背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

真昼の月に【名前】野宮×あゆ・【古城の見えるホテルで】CJ二次掲載

2011年04月10日 07時53分13秒 | 雑感・雑記

「どうしたんだい」
郵便受けを覗いてくるといったきり、戻ってこないあゆみを怪訝に思い、野宮が玄関まで足を向けた。すると、靴脱ぎに立ち尽くす新妻の姿があった。
硬直している背中にそっと声をかける。と、ゆるゆると肩越しに振り返った。
手には、一枚のはがき。何の変哲もない官製はがきを握り締めている。様子が少しおかしい。微動だにしない。
「あゆ?」
「竹本くんから、はがきが来たの」
「竹本くん? 大学の友達の?」
尋ねると、ぶんぶんという勢いでうなずく。記憶違いでなければ、修復士になって全国の傷んだ寺院を直して歩いているという一風変わった職業に就いている子だったと思う。
花本先生、森田さん、はぐちゃんなど、あゆみの口から楽しげに語られる大学時代のおつきあいの面々の一人だ。でも親友のはぐみらよりは話題に上る回数もさほど多くはなかったはず。
その竹本からのはがきだというので、気安く野宮は「しばらくぶりなのかい。なんだって?」どれどれとあゆみの手元を覗き込むようにした。
あゆみは黙ってはがきを野宮に渡した。野宮は見てもいいのかと思いつつ、幾分悪筆気味の、それでも近況をぎっしりと詰め込むだけ詰め込もうとした跡が窺える文面を目で追った。



前略 野宮あゆみさま

お元気ですか。俺は元気です。
今俺たちの組は、宮城県の松島に逗留しています。
津波のダメージを負った、松島の瑞巌寺の修復を手がけています。
こないだの震災のとき、観光客や地元の人たちは必死で参道を走ってお寺に逃げて、難を逃れたんだそうです。修行僧の、道場っていうのか、普段は立ち入りできない場所なのに、そこをお寺が開放して、いっとき300人も寝泊りして。僧の人たちが食べ物とか避難者のお世話をしてくれたそうです。
 俺は知らなかったんですが(恥っ)、瑞巌寺って伊達政宗のぼだい寺なんだそうですね。国宝の本堂自体には被害はなかったんですが、国宝の庫裏と廊下の壁に数カ所ひびが入っってました。政宗の銅像も破損してます。いたましいです。 政宗公が身代わりに守ってくれたんだ、って地元のおばあちゃんが話しています。手を合わせながら。


この続きは管理人別サイト【真昼の月】にて


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