みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1444「征服者」

2024-01-27 18:16:05 | ブログ短編

 私は遠(とお)い星(ほし)からこの地球(ちきゅう)を征服(せいふく)するためにやって来た。私が来てから、もう三百年過(す)ぎてしまった。本来(ほんらい)ならとっくに征服が完了(かんりょう)しているはずだった。それが、どうしてこんなことに…。
 我々(われわれ)は他(ほか)の生物(せいぶつ)に寄生(きせい)して生き延(の)びてきた。この地球でも、人間(にんげん)に寄生して種族(しゅぞく)を増(ふ)やして行く計画(けいかく)だった。それがどういうわけか、ちょっとした手違(てちが)いで別(べつ)の生物に寄生してしまった。そして、ほとんどの時間(じかん)を土の中で暮(く)らすはめになった。それが最近(さいきん)になって、ようやく地上(ちじょう)に出ることができたのだ。
 私は地上に出て驚(おどろ)いた。まったく様変(さまが)わりしているのだ。この星の環境(かんきょう)はどうなってしまったのか? 初めて見た地球はパラダイスに思えたのに、今は何の魅力(みりょく)も感(かん)じない。これは人間たちの仕業(しわざ)なのか。もしそうなら、人間はこの星で滅(ほろ)びる運命(うんめい)なのだろう。
 私は仲間(なかま)を捜(さが)すことにした。人間に寄生した仲間がどこかにいるはずだ。きっとそいつらはこの環境を戻(もど)すために働(はたら)いているに違(ちが)いない。私も早く合流(ごうりゅう)して…。
 しかし、この四つ足というのはどうにも動きにくい。早くなれないと他の生きものに食われてしまいそうだ。その時、私は上から押(お)さえ付けられ、何かが身体(からだ)に突(つ)き刺(さ)さった。そして、身体が宙(ちゅう)に浮(う)くのを感じた。次(つぎ)は、どうやら空(そら)を飛(と)ぶ生きもののようだ。
<つぶやき>少しずつ人間に近づいているかもね。仲間を見つけることができるといいね。
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