みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1398「歴史のIf/隕石」

2023-07-04 17:35:02 | ブログ短編

 藤原真空(ふじわらまそら)が呆然(ぼうぜん)としていると、グーが声をかけてきた。
「ねぇ、あんたどこから来たの? ここら辺(へん)じゃ見かけないけど…」
 真空は我(われ)に返ると、警戒(けいかい)しながら答(こた)えた。「どこからって、それは……。あの、ここには人間(にんげん)はいないの? ほら、わたしみたいな…」
「あんたは、にんげんっていうんだ。この森の外(そと)にはあんたみたいなのがいるのか?」
「分からないわ。どうやってここに来たのか…。でも、今は西暦(せいれき)800年でしょ。どうして恐竜(きょうりゅう)がいるのよ。とっくに絶滅(ぜつめつ)してるはずよ」
「あたしたちの仲間(なかま)はいっぱいいるわよ。この崖(がけ)の上にね」
「どうしてよ。だって、隕石(いんせき)が落ちて…。それくらい、あたしだって知ってるわ」
 その時、別(べつ)の恐竜が姿(すがた)を現した。グーと同じ種族(しゅぞく)のようだ。そいつは真空を見て言った。
「うまそうだなぁ。グー、俺(おれ)にも分けてくれよ。いいだろ?」
 グーは真空の前に立って、「だめよ。こいつは食(く)いもんじゃないわ。友(とも)だちよ」
「なに言ってるんだよ。どう見たって肉(にく)の塊(かたまり)だろ。じゃ、俺がぜんぶ食ってやるよ」
 そいつはグーに飛(と)びかかった。グーは反撃(はんげき)する。もつれ合いながら右へ左へ…。真空は巻(ま)き込まれないように後(あと)ずさる。グーがひるんだすきに、そいつは一気(いっき)に真空へ飛びかかった。真空は、とっさに逃(に)げようとして崖から転落(てんらく)してしまった。
<つぶやき>真空はどうなる。あの隕石が落ちないと人間は誕生(たんじょう)できないってことなん?
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