みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1441「制御不能」

2024-01-02 18:05:18 | ブログ短編

 あたしは、とあるホテルで開かれたパーティーに来ていた。こういうところはどうも苦手(にがて)なんだけど、仕事(しごと)がらみなので断(ことわ)ることができなかった。知ってる人もほとんどいないみたいだし、適当(てきとう)に切(き)り上げて帰るつもりでいた。それなのに…。
 あたしは、そこにいた一人の男性に釘付(くぎづ)けになった。その人のことが気になって目を離(はな)すことができない。誤解(ごかい)のないように言っておきたいんだけど…。別に、これは一目惚(ひとめぼ)れとか…そういう類(たぐ)いのあれじゃないからね。だって、全然(ぜんぜん)、あたしのタイプじゃないし、魅力的(みりょくてき)な人には見えない。あたしの目がおかしくなったとしか思えないわ。
 あたしがずっと見つめているのを、もしあの人に気づかれてしまったら? あたしはぞっとした。でも、あたしの目が勝手(かって)に追(お)いかけてる。どうしたらいいのよ。
「そうだわ。帰ればいいのよ。もう帰ってもいい時間(じかん)だわ」
 あたしはすぐに行動(こうどう)に移(うつ)した。でも、どういうわけか…今度(こんど)は足が動(うご)かない。なんでよ。なんでいうこときいてくれないの? あっ、まずいわ。あの人がこっちを見たわ。あたしは思わず目を閉(と)じた。しばらくして目を開(あ)けてみると…。
 なんでよ。あの人がこっちを見てる。あたしを…あたしのことを…。逃(に)げなきゃ。でも、足が動かない! あの人が、こっちに向(む)かって歩(ある)き出した。もう、だめ。もう、こうなったら…どうにでもなれよ。やってやろうじゃないの。かかってきなさいよ!
<つぶやき>これは、もしかしたら運命(うんめい)かもしれませんよ。お話(はな)しだけでもしときましょ。
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