みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0955「しずく106~解放」

2020-09-17 17:57:03 | ブログ連載~しずく

 看守(かんしゅ)はぐったりと倒(たお)れ込んだ。川相初音(かわいはつね)は看守から離(はな)れて立ち上がると、
「しずく…、どうしてここに? どうやって入って来たのよ!」
 月島(つきしま)しずくは檻(おり)の中へ入ると、看守の顔を覗(のぞ)き込み呟(つぶや)いた。
「ちょっとやり過(す)ぎちゃったかなぁ」
「殺(ころ)したの? あなたが、そこまでするなんて…」
「大丈夫(だいじょうぶ)よ。気絶(きぜつ)してるだけだから」しずくは初音に近寄(ちかよ)って、「さぁ、初音――」
「あたしに、復讐(ふくしゅう)するつもりなんでしょ。あなたなんかに負(ま)けないから…」
「復讐なんかするつもりないわ。初音、ここにはいたくないんでしょ」
「そんなこと、信じないわよ。どうして能力(ちから)が使えるの? ここでは使えないはずなのに」
「あら、そうなの? それは知らなかったわ。ねぇ、どうする? 私と行くでしょ」
 初音はしばらく考えていたが、ゆっくりとうなずいた。そして、しずくに手を伸(の)ばした。しずくは微笑(ほほえ)むと、その手をとって檻の外へ引っぱり出た。
 二人のやりとりを聞いていた他の人たちが、檻から手を伸ばして口々に助(たす)けを懇願(こんがん)した。それを耳(みみ)にした初音は、足を止めてしずくに頼(たの)み込んだ。
「ねぇ、この人たちも助けてあげて。この人たち、何も悪(わる)いことはしてないの」
 しずくは嬉(うれ)しそうに、「もちろんよ。最初(さいしょ)からそのつもりでいたわ」
<つぶやき>まさか、初音を助けに来るなんて…。さぁ、これからどうなっていくのか?
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