武志はアル中だけでなく統合失調症だったと広まってから5年過ぎての退院だった。だから十分に広められ深められ浸透していた。
それも知らぬまま退院2年後に母の葬式を向かえた。飲酒を頑張って母の葬儀に出席できたという自負もあり、少しはマシな対応を期待していたがそうではなかった。
後で思えば不治の病統合失調症が広まっていたので警戒されたのは当然だった。元々仲が悪くなかった数人だけは適当に話を合わせたくれたが。
それでも初対面にも関わらず話しかけてきてくれた人もいた。恥を晒しに出席したようなものだったが唯一の収穫だった。
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おそらく元院長は精神病院に入院している患者の家族のことなど深く考えたことはない。自分たちとは別次元の世界だと生まれた時から体に染み付いているので興味が湧かないのだろう。
長年病院に勤めており気心も通じ合った弟嫁(当時)に最初に伝えたのは間違いない。義理の兄が4回目の入院にも関わらず徹底して避けている親族が従業員の中にいる。悪い情報をカミングアウトするには打ってつけの存在だっただろう。
弟嫁 → 弟 → 父。この伝わりを待って院長は父へ伝えたのだろう。