に関する情報
(3)スパイ活動防止に関する情報
(4)原子力発電所の警備やテロ発生時の対応要領などのテロ防止に関する情報
6 特定秘密の期間に定めはあるのか
指定の有効期間は5年を上限(更新可能)として行政機関の長が定めます。
その必要がなくなった場合は、有効期間内でも指定を解除します。
また、指定の有効期間は通算30年を超えることはできません。
但し例外があり、やむを得ない理由があり、内閣の承認を得た場合に限って、延長が認められます。
その場合でも、「暗号や人的情報源等を除き」、通算60年を超えて延長することはできません。
これを一言で説明すると、「30年はこの法律により公表しなくても良い」ということです。
また、時の内閣が秘密を延長したいと考えれば、「あわせて60年以内まで延長できる」ということにもなります。
したがって、特定秘密は「その最大の期間までには公開される」ことにもなります。
例えば、15歳の貴方が75歳を超えたら知ることでしょう(最大期間60年以内)。
それ以上の年齢の方は、頑張って長生きしましょうということですね。
原則忘れ去られることを想定したもので、誰が責任を取るのかは不明確であり、「日本」という国家そのものに責任を科すことになるのでしょうか。
残念なことに実際には、「永久非公開の情報」もあるとみられているそうです。
7 特定秘密は「誰が取り扱う」ことができるのか
次のような人たちが取り扱います。
①行政機関の長
②国務大臣
③副大臣
④政務官等
⑤その他、「適性評価をクリアした行政機関の職員」もしくは「契約業者の役職員」
⑥都道府県警察の職員等
なお、外交や安全保障に関する秘密(特別管理秘密)を扱う国家公務員については、2009年4月から「秘密取扱者適格性確認制度」があったが、特定秘密保護法により「適正評価の対象は民間人」にまで広がったとのこと。
つまり、国家公務員だけじゃなく、国民に対して責任を科すということで、それを担保するものとして正当化されたものがあります(ここ大事です)。
それは「適正評価」です。
8 適性評価(調査の範囲)とは何か
①特定有害活動
②テロとの関係
③犯罪および懲戒の経歴
④薬物の濫用
⑤精神疾患の有無
⑥飲酒時の節度
⑦経済的信用状態等
9 特定有害活動およびテロとの関係について
取扱者本人だけでなく「その家族や同居人についても調査」されます。
つまり、何も悪いことをしていなくとも、前記の理由によって「必要により調べられる権利」を得たことになります。
親の悪さで子供が取り調べられ、恋人の悪さなのに強制的に取調べを受けることが出来そうな世の中になりました。
その実行機関は警察機関でしょうね。
有害活動の「定義」は、定められた人たちが大義名分をもって決定します。
10 具体的な罰則規定
①特定秘密を漏洩した者には、その立場や目的、故意か過失かなどにより定められた懲役や罰金が科されます。
②「未遂や共謀」、「教唆や扇動」などの場合にも処罰されます。
③特定秘密を外部に漏らした国家公務員や特定秘密を取得したスパイ工作員らは処罰されます。
④外部に特定秘密を漏らした場合、最高で「懲役10年」または「1000万円の罰金」などが科されます。
⑤漏洩を唆した者には「5年以下の懲役刑」が科されます。
11 日本政府が特定秘密保護法が必要な理由として掲げたこと
①外交・安全保障政策を司る、国家安全保障会議(日本版NSC)の運用に欠かせないこと。
②外国との情報交換を円滑に進めるには不可欠であること。
12 問題点
①野党より、特定秘密の指定範囲や基準があいまいであることを指摘。
②その理由として、その時々の政権の裁量や恣意(しい)的運用の余地があるため。
③報道関係者より、取材・報道の自由との「線引き」が曖昧であるため。
④規制により、憲法で保障されている国民の知る権利や人権が阻害される危険があること。
13 諸外国との比較(罰則規定) ※簡略
特定秘密保護法の罰則は厳しいのか。
①イギリスで禁固2年
②ドイツで禁固5年
③日本は、この法律により10年
諸外国に比べて刑罰が重すぎる感じです。
安全保障上の秘密保護と知る権利の両立をめざす国際的なガイドライン、「ツワネ原則」に照らすと、特定秘密保護法は保護規制が強すぎるという批判もあるそうです。
日本弁護士会翻訳
14 「涼風」からのひと言
私たちにとって、この法律は必要なものなのでしょうか。
必要であるのも事実、便乗した感が残るのも事実であると考えます。
何かを理由に大儀名文とし、欲しかった「国民の情報を監視するシステム」のように見えてしまうのは私だけでしょうか。
判断するのはあなたです。
明るい未来を迎えることを期待します。
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