一つ屋根の下に恋人同士がいると、まわりの人間は結構気を遣うもんである。
正確には未満、って感じなんだけど。周囲にはばればれっていうか。なんていうか。
俺らのチーム(リーダーは俺らじゃないんだけど)のジョウとアルフィンがまさにそれ。なかなか厄介な2人なのだ。
お互い好きあっているのに、どちらもその気持ちをはっきり伝えていないという……。恋愛関係の一歩手前で踏みとどまっているって感じ。見ているほうがもどかしいというか、早くはっきりさせなよ、という気がしないでもない。
でも当人同士がそれでいいっていうんなら、別に俺らが口出しする筋合いのもんでもないけど。
俺らとジョウは夕食後、部屋に戻るまでスナックをつまみながらキッチンでだらだらと雑談をしていた。タロスはご老体なので、いつも早々に引き上げる。アルフィンは、テーブルについて熱心に料理の本を書き写している。最近、どういう風の吹き回しか、レシピノートをまめにつけ始めているみたいだった。
「そういや最近ドンゴが何か書いてるみたいなんだよ、兄貴、知ってた?」
「書いてるって何を」
「さあ、よく分かんないんだけど、端末の前でぱちぱち毎日なんか書き込んでるぜ。
パスワードがないと中に入れないみたい」
「あやしいな」
兄貴は首を傾げた。
エロ雑誌をいまどきこよなく愛し、通販で取り寄せてるぐらいの偏屈ロボット。モデルタイプは旧式。
だからタロスと話が合う。
「へんなこと企んでなきゃいいけど」
「それはまあ大丈夫だと思うが……」
そこで、ふとジョウは向かいに座っているアルフィンに目をやった。
アルフィンは俺らたちの会話なんて耳に入らないってくらい集中してメモを取っている。
俯いたその手元に、長い金髪が落ちてかかっていた。それに気づいてもいないみたいだった。
ジョウは手を伸ばして、ノートにかかる髪を耳の後ろに掻きあげてやった。
何気ない、自然な仕草だった。アルフィンはちょっとだけ顔を上げてジョウを見た。
にっこりと微笑む。
そしてまた書き作業に没頭し始めた。
ジョウも何もなかったようにまた話を続ける。
「でも、どっかにハッキングとかしてたら怖いな」
「――あ、うん。ありえないこともないぜ、ドンゴなら」
そう答えながら、俺らはなぜかわけもなくどきどきしていた。
ふたりを見る。
――なんでだろ、へたなラブ・シーンより、今みたいなさりげないやりとりのほうが、何かやばいもん見た、って気がする………………。
俺らはちょっと動揺しながら、それを悟られないようにいつになく饒舌に話し続けた。
<END>
姫の台詞がないんですが。汗 たまにはこういう視点でのふたりも。
むかしむかしの短編です。
そしてpixivさんに「彼は王様」をUPしました。R18ですので、くれぐれも自己責任でどうぞ。
⇒pixiv安達 薫
正確には未満、って感じなんだけど。周囲にはばればれっていうか。なんていうか。
俺らのチーム(リーダーは俺らじゃないんだけど)のジョウとアルフィンがまさにそれ。なかなか厄介な2人なのだ。
お互い好きあっているのに、どちらもその気持ちをはっきり伝えていないという……。恋愛関係の一歩手前で踏みとどまっているって感じ。見ているほうがもどかしいというか、早くはっきりさせなよ、という気がしないでもない。
でも当人同士がそれでいいっていうんなら、別に俺らが口出しする筋合いのもんでもないけど。
俺らとジョウは夕食後、部屋に戻るまでスナックをつまみながらキッチンでだらだらと雑談をしていた。タロスはご老体なので、いつも早々に引き上げる。アルフィンは、テーブルについて熱心に料理の本を書き写している。最近、どういう風の吹き回しか、レシピノートをまめにつけ始めているみたいだった。
「そういや最近ドンゴが何か書いてるみたいなんだよ、兄貴、知ってた?」
「書いてるって何を」
「さあ、よく分かんないんだけど、端末の前でぱちぱち毎日なんか書き込んでるぜ。
パスワードがないと中に入れないみたい」
「あやしいな」
兄貴は首を傾げた。
エロ雑誌をいまどきこよなく愛し、通販で取り寄せてるぐらいの偏屈ロボット。モデルタイプは旧式。
だからタロスと話が合う。
「へんなこと企んでなきゃいいけど」
「それはまあ大丈夫だと思うが……」
そこで、ふとジョウは向かいに座っているアルフィンに目をやった。
アルフィンは俺らたちの会話なんて耳に入らないってくらい集中してメモを取っている。
俯いたその手元に、長い金髪が落ちてかかっていた。それに気づいてもいないみたいだった。
ジョウは手を伸ばして、ノートにかかる髪を耳の後ろに掻きあげてやった。
何気ない、自然な仕草だった。アルフィンはちょっとだけ顔を上げてジョウを見た。
にっこりと微笑む。
そしてまた書き作業に没頭し始めた。
ジョウも何もなかったようにまた話を続ける。
「でも、どっかにハッキングとかしてたら怖いな」
「――あ、うん。ありえないこともないぜ、ドンゴなら」
そう答えながら、俺らはなぜかわけもなくどきどきしていた。
ふたりを見る。
――なんでだろ、へたなラブ・シーンより、今みたいなさりげないやりとりのほうが、何かやばいもん見た、って気がする………………。
俺らはちょっと動揺しながら、それを悟られないようにいつになく饒舌に話し続けた。
<END>
姫の台詞がないんですが。汗 たまにはこういう視点でのふたりも。
むかしむかしの短編です。
そしてpixivさんに「彼は王様」をUPしました。R18ですので、くれぐれも自己責任でどうぞ。
⇒pixiv安達 薫
REBIRTHのピザン連載も目を皿にしてウオッチですよっ
あぁぁ〰️〰️!!私がリッキーになりたいっ!!
リッキー!!その場所を私とかわってぇぇ〰️〰️!!(笑)
なんだろう~早く、くっつけ!と思いつつ
じれったい感じが好きです。