日本のノーベル賞受賞者は26人である。時代別にみると1999年までが8人、2000年以降が18人である。
一般に、ノーベル賞は20代から30代に発見・開発したことを、その後何十年もかけて検証・完成させ、受賞にいたることが多いという。とすれば、2000年以降の受賞者の研究は、1970年代から80年代にかけてその基礎が築かれたということになる。
日本で共通一次試験が導入されたのは1979年である。すなわち、これまでのノーベル賞受賞者の多くは共通一次以前の世代だということができる。大学入試問題が択一式に変わり、難しい問題を捨て優しい問題をいかに速く解くかに重点が置かれるようになった結果、日本の研究開発力・創造力が落ちているということはないのか? 日ごろ高校生と接していて、ふとそんなことを思う。
『世界一「考えさせられる」入試問題』(河出文庫)の中にこんな問題があった。
・あなたは自分を利口だと思いますか?(ケンブリッジ大学 法学)
・蟻を落とすとどうなりますか?(オックスフォード大学 物理学)
・なぜ海には塩があるのですか?(オックスフォード大学 生化学)
答えの分からない問題に挑戦する。そういう教育に切り替えていかなければこの先の日本は危うい。